指数を含んだ計算は、さまざまな計算の工夫ができる一方、「できない式変形」にも注意しなければいけません。
見た目に騙されて「こんな感じで計算しよう」と思うと、数学的に正しくない式変形だったということがあります。
今回は、そのような指数を含んだ計算に挑戦し、正しい計算方法を身につけましょう!
問題
次の計算をしなさい。
222²−22²−200²
2乗された数が3つあり、それらをひき算しています。
もちろん地道に計算することも可能ですが、少し大変な計算になりそうです。
なにか工夫して計算はできないでしょうか。
今回の工夫のポイントは、200と22を合わせると222になるということです。
さて、今回の計算の答えは「8,800」です。
解説
2乗の計算でよくある間違いのひとつは、「2乗の和」と「和の2乗」を等しいとしてしまうことです。
「2乗の和」というのは、「x²+y²」のように、2乗した数同士をたし算したものです。
「和の2乗」というのは「(x+y)²」のように、たし算した後に2乗したものです。
「2乗→たし算」「たし算→2乗」と計算の順序が異なりますね。これらは計算結果が違います。
2乗の展開公式を習いたての中学生は、よく「(x+y)²=x²+y²」という間違いをしてしまいます。
正しくは次の計算となります。
(x+y)²=x²+2xy+y²
では、今回の問題を考えてみましょう。
222²-22²-200²となっており、200と22を合わせると222が作れます。
しかし、それぞれが2乗されているので、このままではひき算することができません。
そこで、x=200, y=22として文字式で考えてみましょう。
(数式の変形に慣れている方は、文字に置き直さなくても計算ができるかと思います)
222²−22²−200²
=(200+22)²−22²−200²
=(x+y)²−y²−x²
=x²+2xy+y²−y²−x²
=2xy
2乗部分がひき算されて、2xyだけが残りました。
x=200, y=22だったので、
2xy
=2×200×22
=8800
となります。
したがって、今回の計算の答えは「8,800」です。
まとめ
2乗を含んだ計算でしたが、展開公式をうまく使うことで、最終的には単なるかけ算として計算することができました。
「(x+y)²=x²+2xy+y²」の展開は、2xyの部分を忘れてしまうというミスがよくあるので、気をつけましょう。
間違えた方は、この機会にぜひ学び直しをしてみてください!
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」