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「川口和久のようなサウスポーに…」北海道が産んだ怪腕は広島の左のエースになれる逸材

  • 2023.11.15
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写真:PIXTA

「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、広島東洋カープに3位で指名された滝田一希とはどのような選手なのか、人気野球ライターが特徴をご紹介いたします。

滝田一希(星槎道都大学)投手 - 左投左打

球威とスケールにかけては、この北海道が産んだ怪腕がナンバーワンかもしれない。近い将来、川口和久(元広島ほか)のようなサウスポーに成長する未来予想図が描ける大器だ。

大学までは日の当たらない野球人生を歩んできた。地元の公立校・寿都では部員数の少ない野球部でプレーし、星槎道都大の二宮至監督の目に留まらなかったら就職する予定だったという。身長183センチ、体重76キロの長身左腕で、そのシルエットはいかにも逸材のムードが漂っている。

だが、いざ投球フォームを見ると、同じ方向に向かって両手をぐるりと回す変則モーションに度肝を抜かれる。指にしっかりとかかった最速153キロのストレートは、強打者のバットを粉砕する力がある。今春の大学選手権では大阪商業大打線に中盤つかまったものの、破壊力のあるストレートで強打線を抑え込むシーンも多々見られた。滝田本人も「ストレートで少し押せたのは自信になりました」と語っている。

そして、この投手にはチェンジアップという飛び道具がある。100キロ前後の球速でブレーキの効いた不思議な変化球は、打者の打ち気を絶妙にそらす効果がある。ハイレベルな打者でも面食らう、存在感が際立つボールだ。

今春は札幌学生リーグでチームを優勝に導いている。ただし、その完成度は高いとは言えない。投球にムラがあり、コントロールも発展途上。バント処理などフィールディング能力も高くはない。大学4年生ながら「粗が目立つ」ととるか、「伸びしろがある」ととるかで評価は分かれそうだ。

6月に左臀部の痛みを発症して今秋のリーグ戦は出遅れたものの、シーズン後半に復帰している。これまで肩・ヒジの故障歴がないのもアピール材料になりそうだ。

取材の際は「人見知りなので……」と伏し目がちに話すシャイな一面もある。北海道の大地が育んだ怪素材はこれから本格開花へと向かうのか、それとも……。スカウトの眼力が問われるサウスポーである。


菊地高弘(きくち・たかひろ)
1982年生まれ、東京都出身。雑誌『野球太郎』編集部員を経てライターとして独立。「菊地選手」名義で執筆した『野球部あるある』(全3巻・集英社)は13万部のヒット作になった。2019年に上梓した『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)はTBS系日曜劇場の原案としてドラマ化された。近著に『野球ヲタ、投手コーチになる。 元プロ監督と元生物部学生コーチの京大野球部革命』(KADOKAWA)がある。

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