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薬局の待ち時間が長い“ワケ”→現役薬剤師の『解説動画』に「知らなかった…」と納得の声

  • 2023.12.19
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調剤薬局では待ち時間が長いことも多く、具合が悪いときに長時間薬を待つことで辛い思いをしたことのある人もいるかもしれません。最近ではアプリに登録すれば、薬局内に居なくても呼び出しをしてくれるサービスもあり、待ち時間を短くしようと工夫してくれています。

中野昇【ナカショウ】/薬剤師/福岡(@sho_molth)さんが、なぜ待ち時間が長くなるのかが分かる動画をX(旧Twitter)上に投稿すると、6.6万いいね(2023/12/13時点)とともに「勉強になりました」「想像以上に手間がかかってる」などのコメントが寄せられ話題になっています。

手間がかかる作業とはどのようなものなのでしょうか。

こちらの粉薬を作る工程をご覧ください。

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出典:中野昇【ナカショウ】/薬剤師/福岡(@sho_molth)さん

各調剤薬局や薬の処方内容によって作り方は違うとのことですが、手作業での工程も多いようです。

まずは、処方箋に書いてある粉の量が正しいかチェックして、計算した後に量り取っていきます。こちらの動画では、2種類の薬が「混ぜ」で出た場合を紹介しており、その場合はそれぞれの薬を量ってから混ぜていくそうです。

混ぜ方もさまざまなやり方があるとのことですが、今回は乳鉢で混ぜる様子が紹介されています。意外とアナログな、乳鉢の中で混ぜるという方法だとは驚きです。

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出典:中野昇【ナカショウ】/薬剤師/福岡(@sho_molth)さん

その後、混ぜた薬を袋詰めするために機械に移していきます。手作業で機械に入れ、ヘラを使って均等にならすという作業もあり、意外に思う人も多いかもしれません。

全自動の機械もありますが、スピードは手動の方が速いとのこと。機械は高額のため、導入している店舗とそうでない店舗があるようです。

こうして機械から出てきた薬は、「毎食後」「昼食後」などと印字された袋に個装され、お馴染の形になるわけですね。

作業はこれで終わらず、出てきた薬を1日分ごとに分けて薬の重さを量ります。誤差の許容範囲からはみ出たものは、その分だけ作り直しになるそうです。

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出典:中野昇【ナカショウ】/薬剤師/福岡(@sho_molth)さん

最後には粉薬を作った人とは別の人が、再度処方箋の内容が正しいか、粉薬に異物が入っていないかを一つひとつチェックする「監査」という工程があります。こうして、ようやく薬が出来上がるのです。

1人分の薬は1種類ではないことも多いので、このような作業が繰り返されると思うと、1人分の薬を用意するにも時間がかかるのは頷けます。

調剤薬局での待ち時間が長くなってしまうのには、薬作りに時間がかかるという理由があったのですね。確かに待合室でこの動画を流すと「なるほど、こんな工程を経ているのか!」と楽しめるだけでなく、「どうりで時間がかかるわけだ」「薬剤師さん大変そうだな…」と理解できるかもしれませんね。

薬剤師さんの仕事

粉薬を作る動画について、中野昇さんに詳しいお話をお伺いしました。

---こんなにお手間のかかる工程が行われていたのですね!こちらの動画で、説明しきれなかったことや、実際と少し違うことなどありましたら教えてください。

「動画内でも説明していますが、自動で粉薬を作る機械もあることや処方内容によっては乳鉢で混ぜずに1つ1つを機械に入れて機械の中で混ぜる方法もあります」

---処方内容によって異なるのですね。こちらの動画には「知らなかった」や「うちの薬局はこうです」などさまざまなコメントが寄せられましたね。

時間がかかる理由を知れてよかったという声が多かったので、知ってもらえて薬剤師にとっても患者さんにとってもよかったと思いました。薬剤師の仕事内容は知られていない部分が多いのでその部分を知ってもらえる嬉しさももちろんあります」

---薬剤師さんの仕事については、分からないことも多かったので、よい機会になりました。

驚きと感謝の声

こちらの投稿を見た人からはさまざまなコメントが寄せられました。

「ほあーすげー!これを『ただ紙を見ながら棚から薬を出すだけ』みたいに言う奴が居るんだからそりゃあね、本職からしたら腹立つ訳ですわ」
想像以上に手間が掛かってて驚く 裏側見るってホント大切」
こんな手間がかかってるなんて知らなかった……!!全ての調剤薬局で流してもいいと思う。イライラする人絶対減る……!!そして感謝の念が生まれる……いつもありがとうございます」

なかには、薬剤師さんからのコメントも。

「久しぶりにVマス見ました!ヘラで一往復で粉ならせると気持ちよかったです(笑)入社時はほぼVマス、今はほぼ円盤。時代は進化したなぁと思いますが、全自動分包機が欲しいです←」
「これ私も時々やる。元々粉薬だとこの手順だけど、錠剤を分包にする時は錠剤を乳鉢で粉にする手順が最初にプラスになるよ。そして平らにならすのは慣れてないと何時までやっても終わらないw」
「そーなんだよー!めちゃくちゃ時間かかるの。この動画は2種類だけだけど、最近よく出る子供用粉薬だと、痰切り咳止め気管支拡張等など4剤くらい混ぜる処方で、しかも兄弟姉妹で数名分とかなるとすんごく時間かかるから、しかも、その後一包化とか入って…待ってもらってる間の空気感が辛い時ある」

薬を用意するまでの工程を見て、驚いたという人がたくさんいたようです。これから寒くなり、ますます体調を崩す人が増えるというなかで、薬剤師さんは頼りになる存在ですね。



取材協力:中野昇【ナカショウ】/薬剤師/福岡(@sho_molth)さん