1. トップ
  2. 「バッテリー上がりで20万円」激増する“ぼったくりロードサービス被害”に遭わないためにしてはいけないこと

「バッテリー上がりで20万円」激増する“ぼったくりロードサービス被害”に遭わないためにしてはいけないこと

  • 2024.5.16

車のトラブルにつけ込み高額請求を行う悪質なロードサービスがある

undefined
写真:PIXTA(イメージ)

新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行され約1年が経ったことも影響してか、2024年のGWは多くの方が車移動を行い終盤には帰省から帰る車の高速道路の渋滞が40キロ以上にもなる場所もありました。

また、今後も夏休みなどを利用して行楽地や帰省など長距離ドライブをする方も多いと思います。

そんな出かけた先でバッテリー上がりやタイヤのパンクなど予期せぬ車のトラブルにあった際、頼りになるのが「ロードサービス」ですが、良質なサービスを提供する業者があるいっぽうで、車の知識があまりない初心者ドライバーが悪徳業者から高額請求されるケースが起こっているのをご存知でしょうか

こういったトラブルに対してはJAF(一般社団法人 日本自動車連盟)、自動車保険を取り扱う各損害保険会社、民間業者というそれぞれの仕組みを知ることで被害を避けることができます。

自動車生活ジャーナリストの筆者が解説していきます。

「JAF」「損害保険会社」「民間業者」の特徴・利用方法を確認しよう

undefined
写真提供:加藤久美子

「ロードサービス」とは、パンクやバッテリー上がりなど車の走行中に起きた予期せぬトラブルに対し、電話1本で駆け付けてその場で応急処置を行うサービスです。

提供する業者は大きく分けて「JAF」「保険会社」「民間業者」の3つがあります。

良い業者が大半ですが、中には上述したように高額請求を行うぼったくりの悪徳業者もいます

まずは、それぞれの特徴を紹介します。

①JAF(日本自動車連盟)

undefined
写真:PIXTA(イメージ)

会員数2000万人超。「#8139」(ハイ。サンキュー)で駆けつけてくれるおなじみのロードサービスです。会員(年会費4000円。入会金は別途1500円)でも非会員でも利用できますが、JAF会員ならパンク対応、キーのとじ込み、バッテリー上がり、20kmまでのレッカーサービスなどは無料です。非会員の場合はいずれも2万円以上かかってしまいます。適正価格を厳守しており、サービスの質も接客のレベルが高いことでも知られています。

大雪で動けなくなった、洪水でクルマを出せなくなった…など自然災害によるトラブルに対応しているのもJAFならでは。会員さえその場にいれば家族や友人の車、レンタカー、カーシェアの車両はもちろん、バイクや原付も無料対象となります。故障や事故だけではなく、「なんとなく調子が悪い」「エンジンルームから異音がする」などはっきりと原因がわからない車の不調に対しても駆けつけてくれます。JAF会員かつロードサービス作業工数表に基づく30分以内の工数0.5の場合は無料です。

②損害保険会社

undefined
写真:PIXTA(イメージ)

契約している任意保険(自動車保険)や共済にロードサービスが無料付帯されており、故障や事故で動かなくなった車が対象です。ロードサービスを利用しても翌年から等級が下がって保険料が値上がりすることはありません。実際の作業は民間の整備工場やロードサービス専門業者が対応します。しかも、旅先でトラブルにあって予定していた帰宅ができないようなとき、人数分の宿泊料や新幹線や飛行機、レンタカー代などの帰宅のための交通費も無償で負担されます。修理が終わって家に車が戻るまでの費用、引き取りに行く際の交通費(新幹線代や飛行機代、場合によってはタクシー代)なども無料です。ペットホテルの延泊対応も。また、ガス欠で動けない時もガソリン10L含めて全部無料で駆け付けてくれる保険会社もあります。

③民間業者

undefined
写真:PIXTA(イメージ)

そして3つ目が民間の業者です。民間業者の多くはJAFや保険会社からの依頼にも対応する、善良で高品質なサービスを提供していますが、中には車に不慣れな初心者につけこみバッテリー上がりに20万円以上を請求するなどぼったくりの悪徳業者も存在するので注意してください。とくにGoogleなど検索ポータルサイトなどで「◯◯(地域名) ロードサービス」などと検索して出た検索結果の上部に出てくるリスティング広告の最初のほうに掲示される業者に依頼、基本料を安く掲示されたにもかかわらず実際現場に着いたら事前に説明がない高額費用を請求されるという事案が発生することも少なくありません。

なぜ、ボッタクリ被害にあう?

undefined
写真:PIXTA(イメージ)

国民生活センターでは2023年7月に「インターネットで依頼したロードサービスのトラブル急増」として、事前説明なく高額請求をしたり、費用はあとで保険会社から返金されるなどのウソをついたりするケースについて注意喚起をしています。

2022年度において、ネット検索により依頼したロードサービス業者からの高額請求件数はなんと前年の約3.3倍となる773件に急増しているのです。

とくに被害に遭いやすいのは、車に乗り始めて間もない20代の若者や学生です。友達や家族の車を借りて乗っている間にトラブルに遭遇し、保険会社のロードサービスが使えることを知らずに上述のように慌ててネットで検索して出てきた見覚えのない名前の業者に依頼、ぼったくり被害にあうパターンには要注意です。迂闊にネット検索はしないほうが良いでしょう。

また、JAFのロードサービスのことは知っていても、「非会員だから利用できない」と思い込んでいるケースもあります。JAFは非会員でも利用可能。もちろん会員よりは料金が高くなりますが、JAFが不当に高い作業料金を請求することは絶対にありませんので安心して利用するといいでしょう。

なお、かつては非会員でもその場で会員になって会員価格の対象となっていた時代もありましたが、現在その対応はありません。

「JAF会員」になっておくのがおすすめ

undefined
写真提供:加藤久美子

おすすめしたいのはやはりJAF会員になることです。

カーシェアやレンタカーなど車を所有しない場合でもサービス対象です。保険会社のロードサービスは「車」、JAFは「人」にかかるものと覚えておきましょう。

つまり保険会社のロードサービスは契約者が乗っていなくても無償サービスが受けられて、JAFは会員がそこにいれば借りた車でも対象となります。

これからの時期、車を使う予定がある人、車で離れた実家に移動する人などは、車の点検と同時にどのようなロードサービスが利用できるのか?

事前に確認されることをお勧めします。


undefined

大学卒業後、日刊自動車新聞社編集局および出版局で編集記者を7年3か月務めた後、1995年からフリーランスへ。2000年に第一子出産後は、妊婦のシートベルト着用やチャイルドシート着用の普及啓発活動を全国の小児科医、産科医とともに行い、2008年に道路交通法シートベルト教則の改訂を達成した。現在は、Yahoo!ニュースなどに配信されるメディアの記事を年間300本以上寄稿。専門分野は海外(中国と北米、ロシアが中心)のクルマ事情。海外で人気の日本車や中古車、クルマ好きから歩行者まで車に関わるすべての人々に対して役立つテーマを取材、執筆。自動車盗難、交通事故、子どもの安全、クルマにまつわるトラブルなど、独自企画、独自取材の記事が95%。BIGMOTOR問題に関しては大手メディアが報道合戦を始める前から取り組んでおりテレビ、ラジオの出演も多数。

参考:独立行政法人 国民生活センター「インターネットで依頼したロードサービスのトラブル急増-20歳代や学生は特に注意を!-