中学の数学で学習する「絶対値」。
「こんなの簡単だ」と思っていても、実は多くの方が正しく理解できていないものの一つです。
今回は「絶対値」に関する問題に挑戦し、正しい理解ができているか確認をしましょう。
問題
(問題1)
π-5の絶対値を答えなさい。
πは円周率を表す記号です。「π-5」の絶対値はどのようになるでしょうか。
解答
答えは「-π+5」となります。
絶対値は「原点からの距離をあらわす値」であり、数学的には次のように定義します。
今回の問題の場合、πはおよそ3.14であり、π-5の計算結果はマイナスになります。
したがって、その絶対値は次のように計算できます。
π-5<0なので
|π-5|
=-(π-5)
=-π+5
「絶対値は、数字のプラス・マイナスを取り除いた数」ではなく、「マイナスの数の絶対値は、符号を反転する」というのが正しいイメージとなります。
絶対値とは
「絶対値」というのは「原点0からの距離をあらわす値」です。
いくつかの問題に挑戦しながら、確認をしてみましょう。
(問題2)
-3の絶対値を答えなさい。
この問題を言い換えると、「数直線において、-3と原点0の距離はいくらか」となります。
答えは「3」。
0から-3まで、3の距離だけ離れているので、絶対値は「3」です。
(問題3)
絶対値が5になる数をすべて答えなさい。
これも同じく言い換えると「数直線において、原点0から5だけ離れている数は何」ということになります。
答えは「5と-5」。
二つあることに注意しましょう。
原点から大きい方に5離れている数、そして小さい方に5離れている数を考えなければいけません。
ここまでの問題を見ると、「絶対値は、数字のプラス・マイナスを取り除いた数だ」と考えた方がいるかもしれません。
確かに、以下のように「プラス・マイナスを取り除いた数」となっています。
+3の絶対値→3
-3の絶対値→3
+5の絶対値→5
-5の絶対値→5
まとめ
「絶対値は、数字のプラス・マイナスを取り除いた数」という考え方は、具体的な数字を用いて考えているときは正しく成り立ちますが、文字を用いてより抽象的な問題となった際に対応ができなくなってしまいます。
正しい理解をすることで、発展的な問題も迷わずに考えることができるはずです!
※当メディアでご紹介する数学関連の記事においては、複数の解法を持つものもございます。
あくまで一例としてのご紹介に留まることをご了承ください。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
もう一問挑戦!次はインド式計算法です!