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「演出が泣ける」"度肝を抜いてくる"アニメ【推しの子】オープニングに隠された意図

  • 2024.7.10
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(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会

アニメ作品の“顔”として重要な役割を持つオープニング。7月3日(水)から第2期の放送が始まったTVアニメ『【推しの子】』は、とんでもなくハイクオリティなOP映像と主題歌で視聴者の度肝を抜いた。SNSでも「OPからもう目が離せない」「演出が泣ける」といった声が続出。『【推しの子】』はサスペンスなストーリーや次回が気になるラストの“引き”が見どころだが、開幕の瞬間から私たちを夢中にさせた。

謎のユニット・GEMNの意外な正体とは?

第2期のOP主題歌である「ファタール」を歌うのは、中島健人さんとキタニタツヤさんからなるユニット・GEMN(ジェム)。GEMNは第12話の先行上映が始まるギリギリまで参加メンバーが伏せられ、メンバーを予想する考察が立つなど放送前から話題を呼んでいた。ただ、解禁されていた数少ない情報から中島さんとキタニさんの名前を挙げる声も少なくなく、勘が冴えわたるファンの凄さを感じる。

中島さんは3月末までSexy Zone(現timelesz)に所属にしており、ソロ活動をスタートさせたばかり。アイドルとして、そして俳優としても活躍する中島さんは、「2.5次元舞台編」が描かれる第2期にピッタリだ。また、キタニさんはTVアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』のOP主題歌「青のすみか」が大ヒットするなど、売れっ子アーティストとしてますます名をあげている。そんな2人と編曲にGigaさんを迎えてつくられた「ファタール」はミステリアスでどこかエレガントな雰囲気をまとっており、作品の世界観を絶妙に表現して見せた。

“アイ(愛)”にとらわれ続けるアクア……「ファタール」を考察

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(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会

『【推しの子】』と「ファタール」のベストマッチは曲調だけに留まらない。歌詞を読み解くと、星野アイに対する星野アクアの大きすぎる愛を歌った楽曲だと分かる。ファタールとは「致命的な」「必然的な」「運命の」といった意味を持つ言葉。アクアにとってアイは運命の人であり、人生を狂わせたといってもいい魔性の女性だ。「あなたがいないと生きていけない」「お願い、僕を見ていて、僕を見ていて」という歌詞からは、アイを切望する気持ちや強い執着を感じる。

OP映像は、これまでのストーリーやこれから始まるだろう展開などが意味深な演出と共にぎゅっと詰めこまれている。情報量が多く、最初から見ごたえたっぷりだ。特に注目したいのが、アイの幻影を追ってアクアとルビーがビルの屋上から飛び降りるカット。亡きアイと隠された父親の真実を追い求めることで、破滅の道を進んでいるように受け取れる。

「ファタール」は、アクアが抱くアイへの強すぎる想いを歌った楽曲だ。歪んでしまった愛によってアイを殺した犯人に復讐しようとする彼は、闇の底へと落ちていく。同時に、「ファタール」はアイにとらわれ続けているアクアの“呪縛”の歌でもあるように思う。“アイ(愛)”という呪いによって、アクアの人生は狂ってしまった。2人の背景や関係を見事に表現した「ファタール」は、『【推しの子】』をダークながらも儚く彩る素晴らしいOP主題歌だ。

【推しの子】
ABEMAでは『【推しの子】』第2期を毎週水曜夜11時より地上波同時・無料最速で配信。
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/25-240?s=25-240_s2&eg=25-240_eg0
【(C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、マンガのレビューを手がける。X:@kaku_magari