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ドジャースの「資金力」はどこから??"大谷翔平"と"山本由伸"に合計「1400億円」以上をつぎ込めるワケ

  • 2023.12.25
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写真:PIXTA

メジャーリーグのナショナル・リーグ西地区に所属するロサンゼルス・ドジャースの「資金力」が話題になっています。
今オフ、フリーエージェント(FA)の目玉だった大谷翔平選手と10年総額7億ドル(約1000億円)のプロスポーツ史上最高額で契約を結んだかと思えば、直後に日本球界からメジャー移籍を表明していた山本由伸投手とも、12年総額3億2500万ドル(約455億円)の投手史上最高額(※二刀流の大谷選手は除く)で契約。このオフだけで2人の日本人選手に総額10億ドル以上(1400億円以上)をつぎ込む大盤振る舞い。

SNSでは「資金力半端なさすぎる」「えぐい」「底なしの資金力」と、あまりの天文学的数字に驚愕を通り越した感嘆の声が殺到。

ちなみに、日本のプロ野球12球団の総年俸は2023年で約412億円(※推定額)と言われており、2人の契約は日本野球界の総年俸の3年分以上。一体、どこからそんな資金が生まれているの?と疑問に思う人も多かったはずです。

そこで今回は、2人の日本人スーパースター獲得に成功したドジャースの「資金力」の秘密を、解説していきましょう。

ドジャースのオーナーは?

ドジャースのオーナーを務めるのはアメリカの投資家グループ『グッゲンハイム・ベースボール』。日本のプロ野球は2023年現在、いわゆる『企業』がチームを保有するケースがほぼ100%(広島東洋カープを除く11球団)。球団名にもすべて企業名やブランド名が冠として入っていますが、メジャーリーグでは球団名に企業名が入ることはありません。そのため、あまり「オーナー企業(グループ)」が公にされておらず、近年は複数の投資家がグループを組み、メジャーリーグの運営を行うケースも増えています。

筆頭オーナーのマーク・ウォルター氏は投資顧問会社『グッゲンハイム・パートナーズ』CEOを務め、個人資産は58億ドル(約8400億円)とも言われる大富豪。ちなみに、オーナーのひとりにはドジャースと同じロサンゼルスを本拠地にし、八村塁選手も所属するNBAチーム、レイカーズのレジェンド、マジック・ジョンソン氏も名を連ねています。

『グッゲンハイム~』は2012年、北米プロスポーツ史上最高額となる20億ドル(当時レートで約1660億円)でドジャースを買収。以降、豊富な資金力で大型補強を次々と繰り出し、メジャーリーグ内でもその資金力は大きな話題に。

とはいえ、オーナーはあくまでも『投資家グループ』を母体としているため、球団を保有するメリット=収入がなければ成り立ちません。実際、今オフに大谷選手、山本投手と締結した契約総額は球団買収額の1/2以上。それだけの資金を捻出するには、オーナーの資金力だけでなく、巨額契約を可能にするだけの収入源が必要になります。

では、ドジャースはいかにしてそれだけの収入を得ているのか――。

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写真:PIXTA

最大の源泉は破格の放映権料にあります。ドジャースは地元の『スポーツネットLA』と放映契約を結んでいますが、米データサイト『fangraphs』によると、契約額は年平均で2億3900万ドル(約340億円)。これはメジャーリーグ30球団でもトップの数字です。また、集客力も圧倒的で2023年は年間約384万人、1試合平均4万7371人をスタジアムに集めました。ちなみに観客動員2位のニューヨーク・ヤンキースは1試合平均4万862人で、その差は実に6509人。

メジャーリーグトップの放映権、集客力により、2022年の球団総収入は5億6500万ドル(約800億円)に上ると言われています。

ちなみに、観客動員だけで言えば日本のプロ野球も負けてはいません。2023年のNPBトップは阪神タイガースの291万5528人で、1試合平均は4万1064人。試合数が違うため、総数ではメジャーリーグに後れを取りますが、平均観客数で言えば阪神のそれはメジャーリーグでもドジャースに次ぐ2位に該当します。

試合数やチケット代の差はありますが、やはり日本とメジャーの最大の差は破格の放映権料にあると言っていいかもしれません。

年間800億円という巨額の収入と、それを継続できるだけの人気に支えられているからこそ、ドジャースは2人の日本人に10億ドルもの大金を『投資』することができるのです。

ちなみに、ドジャースには2人以外にも12年総額3億6500万ドル(約520億円)のムーキー・ベッツ選手、6年総額1億6200万ドル(約230億円)のフレディ・フリーマン選手など、長期高額契約を結ぶスーパースターを多く擁しています。

入団会見で大谷選手が語った「ポストシーズン進出」、そしてその先にある「世界一」へ向け、豊富な資金を惜しみなく注ぐドジャース。

2023年、WBCで世界一を達成した大谷、山本両選手。来季はユニフォームをドジャーブルーに変え、メジャーの舞台で再び「世界一」を目指すことになります。


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1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※現在のレートは1ドル=142円で換算。

※記事内の画像は一部イメージです。

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