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「きっと結婚しよう」『ブギウギ』スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)に迫る戦争の影……。

  • 2023.12.27
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二人の行く末を暗示する、病床でのプロポーズ

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(C)NHK

患っていた結核が再発した愛助のため、入院先ではもちろん、後に坂口(黒田有)が手配した三鷹の療養所でも看病に徹するスズ子。まさに片時も離れぬスズ子の姿を見て、愛助は「病気がよくなったら結婚しよう」とプロポーズをする。「きっと結婚しよう」と受けるスズ子の表情も含め、『ブギウギ』を象徴するシーンとして語られていくだろう。

しかし、状況が良いほうに進めば進むほど、悪い展開がやってくるのでは……と心配になってしまうのが朝ドラの鉄板である。

愛助の病状は、スズ子の必死の看病により快方に向かっているように見える。しかし、いつまた倒れてしまうかわからない、ギリギリの状態であることに変わりはない。

くわえて、時世は戦中の真っ只中だ。空襲警報が鳴っても、まともに逃げることもできない愛助を抱えて、二人は生き延びられるのか。病床でのプロポーズが、悲しい伏線回収になってしまうことだけは避けてほしい。

舞台へ復活できたスズ子

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(C)NHK

坂口がトミ(小雪)を説得してくれたおかげで、山下(近藤芳正)がスズ子の新しいマネージャーとして就任することに。晴れて巡業も再開できた。しかし、スズ子と愛助に次なる試練がやってくる。

スズ子と楽団たちが、巡業のため地方にいるあいだに、東京の地には空襲警報が鳴り響いた。それでも公演を中止せず、歌手・福来スズ子として歌い上げた彼女のプロ意識には、頭が下がる一方だ。急いで東京に戻ってくると、あたりは崩壊し、見慣れた景色は跡形もなく消え去っていた。

12月27日の放送回では、変わり果てた東京の姿を前に、力を失い佇むばかりのスズ子を映して終わった。果たして、愛助は無事なのか。病気に戦争と、二人を分かつ障害があまりにも多すぎる。

スズ子本人も言っていたとおり、彼女は母と弟をすでに亡くしている。どちらもまともに側にいてやれなかった。彼女は「死なせてしまった」という言葉を使うほど、家族のために時間を使えなかったことを悔やんでいる。愛助の看病のため、必要以上に時間と労力を割いていたのは、きっとこの後悔を繰り返さないためでもあったのかもしれない。

愛助は無事なのか。スズ子は最後まで愛助とともに生きるのか。それとも、歌手として人生を全うするのだろうか。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_