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「歴代最強の走力だと思う選手」ランキング!3位「赤星憲広」、2位「福本豊」を抑えた1位は?【プロ野球ファン100人に聞いた】

  • 2024.1.12
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写真:PIXTA

「走攻守」という言葉があるように、野球選手にとって「走力」はもっとも重要な能力の1つとされています。

「走力」と一言で言っても、単に速く走る能力を指すだけではありません「ベースランニングの技術」、「進む・止まる・戻るなどの判断力」、「盗塁時の瞬発力やスライディング技術」など、これらすべてを合わせた総合的な能力として指すことが多いです。

1点を争うような緊迫した試合ではたった1つの走塁が勝敗を分けるといったこともあります。また走力の高い選手が塁にいる場合、守備側にプレッシャーをかけることができ、牽制ミスやピッチャーの集中力を乱し、結果的に打者に甘いコースを投げさせられることでヒットやホームランなど長打を誘発する効果も。

また、守備面でも大きな貢献をします。走力が高い選手は広い守備範囲をカバーできるため、通常であればヒットとなる打球に間に合い、アウトにすることができたり本来であれば長打コースをシングルヒットで抑えることもできます。

このように、野球は豪快なホームランや観客を魅了する守備のファインプレーが注目されることが多いですが、走力が高い選手はあらゆるシーンでチームの勝利に大きな貢献をしているのです。

日本のプロ野球では過去、そして現在も多くの走塁に長けた選手が生まれてきましたが、ファンが「歴代最強」だと思っている選手は一体誰なのか?

今回はプロ野球ファン100名を対象に「歴代最強の走力だと思う選手は?」というアンケートを実施。

得られた回答結果をランキング形式で紹介します。

なお、盗塁数など成績だけで判断はすることなく「最強」の定義自体を回答者の方に委ねているので、投票理由も多岐にわたります

それでは早速見てきましょう。

【第3位】赤星憲広(14票)

第3位となったのは赤星憲広選手でした。俊足揃いの当時の阪神選手に名付けられた「F1セブン」の筆頭で、名前にちなんだ“レッドスター”の愛称としてもファンに親しまれた選手です。

赤星選手は2000年にJR東日本からドラフト4位で阪神タイガースに入団。開幕を一軍で迎えたプロ1年目から39盗塁を決め、いきなり盗塁王と新人王を受賞。以降、プロ入りから5年連続で盗塁王を獲得するという偉業を成し遂げています。

また、走力を活かした守備力も長けておりプロ生活で3度のゴールデン・グラブ賞を獲得。とくに2003年シーズンにおいては守備率1.000という素晴らしい成績を残しました。

残念ながらプロ入り後は首を中心にケガに悩まされ、プロ生活は9年間という短いキャリアとなってしまいましたが、通算で381もの盗塁に成功。球史に残る選手として阪神ファンのみならず野球ファンに大きなインパクトを残しました。

赤星選手は盗塁を成功させるポイントについて、名キャッチャーである谷繁元繁選手のYouTubeチャンネル『谷繁ベースボールチャンネル』に出演した際に「キャッチャーのレベルは(社会人と比べ)完全に上だが、ピッチャーのクイックモーションの精度は社会人のピッチャーのがしっかりやっている」という前提を話した後、盗塁を成功させるため「クイックは1.2秒」というタイムの基準を設けていたといい、クイックが1.2秒を超える投手に対しては「全員勝負にいけると思っていた」と語っています。

盗塁王5回は、ものすごい記録で、盗塁といえば赤星というイメージの時代があった。盗塁の仕方を、後輩に教えている映像を、テレビで見たが、技術的な理論についても語っており、走力だけでなく、テクニックも非常に素晴らしかった。(43歳・男性)
盗塁時の速さ、成功率はもちろんですが、守備面で特に走力を圧倒的に披露していたイメージがあります。センターを守る中で守備範囲がとにかく広い、赤星さんが現役時はセンター方向への打球ヒットゾーンが極端にない感じがするぐらい走力での貢献度は高かったと思います。首を痛めなければ歴代盗塁でもトップにいける実力はあったと思います。(37歳・男性)
3年連続60盗塁以上は凄まじい記録だと思います。名前に因んだレッドスターというあだ名も印象的です。(33歳・男性)
現役時代に盗塁を失敗した場面がほとんど思い浮かばないから(34歳・男性)

【第2位】福本豊(19票)

第2位には“世界の盗塁王”こと福本豊選手がランクイン。

なんといっても福本選手は20年間のプロ生活の中で通算1065個の盗塁を決めており、1シーズンでの最多盗塁はなんと106個(1972年)!それも出場122試合の中で達成しています。これらの数字は今なお破られておらず、「この先更新する選手が現れることはないのでは?」とも思える日本プロ野球記録です。

福本選手は1968年にドラフト7位で阪急ブレーブス(現在のオリックス・バファローズ)に入団。プロ2年目となる1970年シーズンから主力として活躍し、このシーズン75個の盗塁を記録すると1982年シーズンまで13年連続盗塁王という脅威の成績を残しています。

また、走力だけでなく卓越した守備力にも注目。12年連続受賞したゴールデン・グラブ賞は受賞回数、連続受賞とも最多です。さらに打撃面においてもパワーがありプロ通算で208本塁打、2543安打、通算打率.291という超一流打者にしか残せないような打撃成績まで残しています。これらからも福本選手が走攻守すべて揃った球史に残る選手であることがわかるでしょう。

盗塁について、自身のYouTubeで「ランナーに出たら監督が走れと。クセがどうのこうの分からんけど、勢いだけでスイスイスイと行った」と言っています。また、当時阪急ブレーブスの一軍マネージャー兼トレーニングコーチで元五輪選手だった浅井浄コーチのもと、走る際にこれまで横に振っていた腕をまっすぐに振るようなトレーニングを行ったことや、陸上競技のような低い姿勢のロケットスタートが盗塁数を飛躍的に伸ばせた効果として大きかったとも。

やはり世界の盗塁王と言われるだけの盗塁数。累積盗塁数からも分かるように健脚であった事も評価に値する。(33歳・男性)
通算盗塁数、シーズン最多盗塁数など世界の福本として桁違いの実績を残した(53歳・男性)
シーズン100盗塁以上の選手は今後出てこないと思うから(42歳・男性)
世界の盗塁王。走塁技術だけでなく、ピッチャーのクセを見抜く目も長けている。試合を左右する場面での盗塁を重要視していたそうなので、内容を見ても価値が高いと思います。(49歳・男性)

【第1位】周東佑京(24票)

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写真:CTK Photo/アフロ

名だたる名選手たちを抑え、今回のアンケートで第1位となったのは“鷹の韋駄天”こと、周東佑京(しゅうとう うきょう)選手でした!

周東選手は2017年の育成選手ドラフト2位で福岡ソフトバンクホークスに入団。1年目のシーズンは1軍出場こそなかったものの、翌2019年に支配下選手登録されると途中出場も多いながら100試合以上に出場。プロ初盗塁を含む25個の盗塁を決めました。そして3年目のシーズンとなった2020年、シーズンを通して主力として出場すると50個の盗塁を決め初タイトルとなる盗塁王に輝きます。さらに、この年の盗塁失敗はわずか6回と、プロ野球史で見ても非常に高い盗塁成功率(89.3%)となりました。

また、俊足が高く評価され2019年の「WBSCプレミア12」や記憶に新しい2023年の「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)」の日本代表にも選出。なかでも劇的なサヨナラ逆転勝利となったWBC準決勝メキシコ戦では、村上選手の打球を1塁ベースからサヨナラのホームを踏む激走。その際のベースランニングは時速30キロ超えで2塁ランナーだった大谷選手を追い抜かさんばかりだったと大きな話題となりました。あまりの速さから「#一塁でも得点圏」という言葉も生まれ、トレンド入りするほどでした。

ちなみに周東選手の走力が存分に発揮された2019年9月28日のオリックス戦をまとめたYouTube動画「周東佑京 全てを置き去りに…『驚異の韋駄天走り』で世界を驚かせる」((パーソル パ・リーグTV公式)PacificLeagueTV)は現在まで490万回以上の再生数を誇る超人気動画となっています。

このようにファンから支持されている周東選手ですが、プロ生活はまだ6年で通算盗塁数は154と福本選手を始めとする球史に残るレジェンドたちとは成績だけ見ると見劣りしているのは事実。それでも今回のアンケートで1位となったのはなぜなのでしょうか?

それは、今回のアンケートの回答者を世代別で見ると30代以下の回答者が約4割と多かったこと(下記画像)、2023年シーズンも自身2度目となる盗塁王、そして前述のWBCでの印象が回答者の記憶に強く残っていたからではないかと予想します。実際にWBCでのホームインを言及する声が多く集まっていました。

WBC準決勝での、一塁からの走塁はしびれました。前のランナーの大谷選手を抜かしそうな勢いの速さは、目を見張るものがありました。彼が今の野球会では、走塁の速さNo. 1だと思います。(44歳・女性)
NPBの試合ではもちろん、いまや侍ジャパンの一員として非常に注目の選手だと思います。周東選手が塁に出ることによって、相手チームは緊張感が高まるでしょうし、観ている観客も盗塁に期待を寄せます。(26歳・女性)
2023年のWBC準決勝9回裏、サヨナラ勝利を決めた走塁が驚きと感動だったから。(50歳・女性)
WBCでの激走を見てあれだけ早い大谷の後ろで追いつきそうなぐらいのスピードでの激走。走塁技術も含めて恐らく歴代NO1だと思います。(39歳・男性)
とにかく足が早く、特にワールド・ベースボール・クラシックで前にいた俊足の大谷翔平でさえ追い越しそうになるくらい韋駄天なところ。(61歳・男性)
足の速さはもちろん、投手の癖を把握した盗塁、打球判断、ベースランニング、全てにおいて秀でている。(45歳・男性)

4位以下の選手とコメント

イチロー(12票)

イチローは俊足であることでも有名で一塁到達まで3秒台を叩き出し、何度も自分の足で凡打をヒットに変えてきたから。(56歳・女性)
みなさんもあげられると思い、他の選手も考えたのですが、やはりイチロー選手の鮮やかな走塁、守備での素晴らしい走りが記憶に残っています。(55歳・男性)

鈴木尚広(3票)

巨人が試合終盤にランナーを出すと代走鈴木尚広が出てきた。鈴木は足の速さはもちろん盗塁のスタートの切り方も速く全くアウトにならず、チャンスを拡大させ巨人の優勝に貢献した。(40歳・男性)

松井稼頭央(3票)

盗塁での走りは鮮やかでまるで風のような俊足だったから(34歳・男性)

結果はこちら

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アンケート回答結果と、年代別のグラフがこちら。

世界の盗塁王・福本選手をおさえトップに輝いたのは、現役選手であり今年のWBCでも活躍した周東選手でした。また、プロ野球・メジャー通算で708盗塁のイチロー選手は4位となっています。

来シーズン、ここにランクインした選手たちの走塁技術にも注目してプロ野球を楽しみたいですね!


調査方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
調査実施日:2023年12月14、15日
調査対象:全国の10代~60代
有効回答数:100

参考:谷繁ベースボールチャンネル「【赤星憲広】盗塁成功を左右する0.1秒の壁。球界トップレベルの捕手と走者が語る盗塁の真髄!!」(YouTube)、世界の盗塁王 福本豊チャンネル「『福本豊の自叙伝④』 阪急ブレーブス・2〜3年目編」(YouTube)、(パーソル パ・リーグTV公式)PacificLeagueTV「周東佑京 全てを置き去りに…『驚異の韋駄天走り』で世界を驚かせる」(YouTube)

※記載している回答は原文ママ

※2023年12月25日時点での情報です。サムネイル、記事内の画像はイメージです。

※現在現役・引退をした選手に関わらず敬称は「選手」で統一しています。

※サムネイル写真出典:PIXTA