小数の計算は小数点の扱い方についてちょっと考える必要があるので、整数の計算問題よりも時間がかかる場合が多いです。
小数点の位置を間違えた結果、答えが大幅にずれてしまうことも。
では今回の問題、あなたは正しく計算できるでしょうか。負の数が混じっている点にも注意して答えてください。
問題
次の計算問題をしなさい。
10.7+2.1÷(−0.3)
解答
正解は、「3.7」です。
負の数の割り算の答えが間違っていた、という人はぜひ次の「ポイント」でやり方を確認してみてください。
計算過程を詳しく解説していますよ。
ポイント
この問題のポイントは、2.1÷(−0.3)が正しく計算できるかどうかです。
この問題は足し算から始まっていますが、計算のルール上、先に割り算部分から計算しなくてはなりません。
よって、最初に2.1÷(−0.3)から計算を行います。
10.7+2.1÷(−0.3)
この部分を計算するポイントは、二点あります。
- 負の数の割り算を正しく計算できるかどうか
- 小数どうしの割り算を正しく計算できるかどうか
それぞれ、順番に解説していきましょう。
負の数の割り算の計算ルール
まず、負の数の割り算の計算ルールを確認しておきましょう。
同符号どうしの割り算→答えは正の数
4÷2=2
−4÷(−2)=2
異符号どうしの割り算→答えは負の数
−4÷2=−2
4÷(−2)=−2
小数どうしの割り算の計算ルール
次に、小数どうしの割り算の計算ルールを見ていきます。
小数の割り算の基本ルールは、「割る数が整数になるまで桁を上げる」です。
2.1÷(−0.3)の場合、−0.3が整数になればよいので×10して−3にします。
しかし、2.1÷(−0.3)と2.1÷(−3)では式の意味が変わってしまいます。
そこで、割られる数の方も、割る数と同じだけ桁を上げます。こうすると、式の意味は変化しません。
(2.1×10)÷(−0.3×10)=21÷(−3)
では、なぜ割る数も割られる数も同じだけ桁を上げると式の意味が変化しないのでしょうか。
それは、割り算は「割られる数/割る数」の分数で表すことができるからです。
2.1÷(−0.3)=2.1/−0.3
分数では、分子、分母に同じ数を掛けても元の数と意味が変わりませんでした。
そのため、分子と分母、割られる数と割る数共に10を掛けても割り算の意味は変わらないのです。
2.1÷(−0.3)
=(2.1×10)/(−0.3×10)←分母が整数になるよう×10して桁を上げる(分子も同じように桁を上げる)
=21/−3
=21÷(−3)
21÷3は7ですが、今回は「正の数÷負の数」つまり異符号どうしの割り算なので答えは負の数です。
よって、答えは−7になります。
この結果をもとの計算式に当てはめると...
10.7+2.1÷(−0.3)
=10.7−7
=3.7
答えが出ましたね。
まとめ
今回の問題は、いかがだったでしょうか。
負の数の割り算は割る数と割られる数の符号に注目し、小数の割り算は分数に直して考えると分かりやすいです。
ぜひ、他の問題にも挑戦して、覚えた計算ルールを試してみてください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社かえでプロダクション(公式HP)
「編集技術で過去と未来をつなぐ」小学生・中学生・高校生の学習用教材を執筆・編集・校正する編集専門のプロダクション。英語・算数/数学・国語・理科・社会の主要5科目のテキストやドリル、テストや模試、デジタル系の教材など幅広く制作。教材からできる教育を目指し、教育業界を支える会社。会社独自の福利厚生が充実しており、社員が働きやすい環境を整え、新しい働き方で第三者機関から認定を受けている。
小数どうしの計算にもう一問挑戦!