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現地の人が愛する“アペリティーボ”とは?イタリア在住・元国際線CAが教える、楽しみ方も必見!

  • 2024.5.21

イタリアを旅行で訪れた際に、ぜひ体験していただきたいのが「アペリティーボ(Aperitivo)」。アペリティーボとは、夕食前に軽くお酒を楽しむ習慣で、現地のイタリア人が愛してやまない時間です。

本記事では、そんなイタリアの文化ともいえるアペリティーボの楽しみ方について、イタリア在住20年・元国際線CAの筆者がご紹介いたします。

仕事終わりに乾杯!イタリアの夕暮れを彩るアペリティーボ

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出典:photoAC

アペリティーボ(Aperitivo)とは、友人や恋人そして家族と食前酒を楽しむイタリア人にとって大切な時間。日本でいう「仕事帰りに軽く1杯」といったところですね。夕刻にバール(Bar)に人が集まり、グラスを傾けながらおしゃべりを楽しむ…まさにイタリアの幸せに満ち溢れた日常風景といえるでしょう。

バールというとお酒を提供するお店のイメージですが、イタリアのバールは日本の喫茶店のような存在です。朝はカプチーノとクロワッサンを食べたり、昼間はティータイムで利用したり。そしてお酒も楽しめる場所でもあり、イタリア人にとっての社交場といえるでしょう。

18〜20時頃が一般的なアペリティーボの時間で、バールで飲み物を注文するとオリーブ・生ハム・ミニピザ・ポテトチップス・ナッツ類など、簡単なおつまみがついてくるのが特徴です。もし屋外のテラス席でアペリティーボをしている人がいたら、どんなおつまみがセットで提供されているのかを見て、自分好みのお店を選んでみてくださいね。

アペリティーボといえば、やっぱりスプリッツ(Spritz)!

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出典:photoAC

スプリッツ(Spritz)というカクテルをご存知ですか?

スプリッツはイタリアを代表するオレンジ風味のリキュール「アペロール(Aperol)」を、プロセッコ(ヴェネト州産のスパークリングワイン)や炭酸水などで半々に割って作られるカクテル。イタリアでは「アペリティーボといえばスプリッツ」というくらい、みなに愛されている食前酒です。

ちなみにアペロールは、ゲンチアナ・ルバーブ・キナなどのハーブからできたリキュールで、ほのかな苦味と爽やかな柑橘系の風味が特徴的。このアペロールを使ったカクテルのスプリッツは、甘さの中になんともいえない苦みを感じるシュワシュワとしたお酒です。

またスプリッツはおいしい食前酒としてだけではなく、食欲増進や消化促進の効果もあるといわれています。アペロールやスパークリングワイン、炭酸水があれば簡単にできるカクテルですので、ぜひ一度お試しください。

食前酒とビュッフェでディナーまで完結できる?

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出典:photoAC

イタリアにはアペリチェーナと呼ばれる、食前酒と軽食を楽しむ習慣もあります。そもそもアペリチェーナ(Apericena)とは、Aperitivo(食前酒)とCena(ディナー)を組み合わせた造語。

アペリティーボの習慣は200年以上も前にイタリア北部の街トリノではじまったといわれていますが、アペリチェーナの歴史も古く、19世紀後半にまで遡ります。当時イタリアでは、労働者階級の人々が仕事帰りに安価なワインなどとパンやチーズの軽食を楽しむ習慣がありました。それが次第に形を変え、20世紀に入ってからミラノのバールが食前酒と軽食を提供するようになり、イタリア全土にアペリチェーナが広がったといわれています。

近年ではアペリチェーナのサービス内容も充実し、ビュッフェ形式でパスタ・ピザ・キッシュ・生ハム・チーズなどを楽しめるバールが増えてきました。そしてアペリチェーナの魅力はなんといっても、ドリンクを注文するだけで軽食が無料でついてくるお得さです。地域やお店によっても値段はまちまちですが、ドリンクと軽食で10ユーロ程度(日本円で1,680円程度 ※2024年5月の為替ルート)で済んでしまうことも。

イタリア旅行中に「しっかり食事するほどお腹は空いていないけれど、お酒を飲みながら軽く食事をしたい」というときにおすすめです。ぜひ夕暮れ時のバールでアペリティーボやアペリチェーナを楽しみながら、現地の人々と交流してみてはいかがでしょうか。

 

※記事内の情報は筆者在住時および記事執筆時点の情報です
※記事内の画像はイメージです



Webライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに6年乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職しイタリアへ移住。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、日々記事を執筆中。