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「もう残りは少しだろ?」事業に失敗した父が借りたお金の残額を少なく言う。だが、何度も言い返せなかった僕が見せたもの

  • 2026.11.5
「もう残りは少しだろ?」事業に失敗した父が借りたお金の残額を少なく言う。だが、何度も言い返せなかった僕が見せたもの

実家に帰るたび、お金を頼んでくる父

僕の父は、昔から亭主関白で短気な人でした。家では父の意見が優先され、僕も母も、あまり言い返すことができませんでした。

そんな父が事業に失敗し、借金を抱えることになりました。

僕はひとり暮らしをしていますが、実家に顔を出すと、帰り際に父から呼び止められることが増えました。

「おい、ちょっと金を貸してくれ。すぐ返すから」

昔からの口調は変わらず、頼んでいるというより、いつもの調子で言いつけられているようでした。

それでも父には育ててもらった恩があります。僕は断りきれず、何度かお金を貸しました。

しばらくすると、父は少しずつ振り込みで返済するようになりました。

ただ、一つ気になることがありました。

「これだけ返したんだから、もう残りは少しだろ?」

父は返済するたびにそう言うのですが、僕が計算している残額とは大きく違っていたのです。

ある夜、実家から帰ろうと玄関で靴を履いていると、父が声をかけてきました。

「今日の昼、少し振り込んでおいたぞ。これであとちょっとだな」

「いや、まだ結構残ってるよ」

僕がそう答えると、父は不満そうな顔をしました。

「そんなに残ってるか?毎月返してるだろ」

「それはそうだけど、最初に貸した分もあるし…」

「まあ、ちゃんと返してるんだからいいだろ。それで、今月もちょっと頼めないか」

まだ返済が終わっていないのに、また貸してほしいというのです。

正直、納得はできませんでした。それでも強く断ることができず、僕は財布からお金を出して渡しました。

このままでは、いつまでたっても話がかみ合わない。そう思った僕は、一度きちんと残額を確認してもらうことにしました。

父の前で開いたメモ帳

実は僕は、父にお金を貸した日と金額、返してもらった日と金額を、すべて小さなメモ帳に書き留めていました。

別の日の夜、そのメモ帳を持って実家の居間に入りました。

父は座椅子に座っていて、母は部屋の隅で洗濯物をたたんでいました。

僕は父の向かいに座り、メモ帳を開きました。

「父さん、ちょっとこれ見てくれる?」

「なんだ、それ」

「今まで貸したお金と、返してもらったお金を全部書いてあるんだ」

父は面倒そうな顔をしながらも、メモ帳に目を向けました。

「こっちが貸した分で、こっちが振り込んでもらった分。差し引くと、まだこれだけ残ってるよ」

僕が残額を指さすと、父は少し驚いたようでした。

「えっ、そんなにあるのか?」

「うん。今までの分を全部合わせるとね」

「いや、この前も振り込んだだろ」

「うん、それもちゃんと書いてあるよ。ほら、ここ」

振り込みの日付と金額を指さすと、父は黙ってページを見つめました。

「別に責めたいわけじゃないんだ。ただ、お互いに残りの金額はちゃんと分かっておきたいから」

父はしばらく何も言いませんでした。

すると、洗濯物をたたんでいた母が手を止め、静かに口を開きました。

「ちゃんと見ておいたほうがいいわよ。お金のことなんだから」

父は言い返すこともなく、もう一度メモ帳に目を落としました。

それからは、父が振り込むたびに、僕と残額を確認するようになりました。実家で顔を合わせたときも、メモ帳を見ながら数字を確かめています。

以前のように「もう少しだろ」と一方的に決めつけることもなくなりました。

父の性格が大きく変わったわけではありません。それでも、お金の話をするときに身構えなくてよくなったことに、僕はほっとしています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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