数学の授業で習った「絶対値」という言葉。
日常生活では使わない言葉ですが、その意味を覚えているでしょうか。
今回は、そんな絶対値に関する問題に取り組んで、正しい意味を再確認してみましょう。
問題
次の問いに答えなさい。
(1)+5、ー7の絶対値をそれぞれ答えなさい。
(2)絶対値が3になる数をすべて答えなさい。
(3)絶対値が2以下の整数をすべて答えなさい。
いずれも絶対値に関する問題です。中学1年生の数学の中でも「正負の数」の単元で習います。
負の数(マイナスの数)という新しい概念を学習する、中学数学の導入となる単元です。
マイナスの数は、気温を表したり、借金を表したり、日常生活でも用いることがあるので、学校での学習の前から知っているという方も少なくなかったでしょう。
しかし、日常ではあまり触れるのことのない「絶対値」は、曖昧に覚えていないでしょうか。
さて、問題の答えは以下の通りです。
(1)+5の絶対値=5、ー7の絶対値=7
(2)+3とー3
(3)-2、-1、0、+1、+2
解説
絶対値とは、数直線上で原点0からの距離をあらわす値のこと。
難しい表現をしていますが、「0から、どれくらい離れているか」ということです。
例えば(1)について、+5というのは、0から右に5進んだ点です。つまり絶対値は5です。
同じように、-7は、0から左に7進んだ点です。つまり絶対値は7です。ここで注意が必要なのは「離れている距離」を考えているので、マイナスの数にはならないと言うことです。
「-7の位置」という言い方はありますが、「-7の距離」というのはおかしいです。
次に(2)について、「絶対値が3」というのは言い換えると「原点0の位置から、3だけ離れた点」と言うことになります。
右に3だけ進むと「+3」ですが、左に3だけ進むと「-3」になります。なので「+3とー3」という、2つの答えになるわけです。
そして最後の(3)は、「絶対値が2以下の整数」です。
絶対値が2以下ということは、
・絶対値が2の整数
・絶対値が1の整数
・絶対値が0の整数
と言うことですね。
絶対値が2と1の場合は、もう大丈夫でしょうか。それぞれ+2と-2、+1と-1ですね。
絶対値が0というのは、「0の位置から、0だけ離れた点」ということ、つまり0そのものです。
したがって答えは、「-2、-1、0、+1、+2」です。0を忘れずに答えることができましたか。
まとめ
絶対値に関する問題、解くことができたでしょうか。
「絶対値は、+やーの符合を取り除いた数字」という覚え方をしている方もいるではないでしょうか。
この説明の仕方は、一見すると正しそうに見えるのですが、実は厳密性に欠ける部分があります。
中学数学で習う、実数(整数、分数、小数など)の範囲では、確かに「+、ーの符合を取り除いた数」として求めることができます。
しかし、高校数学以上の複雑な数式で絶対値を考えると、符号を取り除くだけでは、求めることができません。
絶対値とは、「数直線上で原点0からの距離をあらわす値」のこととして考えると間違えることはないでしょう!
編集:TRILLニュース
文・監修:SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。