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AIを利用したケーキの“長文注文”にパティシエが苦言。「3秒で書いた文章に何時間もかけられない」

  • 2026.11.5
eclipse_images / Getty Images

生成AIの普及によって、便利になった私たちの生活。一方で、その活用方法をめぐっては賛否の声も。イギリス・ロンドンのあるベーカリーでは、AIを使って作成されたケーキの注文内容をめぐり、新たな方針を打ち出し、話題を呼んでいる。

AIを使った“ケーキ注文”にパティシエが苦言

悩み相談やメール文の作成はもちろん、頭の中で思い描いたイメージを手軽に再現できることから、生成AIが幅広く活用されるようになった昨今。そんななか、イギリス・ロンドンのベーカリーを営むパティシエが、AIで生成されたイメージをもとにしたケーキの注文に対し、受け入れない姿勢を明らかに。

ベーカリー「Anges de Sucre」の創業者で、シェフパティシエを務めるレシュミ・ベネットさんは2026年10月15日(現地時間)、購入を検討していた客からメッセージアプリ「WhatsApp」を通じて届いた、非常に長い注文の問い合わせについて投稿。レシュミさんはインスタグラムでメッセージの一部を公開し、今回の件を受けて新たなルールを設けることを明らかにした。

投稿には、AIで生成されたサンリオキャラクター・クロミのケーキの画像が添えられており、注文書には、13歳の子どもの誕生日パーティー用に、3色を取り入れた2段ケーキを希望すると記されている。

さらに、注文書にはケーキに関する要望が事細かに書き込まれ、「味とフィリング」についても細かく指定されているほか、ケーキ本体から中身、表面のクリームに至るまで、すべてバニラ味にしてほしいとリクエストしていた。

「見た目と同じくらい味も大切なので、アイシングで甘くなりすぎたケーキではなく、しっとりとしていて、甘さのバランスが取れたおいしいケーキを希望します」

「生クリームを使ったフィリングは、このような段ケーキに適していますか?」といった質問も添えられており、レシュミさんはフォロワーに向けて、「段ケーキだと明記してくれて本当によかった。そうでなければ、パサパサでマズいケーキを作るところだったからね」と皮肉交じりにコメントしている。

注文書は全10項目にわたり、ハートの飾りを「ランダムながらも、考え抜かれた配置にする」、絞り出しのデコレーションは「エレガントでありながら控えめにする」といった細かな要望が並び、参考画像としてAIで生成したケーキの画像も複数添えられていたという。

希望は細かく指定、でも予算は想定外?

この注文書を、まるで「学位論文のようだ」と評したレシュミさんによれば、同注文書には肝心の情報である“予算”については触れられていなかったよう。

レシュミさんが何度も予算を尋ねたところ、客が想定していた金額は100〜150ポンド(約2万1,000円〜約3万1,000円)だったことが判明。彼女のオーダーメイドケーキは、1段でも300ポンド (約6万3,000円)から、2段なら650ポンド(約13万6,000円)からで承っており、今回の希望に沿ったケーキは約600ポンド(約12万6,000円)になると見積もったものの、客は注文を見送ったという。

レシュミさんは、同投稿の中で皮肉を交えてこうつづっている。

「誕生日ケーキに100ポンド(約2万1,000円)という予算は決して少なくありません。ただし、注文内容も予算に見合ったものである必要があります。オンラインで販売しているケーキは100ポンドからご用意しています。ただ、先ほどAIが作成した注文書を読むのに費やした70分間の手間は、その価格には含まれていません」

さらにレシュミさんは、ベーカリーで注文する際の新たなルールを発表。「ケーキの注文書は、予算のポンド数を超える単語数で書いてはいけません。予算が100ポンドなら、注文書は100語までです」とキャプションに添えている。

投稿の最後には、AIで作成した注文書を送ろうとしている客に向けて、「しっとりとしておいしい」という表現だけで3語を使うことになると指摘。「言葉は慎重に選んで」と、ユーモアを交えて呼びかけた。

コメント欄には賛否の声

同投稿は多くの人の注目を集め、2026年10月26日時点で6万3,000もの「いいね!」を獲得。さらにコメントは1,500件以上も寄せられ、さまざまな議論を呼んでいる。

Ippei Naoi / Getty Images
  • 「最初のメッセージを見ただけで、AIが使われているってすぐに分かった。わざわざ言うまでもなかったよ。こういうAIの使い方には、もう本当にうんざり。自分の言葉で、自分の頭で考えて、自分自身の創造力を使ってほしい」
  • 「顧客とのやり取りをスクリーンショットにして公開する企業って、本当に思いやりがないと思う。今回のメッセージも、失礼なことが書かれていたわけではない。ただ、受け取る側にとっては対応が面倒だっただけ。それに、客は自分の希望をきちんと伝えるためにAIを活用したようにも見える」
  • 「AIで生成した参考画像を送ってくる客に『AI処理手数料』を請求している会社もあった。そのアイデアはすごくいいと思う」
  • 「ケーキを注文するのにAIを使うって、どういうこと? そもそも、ケーキの注文にAIが必要な理由が分からない。デザインの参考画像を作るためならまだしも、注文内容そのものをAIに書かせるなんて、あり得ないでしょ」
  • 「こんなに細かく注文をつけるなんて、私には信じられない。パティシエにはプロとして自由に仕事をしてもらえばいいのに! 私が結婚式のケーキを注文したときは、形と味だけを決めて、デコレーションは好きなように仕上げてほしいとお願いした。結婚式の装飾をまとめたムードボードを送って、全体の雰囲気を伝えただけ。それだけで、本当に最高のケーキができたの。細かいことをあれこれ考える必要もなかったし、もちろんAIも使っていない!」
  • 「顧客とのやり取りをスクリーンショットにして公開するのは、品がないし、プロとしてどうかと思う。相手がしたことは、ただ自分をイライラさせただけなのに」

ケーキの注文は「楽しいものであるべき」

『TODAY.com』の取材に応じたレシュミさんによれば、客が用意したAI生成画像を参考にケーキを作ることもあったとのこと。しかし、注文内容そのものをAIに作成させるケースは、彼女にとっては新たな現象だという。

「特に今は、こんなことをするのは無意味だと感じます。実際に読んでみれば分かりますが、こうしたものが“粗悪なコンテンツ”と呼ばれるのには理由があるんです。私のもとに届く問い合わせは、とにかく長ったらしい。言葉ばかり多くて、中身がほとんどありません。どこから読み始めればいいのか、どこまで続くのかも分からないんです」

▼AI生成画像を参考に作ったケーキ

またレシュミさんは、AIには便利な面がある一方、創造性などを損なう側面もあると考えているという。

「ケーキを注文することって、本来は楽しいものなんです。自分自身が興味を持って、楽しみながら考えるべきことだと思います。それなのに、AIに入力して、長々とした文章を送りつけてくる。注文する側は3秒で作ったのかもしれませんが、私は内容を理解するために3時間もかけなければならないんです。ケーキを注文することは、もっと楽しいものであるべきです」

AIの活用が広がるなか、その使い方をめぐってはさまざまな意見が飛び交っており、最近ネット上では、飲食店がAIで生成した画像をメニューに使用することにも批判が寄せられている。便利な技術である一方、使い方によっては賛否が分かれるAI。その活用方法については、今後も議論が続いていきそう。

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