確率の問題の題材として扱われる「じゃんけん」。
誰もがやったことのあるゲームですが、その確率をきちんと求めるには、問題文をしっかりと読まなければいけません。
特に「3人でのじゃんけん」は、試験問題としてもよく扱われ、なんとなくで解いていると間違えてしまいます。
今回は、じゃんけんに関する確率の問題に挑戦してみましょう!
問題
Aさん、Bさん、Cさんの3人でじゃんけんをする。このとき、次の①〜③のうち、確率が異なるものを選びなさい。
(1)Aだけが勝つ確率
(2)Aが勝つ確率
(3)1人だけが勝つ確率
3つの確率を比べる問題です。3つのうち、2つは等しく、1つだけ異なる確率になります。
それぞれの問題文の違いが分かるでしょうか。
さて、今回の問題の答えは(1)です。
(2)と(3)は同じ確率です。
解説
まず、確率を考えるには「すべての場合の数」を求める必要があります。
今回の場合は3人のじゃんけんの手の出し方です。
それぞれがグー、チョキ、パーの3通りずつ手を出せるので、3×3×3=27通りの組み合わせがあります。
そして、そのうち「問題の条件に合う場合」が何通りあるかを考えます。
(1)Aだけが勝つ確率
すべてで27通りあり、そのうち「Aだけが勝つ」という場合が何通りあるかを求めましょう。
「Aだけが勝つ」のは、
Aがグーなら、残りの2人はチョキ、
Aがチョキなら、残りの2人はパー、
Aがパーなら、残りの2人はグー
とならなければいけません。
つまり、上記の3通りが「Aだけが勝つ場合」ということになります。
その確率は3/27= 1/9(9分の1)です。
(2)Aが勝つ確率
先ほどとの違いは分かるでしょうか。「だけ」という言葉が抜けましたが、これは全く異なる状況になります。
「Aが勝つ」というのは、もちろん「A1人だけ勝つ」という場合がありますが、それだけではありませんね。
3人でじゃんけんをすれば、ふたりが同時に勝つ場合もあり得ます。これを考慮しなければいけません。
「A1人だけ勝つ」は、さきほどの3通り。
「AとBが勝つ」のは、さきほどと同じようにグー・チョキ・パーでそれぞれ勝つ場合があるので3通り。
さらに「AとCが勝つ」のは、同様に3通り。
したがって「Aが勝つ」のは、3+3+3=9通りです。
その確率は9/27= 1/3(3分の1)です。
(3)1人だけが勝つ確率
これも「Aだけが勝つ確率」との違いが分かるでしょうか。
「1人だけ」というのは、特に「誰が」という指定がされていません。「A1人」でも「B1人」でも「C1人」でもいいわけです。
「A1人だけ勝つ」は、(1)で求めた3通り。
「B1人だけ勝つ」は、人物が変わっただけで考え方は同じなので3通り。
「C1人だけ勝つ」も、同様にして3通り。
したがって「1人だけ勝つ」のは3+3+3=9通りです。
その確率は9/27= 1/3(3分の1)です。
以上より、(1)の場合のみ1/9で、(2)(3)の場合は1/3という確率になりました。
まとめ
「Aだけが勝つ確率」「Aが勝つ確率」「1人だけが勝つ確率」と、とてもよく似た問題文ですが、それぞれの状況は異なりますね。(2)と(3)は同じ確率ですが、考え方はまったく違います。
計算の力はもちろん、算数・数学では、このように文章をしっかりと読むことも大切です。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」