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「爪痕を残そうとする人に仕事ができる人はいない」ジェーン・スーと堀井美香が断言! 25歳が勘違いしがちな“評価される人”の本当の条件【OVER THE SUN 出張!お悩み相談室】

  • 2026.11.4

CREA2026年秋号の「1冊まるごと人生相談」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。

今年も人気Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」とのコラボが実現。ジェーン・スーさんと堀井美香さんに、読者のお悩みにじっくりお答えいただきました。心を太陽の向こう側へ導く、珠玉の金言をお届け!


【相談】「仕事ができる人」はどんな人?

ジェーン・スーさんと堀井美香さん。

【お悩み】
「仕事ができる人」になりたいのですが、相手のやってほしいことを察するのが苦手です。かと思えば、率先してやったことを「やらなくてよかったのに!」と言われることもあり……。おふたりの考える「仕事ができる人」とはどんな人で、何を心がければそうなれるのかお聞きしたいです。(25歳・女性・たま猫)

スー 「自分にしかない能力を使って、全体の幸福度を最大化できる人」だよ。これに尽きる!

堀井 私はね、カオスな現場を人知れず、しれっと収める人が「できる」なと思う。すぐに見える成果を上げるとかではなくて。「めっちゃスムーズに進行したけど、実はあの人が後ろで糸を引いていたんだよね」っていう人がたまにいるんだよね。

スー わかる! 爪痕を残そうとする人に、「仕事ができる人」は絶対にいないね。そういう人は一回出世できても、人を管理する立場になったときに組織が回らなくなるから。

堀井 そうそう。みんながすぐ目立ちやすい仕事をガンガンやる中で、コピー一枚をめちゃめちゃ気の利く取り方でやり続ける子が、結局最後にちゃんとご褒美をもらって評価されるというのはある!

スー 結局は、他者の立場に立って考えられるかどうか、なんだよね。自分の仕事をして次の人に渡したときに、相手の手間や負荷をどれだけ減らしてあげられるか。例えば、上がってきた原稿の赤字の書き方が汚かったり、締め切りに遅れたりすると、もらう側は仕事が増えちゃうでしょ。「これ、どういう意味ですか?」とか確認しなきゃいけないし。コピーが横にずれていたりするのもそう。電話のメモ一枚でも、いつ誰から何の用件でかかってきたのかが、一目でわかるメモを残せるか。

堀井 そうだねぇ。

スー 率先してやったことを「やらなくてよかったよ」って言われるのは、もらったものに対して「どうやったら向こうの負荷を減らせるか」を考える訓練が足りていないんだと思う。メモに走り書きで「吉田さん」って書いても、どこの吉田さん?ってなるし。「期日までに資料を作っておいて」と言われたら、そこで出てくる懸念事項に対しての資料も添えられるかどうか。でもまずは、コミュニケーションをとって確認するのが一番だよね。察するのは無理!

堀井 相談者さんは「察する」のが苦手って言っているけど、もしかするとそこに何か自我があるのかもしれないね。「私がやってます」みたいなところが出ると、相手も素直に受け取れないことがある。まずは相手が何を本当に望んでいるのかを考えることが大切です。

スー 私も若い頃は、「どうして私が言っていることが正しいのにわかってくれないんだろう」と不満ばかりでしたよ。でも、よくよく考えたら自分が一番経験値もないし、仕事をやる能力も低いんだから当たり前なの。それに気づくのに3年ぐらいかかりました。「自分が一番使い物にならないんだから、言われたことを120%で打ち返して結果を出さないと話が通らないんだ」って気づいてからは、実績を作ることに集中しましたね。自信満々に「私の方が正しい!」って言うより、頼んだことに期待以上で応えてくれる人に、人は次のチャンスを回したくなるものだから。まずは電話のメモ一枚から、目の前の小さな実績を作ることがものすごく大事!

堀井 私も管理職になったばかりの頃、部下から相談された時に「早く動いた方ができる上司だ」と思って、急いで上に報告してしまって、結果的に部下の望む結果にできなかったことがあったなぁ。ことさら他人のことに関しては、もっと全体像を見て、どう進めればその人のためになるかを理解してから動かないといけなかったんだよね。1日、2日クールダウンして、冷却期間を置くことも必要だった。「私がやりました、早いでしょ、すごいでしょ」ではなくて、対象のことを本当に思いやってからの動きが必要なこともある。仕事ができる人って、必ず深い思慮を伴っているなと思います。

スー 本当にそう。発達障害などの特性がないのだとしたら、察するのが苦手なんじゃなくて、純粋に訓練不足なんだと思います。相手の立場になって一つひとつ考えれば、「仕事ができる人」にきっとなれるはず。応援しています!

【相談】社畜な考え方から脱したい

ジェーン・スーさんと堀井美香さん。

【お悩み】
10年ほど同じ派遣先にいます。定時で帰るために効率重視で仕事をしてきたところ、「仕事が早い」と評価され、難易度の高いものばかり渡されるようになってしまいました。就職氷河期世代の考え方の癖なのか、無理をしてでも期限内に終わらせようとしてしまうのですが、本当はもうガツガツ仕事をしたくありません。この社畜もどきな考え方から脱する方法はありますか?(50歳・女性・名無し)

スー 「就職氷河期世代の考え方の癖」なんて言っていますが、それは社畜もどきでもなんでもなくて、単に仕事の処理能力が高いってことですよ! 定時で帰るために効率重視で仕事をしたいと思っても、なかなかできない人も多いんです。世の中の仕組みや上司を一切信用せず、いかに手を抜いて楽に働くかしか考えていない人もたくさんいる中で、そっち側の人間にならなくて本当に良かった。そっちに行ってたら50歳で確実に詰んでましたからね。「定時で帰るために効率的に仕事ができる」というご自身の能力を、もっとポジティブに認めてあげて!

堀井 会社ってどうしても、できる人にどんどん仕事が集中しちゃうからね。

スー そうなんだよね。だからこそ、能力があって50歳で難しい仕事を定時で上げられるんだったら、思い切って正社員での転職にチャレンジしてみるのも手だと思うな。もちろん、50歳で派遣からいきなり正社員になるのは相当難しいことだとは私も思います。年齢の壁も確実にあるしね。でも、「もうガツガツしたくない」って書いてあるけど、それはガツガツしてるんじゃなくて単に能力がありすぎるだけなんじゃないかな。もう今後、私たちはいくつまで働くことになるか、わからないのよ。60歳定年は絶対ありえないし、下手したら75歳まで働かなきゃいけないってなったときに、年齢で完全に足を切られたりすることがないうちに、今ある能力をどう活かして長く働くかにシフトした方がよっぽど健康的だと思うな。

堀井 派遣でなかなか時間内に終わらなくて契約を更新してもらえないという人だと大変だけど、相談者さんはそうではないからね。仕事が早いと評価されて難易度の高い仕事が全部自分に集中しているのに、もしそれが給与に反映されない、昇進もしない、保証もされないなら、正社員の道の他にも対価の交渉をしてもいいのでは。「君は優秀だね」という評価の言葉だけで、「都合のいい派遣社員」として便利に使われてしまわないようにしてほしいです。私も会社員時代、「はい、いいですよ」って引き受けていたら全部の仕事が集中してしまったタイプだったのでよくわかりますが、ガツガツやってしまうという性分自体はなかなか変えられないから(笑)。

スー そうそう。もしどうしても「ガツガツ仕事をしたくない」んだとしたら、今の派遣先でもう「やらない」を選ぶしかないよね。でも、そうしたら多分職場での居心地も悪くなるし、10年も同じところにいて「急にできなくなったね」って見られると思う。サボっていると思われたり能力が下がったと思われたりして、どちらにせよ居場所がなくなってしまうから、本当に嫌なら派遣先は変えた方がいいと思います。

堀井 50歳になるとやっぱり健康の不安もあるし、自分の実力として「これができるんだ」というものをちゃんと担保しておきたい時期でもあると思うの。20代、30代だったら「行け行け!」って感じだけど、今はそうじゃない。どんなに頑張って働いたとしても、いつか思わぬことがあったりする年齢でもある。こんなにできる人だったら、頑張った分それが「お給料」や「安定した雇用」に反映される場所へ移ることもぜひ考えてみてほしいです。

スー 今は時代が変わっていて、「定時で帰ることが最優先なので効率的に働いてください」という会社も絶対にあるから。残業していると怒られる会社だって増えてきたし、ガツガツ働かさせられるのではと恐れなくても大丈夫。時給ではなく、能力や成果で評価されて給与が発生するところへ自分を移動させるか、あるいは派遣先を変えるか。「効率よく仕事を回せる」という優れた能力を活かすことを、ぜひ考えてみてほしいな。

ジェーン・スー

1973年東京都生まれ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、Podcast番組「となりの雑談」のパーソナリティーとしても活躍。近著に『介護未満の父に起きたこと』(新潮新書)、『ねえ、ろうそく多すぎて誕生日ケーキ燃えてるんだけど』(光文社)など。

堀井美香(ほりい・みか)

1972年秋田県生まれ。2022年3月にTBSを退社しフリーランスに。様々な番組・CMでナレーションを担当する一方、自ら朗読会を主催するなど、多方面で活躍する。著書に『一旦、退社。50歳からの独立日記』(大和書房)など。

Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」

Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」

毎週金曜日の夕方5時に配信。TBSラジオが制作するPodcast番組。飾らないトークで女性たちの支持を集め、月間リスナー約80万人の人気番組に。2026年8月には「緑のオーバーザサン 安全第一 私たちの大運動会2026」を開催。成功裏に終えた。


続きは「CREA」2026年秋号でお読みいただけます。

文=綿貫大介 写真=平松市聖 コラージュ=Nao/petitoto スタイリング=宮崎真純(likkle more) ヘアメイク=yumi(ThreePEACE)

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