算数・数学では、時計を題材にした問題もよく出題されます。
その中でも、アナログ時計の長針と短針がどのように動くのかは、簡単に見えて意外と解くのが難しい問題です。
日常では1日に何度も目にする時計ですが、それを数学的に考えてみましょう。
問題
3時と4時の間で、時計の長針と短針がぴったり重なるのは、「3時何分」からの1分間でしょうか。
時計の針の動きに関する問題は、角度を考えるのが一般的です。
例えば「3時00分」のとき、長針と短針がなす角度は90度ですよね。
「15分たてば、長針が3の位置に来るから、重なるのでは?」と考えた方は、注意が必要です。その間に短針も少し移動しています。
この問題を考えるには、「長針と短針の両方がどのようなスピードで動くのか」を考える必要があります。
長針の動きはイメージしやすいですね。1分で1目盛りです。
ポイントは1目盛りを角度で考えるということです。時計の1目盛りは何度でしょうか。
落ち着いて考えてみてください!
さて、長針と短針が重なる時刻は「3時16分」からの1分間です。
解説
まず、長針と短針のそれぞれの進む速さを角度で表してみましょう。
長針は60分で1周(360度)します。よって360÷60=6となり、1分で6°ずつ進みます。
短針は12時間で1周(360度)ですね。すると1時間あたりだと360÷12=30(1時間で30°進む)です。
さらに1分あたりを計算すると30÷60=0.5となり、1分で0.5°ずつ進むということが分かります。
長針は1分で6°ずつ進む。
短針は1分で0.5°ずつ進む。
長針は6°進み、短針は0.5°進むということは、1分ごとに5.5°ずつ角度が小さくなるということです。(6-0.5=5.5)
ここで、時計の初めの状態を確認しましょう。
3時00分のときは、長針と短針の間に90°の開きがありました。これが1分ごとに5.5°ずつ差が詰まっていくわけです。
長針と短針が重なるというのは、角度が0°になるということです。
そのようになるのは
90÷5.5=16.3636・・・
なので、16分から17分の間です。
つまり、長針と短針が重なる時刻は「3時16分」からの1分間ということになります。
(3時16分ぴったりに重なるわけではありません)
まとめ
時計の針が重なる時刻を求める問題は、算数としても数学としても定番の問題です。
算数では「旅人算」として、数学では「方程式」として解くことができます。
今回紹介した解き方は「旅人算」の考え方です。時計の針の動きを「旅人」に見立てて、2人で追いかけっこをしているという考え方になります。
時計という身近なものを題材にしていますが、時間ではなく角度に着目するというのがポイントでした!
文・監修:SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。
編集:TRILLニュース