「隣人のベランダ喫煙が臭すぎる！」注意しても改善されない…これって訴えられますか？【弁護士解説】

2024.8.6

自分の希望にぴったり合う物件に引っ越しができたと思ったら、隣の住人がベランダで毎日タバコを吸っていてにおいがひどい…。マンションでの隣人の喫煙に悩まされている人は多いようです。

注意をしているのに一向に改善されないなどというケースも。今回は「マンションのベランダでの隣人の喫煙トラブル」について、弁護士さんにお話を伺いました。

隣人のベランダ喫煙があまりにもひどく…

マンションの隣の住人が喫煙者で、毎日ベランダで喫煙をしており、タバコの煙の匂いに悩まされています。
「ベランダで吸うのをやめてください」という旨を何度か本人に伝え、管理人からも注意をしてもらったのですが、一向に改善される気配がありませんでした。
結局1年間くらいは状況が変わらず…。こういった場合、ベランダでの喫煙をやめさせる方法はないのでしょうか？
（20代男性・自営業）

こちらのケースについて、一歩法律事務所の南陽輔弁護士にお話をお伺いしました。

---ベランダでの喫煙を強制的にやめさせることは可能なのでしょうか？

「隣人のベランダでの喫煙により平穏な日常生活を送る利益などの人格権が侵害されたとして、喫煙の差し止めを求める裁判を起こすことは可能です。

実際にこうした差し止めを求めて裁判になった事例があります（東京地裁平成26年4月22日判決）。この裁判例では、被告（隣人）は原告からベランダでの喫煙を止めるように注意されて以降はベランダでの喫煙を行っていないと認定されて、結論としては差し止め請求は認められませんでしたが、もし被告が喫煙を継続していたら差し止めが認められた可能性もあります。

また、隣人のベランダでの喫煙が自室内に入ってきて受動喫煙を強いられた、平穏な日常生活を送る権利が侵害されたとして、隣人の行為は民法上の不法行為に当たると主張して精神的苦痛に対する慰謝料を請求することなども可能です」

---被害があった場合、喫煙の差し止めを求めることができるのですね。もし、「隣人がベランダ喫煙を辞めない」という理由のみで投稿者さんが引越しを決断した場合、引越し代金等を管理会社や隣人に請求することはできるものでしょうか？

「隣人の喫煙によって人格権が侵害されたとして、民法上の不法行為を根拠に損害賠償請求をすることが考えられます。その損害の一つとして、転居せざるを得なくなったことによる引っ越し費用が含まれるとして支払を求めることはできると考えられます。

ただ、ベランダでの喫煙の程度が引っ越しせざるを得ない程度にまでひどいものだったと言えるのかという立証のハードルはあります。

また、管理会社に対しては一般論としては難しいでしょう。管理会社としては隣人に喫煙を止めるように求めるなどのある程度の対応をしていれば、管理会社としての注意義務違反が認められるということは難しいように考えられるからです」

---どの程度の被害があったかを立証する必要があるのですね。ほかにも隣人の喫煙に関して困っているという投稿が多く寄せられました。そういった方々に、どのような解決方法があるか、ご助言いただけるとありがたいです。

「マンションの場合、ベランダは共用部に含まれ、住人の専有部ではありません。そのため、ベランダでの喫煙などの迷惑行為については管理組合が注意することが可能です。ご自身で直接隣人に注意することも考えられますが、トラブルになるリスクもありますので、まずは管理組合から注意してもらうようにしましょう。

管理組合から注意してもベランダでの喫煙を止めず、また、その程度がひどいもので生活を脅かされているようでしたら、弁護士を代理人に就いてもらって弁護士から隣人に警告してもらうという方法も考えられます」

---まずは管理組合に相談ですね。ありがとうございます！

共有部での喫煙には気をつけて

喫煙可の物件であっても、共有部であるベランダでの喫煙が原因で困ったことがあれば、管理組合を通して注意してもらえたり、ひどい場合は差し止めの裁判を起こすこともできるとのこと。

喫煙している本人が自覚しているよりも、タバコのにおいはかなり強く周囲に届いているもの。周囲の住人や管理組合から注意をされた場合は、「そんなことはないはず」とは思わずに、共有部の使用方法への認識を改めたほうが良さそうです。

※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています
・募集方法：インターネットサービスによる任意回答（記述式）
・募集対象：全国の18歳以上
・募集期間：2024/7/17〜7/22