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ドラマ超えの衝撃!伝説の「甲子園決勝」を野球ライターが解説

  • 2023.8.22
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画像:photoAC

今年も甲子園球場で行われている「第105回全国高等学校野球選手権記念大会」、通称「夏の甲子園」。高校球児たちが日本一の座を目指し、灼熱のグラウンドで汗を流す姿は、“高校の部活動”の域を超えた国民的行事となっています。

「甲子園」がここまで愛される理由

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出典:104000/Shutterstock.com

甲子園が、ここまで多くの人に愛される理由。それは、フィクションでも描けないような“奇跡”や“ドラマ”が起こるから。105回もの長い歴史の中では、そんな試合がいくつもありました。

ここでは、そんな“奇跡”のような伝説の試合のひとつをピックアップして、みなさんにお伝えしようと思います。

07年決勝戦「広陵vs佐賀北」

2007年、夏の甲子園決勝戦。この試合は広島の強豪・広陵高校と、佐賀の公立校・佐賀北高校の対戦になりました。佐賀北は決勝まで驚異的な粘りで勝ち上がり、その快進撃は当時ヒットしていた書籍のタイトルをもじって“がばい旋風”と呼ばれていました。

一方の広陵は夏の全国制覇こそありませんでしたが、春のセンバツは三度の優勝を経験している甲子園常連校。エースの野村祐輔投手は現在、広島東洋カープで活躍しており当時高校球界トップクラスのピッチャーでもありました。

試合は広陵ペースで進む

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出典:mTaira/Shutterstock.com

試合は、野村投手の好投もあって終始広陵のペースで進みます。2回表に幸先よく2点を先制し、7回にはさらに2点を追加。7回を終えた時点でスコアは4-0と広陵がリード。なにより、野村投手の前に佐賀北打線はヒット1本に封じ込まれていました。

甲子園の観客も、テレビの前の視聴者も、野村投手の圧巻のピッチングを前に「がばい旋風もここまで……」と感じていたはずです。

こんなことある…?8回裏に待っていた「本当のドラマ」

しかし、奇跡は8回裏に起こりました。佐賀北は1アウト後、この試合はじめて連打を放ち、さらには四球で満塁に。この試合、初めてと言っていいチャンスを作ります。すると、2番・井出和馬選手が四球を選んで押し出し。難攻不落の野村投手からついに1点を奪い取ります。

しかし、本当の“奇跡”はここからでした。続く3番・副島浩史選手が放った打球は、大きな放物線を描いて広い甲子園のレフトスタンドへと突き刺さります。

逆転満塁ホームラン――。甲子園の大観衆も、テレビの前の観客も、中継の実況アナも、誰も予想できなかった奇跡のような一打が、甲子園の決勝戦という舞台で生まれました。

試合はそのまま、5-4で佐賀北が勝利。2回目の甲子園出場で初優勝を飾りました

この試合、広陵のエース・野村投手が打たれたヒットはたったの5本。奪った三振は実に12を数えました。それでも佐賀北打線は5安打中4安打を“奇跡の8回”に集中させ、野村投手から5点を奪いました。

今も語り継がれる伝説の試合に!

少しでも野球を見たことがある人ならわかるはずですが、“逆転満塁ホームラン”なんて滅多に生まれるものではありません。ただでさえ奇跡のような出来事が、夏の甲子園の決勝戦、しかも試合終盤の8回に飛び出す――。

この一発は、16年が経った今も“奇跡のホームラン”として多くの高校野球ファンに語り継がれるています。


花田雪(Kiyomu Hanada)
1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※記事内の画像はイメージです。

サムネイル写真出典:noraismail/Shutterstock.com

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