折り紙はほとんどの方がやったことがあるでしょう。
ぺらぺらの紙でも、数回折って重ねてを繰り返すと、厚みがでてきます。しかし、厚みといっても普通の折り紙であれば、数ミリ程度ですね。
では、もっと大きな紙を使って折っていくと、どのくらい分厚くすることができるでしょうか。学校ではあまり問われないので、大人の皆さんもパッと答えるのは難しいのではないでしょうか。
今回は、そのような問題を数学的に考えてみましょう。
問題
厚さ0.1mmの紙を半分に折る操作を繰り返し、分厚くしていく。折り曲げて厚くした紙の高さが、富士山(3,776m)よりも高くなるのは、何回折ったときでしょうか。(紙は十分大きいと考えてよい)
A. 26回
B. 51回
C. 120回
D. 250回
紙の厚さは0.1mmです。1回折り曲げると厚さは倍になって、0.2mmです。
さらにもう1回折り曲げると、また倍になって0.4mmですね。
このように、紙を1回折り曲げるごとに厚さは倍になっていきます。
これを繰り返していけば、どこかで富士山の高さよりも高くなりますね。それは、紙を何回折ったときでしょうか。
さて、今回の答えは「A. 26回」です。
解説
「26回」で富士山の高さに到達するというのは、予想よりもかなり少ない回数ではないでしょうか。
本当に26回で富士山を超えるのか、計算してみましょう。
始めの紙の厚さは0.1mmですが、半分に折り曲げるごとに厚さは2倍になります。
1回折り曲げれば2倍。
2回折り曲げれば4倍(2×2=2²)
3回折り曲げれば8倍(2×2×2=2³)
・・・
つまり、n回折り曲げれば、2ⁿ倍の厚さになるということです。
10回折り曲げたときの厚さを考えてみましょう。
厚さは、2¹⁰倍になります。(2¹⁰=1024)
0.1mm×1024
=102.4mm
=10.24cm
10回折っても10cm程度と、富士山の高さには遠くおよびません。
では次に、20回折ったときの厚さです。(2²⁰=1,048,576)
0.1mm×1,048,576
=104,857.6mm
=10,485.76cm
=104.8576m
ようやく紙の厚さが100mを超えましたが、それでも富士山の高さはまだまだですね。
今度は、25回折ったときを計算します。(2²⁵=33,554,432)
0.1mm×33,554,432
=3,355,443.2mm
=335,544.32cm
=3,355.4432m
25回目で、やっと約3,355mを超えました。富士山の高さ3,776mまであともう少しですね。
つまり、あと1回折れば、富士山の高さを超えることになります。
26回折ったときを計算してみましょう。(2²⁶=67,108,864)
0.1mm×67,108,864
=6,710,886.4mm
=671,088.64cm
=6,710.8864m
20回折ったときには100mだったのに、そこから+6回で6,000mを超えるようになりました。
これは、指数の計算をしているからです。折った回数に応じて「2の○乗」の計算をしていましたが、○乗の部分がある程度大きくなると、計算結果は爆発的に大きくなっていくのです。
まとめ
意外にも、たった26回折るだけで富士山の高さに到達しましたが、これはもちろん理論上の数字であって、現実では折り曲げることができません。
高さは指数的に高くなっていきますが、半分に折っているわけなので面積は半分になっていきます。
26回も折るとなると、そのときの紙の面積は元の大きさの6000万分の1以下に。実現は難しそうですね…。
何回まで折ることができるか、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。