A3用紙は、A4用紙の2倍の大きさです。
しかし、A4からA3へ拡大するときにコピー機で「200%の倍率」と設定してしまうと、うまく拡大ができません。コピー機を使って拡大・縮小をするときに、そんなミスをしてしまったことはないでしょうか。
実は、A4からA3への拡大は「141%の倍率」に設定しなければいけません。
この「141」という数字はなぜでしょうか。
今回は、拡大図に関する問題に挑戦し、その謎を考えてみましょう。
問題
9cm²の正方形を2倍に拡大すると、面積はいくらになるでしょうか。
2倍の拡大図の面積を考える問題です。
2倍に拡大だから、9×2=18cm²と考えていませんか。実は18cm²は間違いです!
答えは「36cm²」です。
解説
2倍に拡大した図ですが、面積は単純に2倍とはなりません。
「2倍に拡大」というのは、「辺の長さをそれぞれ2倍する」という意味です。
「9cm²の正方形」ということは、1辺の長さは3cmずつですね。その縦と横をそれぞれ2倍にしています。
つまり、2倍の拡大図は「1辺の長さが6cmずつの正方形」ということになります。
よって、その面積は6×6=36cm²です。
実は、2倍に拡大すると面積は4倍になるのです。下図をみると、4倍になっているのが分かりやすいですね。
一般には「x倍に拡大すると、面積はx²倍」となります。
2倍に拡大 → 面積は4倍
3倍に拡大 → 面積は9倍
4倍に拡大 → 面積は16倍
では、A4からA3のように「面積を2倍」にする場合は、倍率をどのようにすればよいのでしょうか。
x倍に拡大 → 面積はx²倍
上記のような関係になるので、x²=2。つまりx=√2ということになります。
√2は、およそ1.4142・・・という数です。
よって約1.41倍に拡大すれば、面積を2倍にすることができます。
A4からA3への拡大が「141%の倍率」というのは「√2倍に拡大」ということを表していたのです。
まとめ
倍率と面積の関係について解説しました。
コピー機の「141%」という数字も、きちんと意味のある数字だったのです。
コピー機を使って拡大・縮小をするときは、気をつけてくださいね。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」