1. トップ
  2. 『ブギウギ』女優としての道をスタートしたスズ子(趣里)に迫られた究極の選択…!息をつく間もない彼女の人生に目が離せない。

『ブギウギ』女優としての道をスタートしたスズ子(趣里)に迫られた究極の選択…!息をつく間もない彼女の人生に目が離せない。

  • 2024.1.19

そういえば、スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)は、まだ結婚していなかった。ともに暮らし始めて2年。結婚してアメリカへ渡った小夜(富田望生)に触発されたのもあってか、「結婚」の二文字が頭にちらつき始めるスズ子と愛助。しかし、愛助の母・村山トミ(小雪)から言い渡されたのは……。

女優としての道も拓けたスズ子

undefined

「福来スズ子とその楽団」を解散したスズ子のもとへ、新たな選択肢として舞い降りてきたのは「女優」への道だった。喜劇王・タナケン(生瀬勝久)と出会ったスズ子は、あれよあれよと舞台へ出演することになる。

タナケンは、舞台上の姿とは打って変わり、寡黙で何を考えているかわからない男だった。芝居の経験がないスズ子にとって、アドバイスなしに役を演じるのは、まさに至難の業。しかし、スズ子が何をしても、タナケンには響かない。

自棄になったスズ子は、もうどうなってもいい! とばかりに自分らしさを全開にする。右も左もわからない新人女優の役であるにも関わらず、関西弁丸出しで、遠慮も何もない。「役柄に合っていない!」と他の共演者からは非難の声が挙がるが、スズ子らしい自由奔放な様子には無理がなく、それがタナケンに刺さったようだ。

結果、舞台は大成功。タナケンとスズ子の名コンビは、世間に広く周知された。

戦争に苦しみ、楽団も解散し、これからどう生きていこうか悩んでしまいそうなタイミングでも、スズ子は挫けなかった。最初こそ「歌手である自分が芝居なんて」と断ろうとしていたスズ子だが、結果的に畑違いの分野に飛び込み、新たな魅力を知らしめている。

人はどうしても、人生を近視眼的に捉えてしまいがちではないだろうか。嫌なこと、理不尽に思えることが起こると、「運が悪い」「お先真っ暗……」と落ち込んでしまう。しかし、下がったあとは上がるだけ。スズ子のように、どんな逆境でも自分の味方につけてしまう生き様は、現代に生きる私たちにとっても学べる姿勢だ。

愛助との結婚か?それとも歌手として生きるか?

undefined

結婚し、アメリカへ渡ってしまった小夜。スズ子の付き人として長く一緒にいる二人を見守ってきたからか、別れのシーンには込み上げてくるものがあった。

小夜との別れは、スズ子と愛助にとって、2年の同棲期間に終止符を打つきっかけにもなりそうだ。戦争に、愛助の病気に、仕事に……と忙しくしていた二人にとって、ともにいられるという事実こそが重要だった。「結婚」は後回しになっていたのだ。

そんなタイミングで、愛助の母・トミから連絡が。「年頃の男女が籍も入れないままでは、世間体が悪い」「結婚を考えてはどうか」という彼女の言い分は、村山興業の社長であるからにはもっともな気もする。

しかし、結婚するからには、スズ子に歌手をやめてもらわなければならない。トミからの通達は、スズ子にとって簡単には受け入れられないものだった。

仕事か、それとも、恋愛か。究極の二択を前に、スズ子はどんな答えを出すのか。波瀾万丈なスズ子の人生を見ていると、ホッと息をつく暇さえない。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_