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【野球】スゴいのはどっち?大谷翔平と最強マンガキャラを野球ライターが徹底比較!

  • 2023.7.4
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出典:Brocreative/Shutterstock.com

 

3月に行われたWBC、さらにはメジャーリーグでも異次元の活躍を見せるエンゼルスの大谷翔平投手。投打“二刀流”ですさまじい記録を打ち立て続ける大谷選手の活躍ぶりは、「マンガを超えた」「マンガでも描けないレベル」と評されます。

たしかに大谷選手のプレーぶりは、もしフィクションで描かれたとしても「そんなワケないだろ」と一笑されるほどのレベル。

では実際に、日本に数多く存在する「野球マンガ」の世界にはどんな規格外の選手がいるのでしょうか?野球はもちろん「野球マンガ」も愛する、野球ライターの筆者が、独断と偏見を交えながら「マンガの世界のスーパースター」と大谷選手を徹底比較してみます!

そもそも、大谷選手のようにメジャーリーグの舞台で“二刀流”を成功させている選手は、実はマンガの世界にも存在しません。その時点で大谷選手の「マンガ超え」は確定です。

なのでここでは、投手と打者、それぞれで「マンガの世界」と現実の大谷選手を比較してみましょう。

【投手編】メジャーでの実績だけなら大谷翔平を凌駕するのは、あの人!

まずは投手編。大谷選手の最速は日本人最速の165キロです。実は、マンガの世界であればこの球速は「ナンバーワン」ではありません。

野球マンガ界最速(?)選手

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筆者が調べたところ、野球マンガ界最速の男は、週刊プレイボーイで1984年から1986年まで連載された『愛星団徒』(松田一輝/集英社)の主人公・鷹王 旭のようです。その球速はなんと、音速をも超える時速2000キロ以上でした(!)。

ただ、この作品は作者の松田一輝先生自身が「SFXスーパー野球マンガ」と評しており、正直に言ってリアル感は皆無。それ以外にも『ササキ様に願いを』(みずしな孝之/竹書房刊)のササキ様(モデルは元マリナーズの佐々木主浩投手)の1418キロや、『地獄甲子園』(漫☆画太郎/集英社)の野球十兵衛の300キロ以上など、正直「ギャグマンガ」と言って良いレベルの投手は意外といます。

なのでここでは、あくまでも作品自体がリアルベースのマンガの中から、マンガ界のナンバーワン投手を選出したいと思います。

筆者イチオシ!野球マンガ界最強投手

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筆者が「マンガ界最強投手」に推したいのが『MAJOR』(満田拓也/小学館)の茂野(本田)吾郎投手です。

作品内での最高球速は102マイル(約164キロ、アニメ版では103マイル=約166キロ)と、球速は大谷選手とほぼ互角。ただ、「メジャーリーグでの実績」という意味ではキャリアを通じて作品内で確認できるだけでも最多勝2回、最優秀防御率3回、サイ・ヤング賞2回、最優秀救援投手賞2回を誇ります。ちなみに、現実の世界ではダルビッシュ有投手(パドレス)が2020年に最多勝を獲得しています。

大谷選手は投手としてのタイトルはまだ取ったことがありませんが、今季の活躍ぶりを考えると今後、メジャー最高の投手に贈られるサイ・ヤング賞を獲得する可能性も十分あります。大谷選手がキャリアを終えるころ、「マンガの世界」の茂野五郎にどれだけ迫れるか、もしくは追い抜けるか、期待したいところです。

【打者編】マンガの世界にも、大谷翔平を超えるバッターは存在しない?

続いては打者編。

日本の野球マンガにはメジャーリーグを舞台にした作品が決して多くなく、「大谷選手クラス」の打者を探すのは至難の業でした。

投手編で紹介した『MAJOR』の茂野五郎のライバル、佐藤寿也選手は作中ではメジャーリーグでプレーし、リーグ首位打者に躍り出た(最終的にタイトルを獲得したかは不明)という描写はありますが、大谷選手は首位打者どころかホームラン、打点も加えた三冠王も狙える選手です。

野球マンガ史でも指折りの「天才打者」

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そこで筆者がオススメしたいのが週刊ヤングマガジン(講談社)で1996年から連載されていた『ストッパー毒島(ぶすじま)』(ハロルド作石/講談社)の主人公・毒島大広投手の兄である毒島貴志選手です。

作中では高校卒業後に日本のプロを経ずにアメリカにわたり、交通事故で重傷を負うまでは、メジャーでも「打率3割、30本塁打、30盗塁」を楽々クリアするバリー・ボンズ級の選手になれる逸材、と評されています。

日本球界では出場試合数こそ限られているものの、デビュー戦で3打席連続本塁打の離れ業を見せ、打ち取られた描写は作中でわずか3回(そのうち1回は外野を抜ける当たりになるも、足が完治しておらず、アウトになったもの)のみ。

「もう一度目指せる、メジャーリーグ」と作中でもメジャー復帰を目指す意欲を見せていますが、残念ながら作品内でメジャーリーグに再チャレンジするまでは描かれていません。ただ、彼が野球マンガ史でも指折りの「天才打者」なのは間違いないでしょう。

「グワァラゴワガキーン!」を響かせる!

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野球マンガ界のレジェンド『ドカベン』(水島新司/秋田書店)の主人公・山田太郎選手とそのチームメイトでもある岩鬼正美選手も外せない選手です。

山田選手は高卒1年目で32本塁打を放っていきなり本塁打・打点の二冠王を獲得し、作中で確認できる限りプロ12年目終了時で通算490本塁打をマーク。1試合6本塁打の日本記録保持者でもあります(現実世界では2022年に村上宗隆選手が記録した5打席連続本塁打が日本記録)。

また、岩鬼選手もプロ12年目終了時に通算397本塁打を放っていることが確認できています(ちなみに大谷選手は今季、プロ11年目で日米通算200本塁打を達成)。

確実性や数字だけで言えば山田選手のほうが「上」と言えますが、もしもメジャーに移籍したら、195センチ120キロという大谷選手を超えるサイズに、異次元の飛距離を誇る岩鬼選手のほうが、本塁打を量産できるかもしれません。あの悪球打ちと、「グワァラゴワガキーン!」という打球音を、メジャーリーグで見てみたかった気もします。

残念なのは、ここで紹介した打者3人は作品内で「メジャーリーグ」でプレーしていないという点。そう考えると、23歳でメジャーに移籍し、2021年にはシーズン46本塁打、今季はシーズン50本以上のペースでホームランを量産する大谷選手を「完全に超えるキャラ」とは言えないでしょう。

やはり大谷選手のプレーぶりはマンガを凌駕している…

「野球マンガ」の世界には、フィクションならではのすさまじい成績を残している選手がほかにも大勢います。

ただやはり、大谷選手のプレーぶりはそれを凌駕するレベル

大谷選手が「マンガを超える存在」なのは間違いないですし、それをリアルタイムで見ることができる私たちファンは、最高に幸せなことかもしれません。

今回紹介したキャラが登場する作品はマンガとしても面白いものばかりなので、WBCや大谷選手の活躍をきっかけに今年から野球に興味を持ち始めた、というTRILL読者の方もぜひチェックしてみてください。



ライター:花田雪(Kiyomu Hanada)

1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

編集:TRILLニュース

※記事内の画像はイメージです。書影はAmazonより。

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