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【第2回】アフリカ民族と対話する「写真家ヨシダナギ」ができるまで

  • 2018.8.15
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アフリカの少数民族を撮り続け、そのインパクトある写真が人気のヨシダナギさん。自分の心に素直に、そしてまっすぐに生きる、そんな彼女だからこそ、時には日本社会の中で、生きにくさもあったよう。今のヨシダナギさんができるまでのストーリーを教えていただきました。

女の子同士の集団生活に同調圧力を感じ、中2で通学をやめました

ーーヨシダさんは、アフリカ少数民族を撮るという独特な写真家として、支持されていますが、どんな子供時代を送りましたか?

「おとなしい子でした。自分から友達を作るタイプではありませんでしたね。それは今もですけど(笑)。そして女の子同士のすべてのものに同調する集団生活が苦手でした。何で可愛くないものを可愛いと言わないとダメなんだろう、どうしてみんながおもしろいよと言っている番組を私も見るって言わなきゃいけないんだろう……。そういう人たちと一緒にいても居場所がない感じがして、学校ってつまらないなって思っていました」

ーーその後、14歳でグラビアアイドルになったそうですね。大人しい子がどうしてなろうと思ったのですか?

「中学2年で学校に行くことをやめたんです。勉強ができるわけでもないし、集団生活が苦手で学校ではいじめられるし。だったらその空間にいる必要はないなって思いました。私には私にしかできないことがあるはずで、学校にいることは自分にとって何のメリットも感じられませんでした。当時父には『少し休むのはいい、お前は勉強ができないんだし。でも他人と違う何かを見つけないと将来生きていけないよ』って言われたんですね。自分でもそれは自覚していたけど、何かはわかりませんでした。そんなときたまたまスカウトされたんです」

グラビアを辞めたくて、ヘアメイクの勉強やイラストの仕事を始めました

ーーグラビアアイドルをやってみてどうでしたか?

「6年やりましたけど……興味は持てなかったですね。アイドルって人に夢を与えるというかキラキラしてなきゃいけない。競争も激しいなか、私は誰かを蹴落としてまで登り詰めたいとも思わなかったし、自信もありませんでした。実は、ネットの掲示板でブスって叩かれたりして、顔のコンプレックスに突きあたってしまったんです。もともと、母から化粧はいけないもの、すっぴんで可愛い人が一番と言われて育ち、それを信じていたんです。でもなんとか克服したくて、メイクの学校に通いました」

ーーそうだったんですか。実際メイクを勉強してみて、そちらに進もうとは?

「そうですね。でもいざ勉強してみると自分の顔のコンプレックスをカバーするには興味があっても、他の人をメイクしたいという気持ちは起こらなかったんです。そしてちょうどその頃、グラビアが過激になり始めて、これは限界だなって思ったんです。
不向きなのがわかっているのに20歳過ぎて売れないアイドルをやるのは痛々しいなと思って焦りを感じて。どうしても辞めたくて、以前に仕事で知り合ったカメラマンさんから『イラストが得意ならイラストレーターになったら』という助言ももらって、じゃ、イラストレーターだと!!
でも私の絵はアクが強いらしく、日本の企業には採用されず。でも、海外ならいいかもともアドバイスをもらったので、海外とつないでくれるエージェントを見つけて仕事をし始めました」

ーーそこでエージェントサイトにすぐ連絡を取るのはすごいですね。

「私は自分の弱点をわかっている方だと思います。営業能力はコミュニケーション能力。私には小さい頃からそれがなくて。だからその部分は他人に頼るしかないんです。できないことを努力するのは大事なことだと思うけど、それは努力が得意な人にしか適応しない。私は長い時間をかけての努力というのは苦手だから、そこは人にお任せするという決断です」

失敗をネガティブなことだとは思わない。気持ちを切り替えられるいい機会と考えればOK!

ーーでは、もしも何かにチャレンジして失敗したらどうやって乗り越えますか?

「失敗っていうとすごくネガティブな感じですが、それは捉え方次第だと思います。私はあまりネガティブなことを言いたくないんです。言葉に出してしまうとろくなことがないから。そして失敗したってなると自分を責め立てるじゃないですか。結局そうしたところで自分が惨めになるだけ。失敗したって良かったじゃんって気持ちを切り替えればいいんです。例えば失恋したら、振られちゃった。私にはあの人しかいなかったのにと思うんじゃなくて、縁がない人と1日でも早く切れて良かったじゃんと思う(笑)。だって縁が切れたってことは新しい出会いがあるってことなんですよ。あ〜良かったと。考え方次第で失敗なんて気にならないと思います」

ーー迷うこともないですか?

「私は迷ったらやるって決めています。逆に少しでもめんどくさい、億劫だなと思うことは、言うほどやりたくないことなんだって判断します。めんどくさいって思う、だったらやめよう。違うもの探そう!と思います」

自分の感情に嘘をつかないで、常に「むきだし」でいるのが自分らしさ

ーーヨシダさんにとって自分らしさとは?

「常に“むきだし”かな。欲に対してもそうですね。やりたいって欲にも、やりたくないって欲にも忠実です。あまり自分の感情に嘘をつけないから。だから常にやりたいことや、いやなことをむきだしでいられることが自分らしさかなって思います」

ーーでは、何かおさえて我慢することはないんですか?

「ないですね。我慢したところで何のいいこともない気がするんです。我慢して他人と一緒にいて気に入られたって、それは自分の本来の姿じゃないから。それで他人に好かれても結局は窮屈になって、その人といる時間がいやになってしまうので。私はありのままの自分を好きになってくれる人とだけ一緒にいられればOKなんです」

ーー社会的な「べき」論で悩んでいるユーザーも多いようです。30歳までには結婚するべきなど。そのような悩みを解消するにはどうしたらいいと思いますか? 

「聞こえないふりをすればいいと思います。そういうべきという話は、その人が勝手にしているだけだから。他人の人生だからみんな無責任に好き勝手なことを言うんですよ。この人は無責任なこと言ってるなぁと内心思いながら、ニコニコしてやり過ごせばいいんじゃないでしょうか。そんな無責任な言葉を真に受ける必要はないと思います」

やりたいことをやっていいと語るヨシダナギさん

日本人はもう少しワガママになってやりたいことをやっていい。自分の人生なんだから

ーーヨシダさんのお話を聞いていると、無理やり他人に合わせる必要はないんだと改めて感じますね。

「もちろん私も時々、話す人がいなくなるのは怖いです。でも無理をしてまで合わない人と話すことの方が、ストレスなんです。話す人がいない寂しさなのか、それとも合わない人とでも無理に合わせて話すのか、どちらを選ぶかだと思います。そしてどちらを選ぶかの基準は何かというと、自分にとってどちらが、メリットが大きいか……それを考えるしかないんじゃないかって思います」

ーーでは、最後に、世界を見ているヨシダさん的には、日本はどう映りますか? 

「いろんな国の人を見ると、日本人はすごく謙虚で我慢していると思います。それは日本人の美徳だけど、それ故に自分の幸せを犠牲にしてしまっている人も多い気がして。みんなもうちょっと自分がやりたいことをやって、ワガママを言ってもいいんじゃないかと思います。自分の人生なんですから」

 

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Movie Director:Yohei Takahashi (f-me)
Writing:Yuko Sakuma
Edit:Natsuko Hashimoto(TRILL編集部)

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