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ミラノの新名所「プラダ ガレリア」へ。ブランド創業地で出合う100年の歴史と革新

  • 2026.11.2
Hearst Owned

ボンジョルノ! ミラノ・ファッションウィークのコレクションリポートの番外編として、今回は2026年9月に誕生した複合空間「プラダ ガレリア」をご紹介します。場所は、ミラノ中心部にあるガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世。美しいガラスドームと華やかな装飾が印象的なこのランドマークは、1913年に「プラダ」が最初の店を開いた、ブランドにとって特別な場所です。「プラダ ガレリア」は、8フロアにわたる壮大な複合空間。ウィメンズとメンズのストアをはじめ、「プラダ グループ」傘下の老舗パティスリー「マルケージ 1824」、プラダ財団の展示施設、プライベートなホスピタリティ空間などが集まっています。さらに、ガレリア中央の八角形広場を挟む建物同士が、新しく設けられた地下通路でつながっているというのも驚きの仕掛けも!

「プラダスフィア」の入り口にて。この日は全身「プラダ」コーデ。 Hearst Owned

今回は、新たにオープンした常設展示施設「プラダスフィア」を目当てに足を運びました。ここでは、貴重なアーカイブを通して「プラダ」の歴史や独自の美意識、クリエイションの舞台裏を知ることができます。館内には、創業当時のアイテムや歴代のコレクションをはじめ、広告キャンペーンやファッションショーの舞台裏を捉えた写真などがずらり。さらに、ウェス・アンダーソンなど有名監督が手掛けたショートムービーを上映する小さなシネマ、アートやファッションの書籍が並ぶライブラリーもあります。さまざまな角度から「プラダ」の世界を体感できる、見応えたっぷりの空間。自称“ミウッチャ信者”の私にはたまらない場所ですが、ファッションやアート好きも十分に楽しめるミラノの新名所になりそうです。

「プラダ」創業初期、1910年代に作られた紳士用グルーミング・トラベルケース。 Hearst Owned

そもそも「プラダ」は、1913年に旅行用トランクやバッグ、革小物などを扱う高級皮革製品店としてスタートしました。当時の店名は「Fratelli Prada(フラテッリ・プラダ)」。イタリア語で「プラダ兄弟」を意味し、ミウッチャ・プラダさんの祖父マリオ・プラダさんと、その兄弟マルティーノ・プラダさんによって創業されました。創業初期の歴史を辿る最初の展示スペースには、「Fratelli Prada」と記された貴重なアイテムが並んでいます。現在の洗練された「プラダ」のイメージとはまた違う、クラシックで装飾的なデザインが印象的。

1920〜40年代には、婦人向けのバッグも展開。現在のクリエイションにも通じる、レディライクでエレガントなデザインがすでに見られます。 Hearst Owned
初期のトライアングルロゴ。創業当時の「FRATELLI PRADA」の文字や、1922年に授与されたイタリア王室御用達の紋章があしらわれ、現在のアイコニックなロゴへとつながっています。 Hearst Owned

上質な素材と職人技によって評判を集め、1919年にはイタリア王室御用達となった「プラダ」。展示のなかでも特に興味を引かれたのが、1920〜40年代に作られたバッグの留め具やクリップ、ロゴプレートのコレクションです。エナメル加工を施したシルバーやマーカサイト、宝石などを使った小さな金具は、細部まで丁寧に仕上げられた、まるでジュエリーのような装飾品。バッグやポーチに取り付けて、自分好みにカスタマイズするためのアイテムだったそうで、今の「プラダ」のウェアやジュエリーにも通じる遊び心を感じました。今では誰もが知るアイコニックな“トライアングル”ロゴの原型となった、三角形の金属プレートの実物を見ることもできます。100年以上前の小さなディテールから、ブランドの歴史が現在へとつながっていくのを感じられる、とても興味深い展示です。

2つ目の展示スペースでは、ミウッチャさんが家業を引き継ぎ、「プラダ」に大きな変革をもたらした時代を紹介しています。 Hearst Owned

1970年代後半に家業を引き継いだミウッチャさんは、ナイロン素材を使ったバッグでラグジュアリーの常識を覆し、1988年にはウィメンズのプレタポルテを発表。革製品のブランドからファッションブランドへと進化させていきました。その変革の軌跡を辿る展示スペースには、初期のナイロンバッグや1988年のファーストコレクションのルックが並び、写真家アルバート・ワトソンが撮影したモノクロ写真も紹介されています。

1996〜1998年のコレクションピース。アグリー・シックを象徴するルックで、あえて違和感を取り入れ、従来の美の価値観を覆した「プラダ」の革新性が表れています。 Hearst Owned

続いて、1990年代のクリエイションに焦点を当てた展示スペースは、広告キャンペーンやランウェイの写真だけでなく、ショーの準備やフィッティングなど、華やかな舞台の裏側を伝える写真も並んでいます。特に心に残ったのが、展示解説にあった「Understanding by making(作ることを通じて理解する)」という言葉。「プラダ」にとっての完璧さは、一度完成したら終わりではなく、試行錯誤を重ねながら、常に変化し進化していくもの。完成された美しさの裏にある、絶え間ない探求の姿勢こそが、「プラダ」のクリエイションを支えているのだと感じます。

過去のファッションショーや広告キャンペーンの映像を鑑賞できるスペース。 Hearst Owned
ランウェイやバックステージ、キャンペーンなど、「プラダ」の歴史を彩ってきた貴重な写真の数々。中には初公開となる作品も。 Hearst Owned

“ミウッチャ信者”の私が入り浸ってしまったのが、ミウッチャさん自身がキュレーションを手がけた「SELECTION 01 MIUCCIA PRADA」の空間です。約40年にわたるコレクションから選び抜かれたルックが並び、まさにミウッチャさんの美学が凝縮されたような展示です。

展覧会を通して繰り返し伝わってくるのは、「For Prada, the past is never past(プラダにとって、過去は決して過ぎ去ったものではない)」というメッセージです。これは、ミウッチャさんが毎シーズンのように口にする「歴史から学ぶ」という姿勢にも通じています。過去をただ懐かしむのではなく、今のクリエイションを刺激し、未来を切り拓くためのインスピレーションに変えていく。

ミウッチャさんが手がけた歴代コレクションのアーカイブ。大胆なプリントや色彩、異素材の組み合わせなど、既成概念にとらわれない自由なクリエイション。 Hearst Owned

アーカイブを辿るうちに、「プラダ」が大切にしてきたのは、伝統を受け継ぎながら、その時代を生きる人々の価値観や感性と向き合い、進化し続ける姿勢だということが分かります。

1913年頃にマリオ・プラダが手がけたバッグ。神話上の人物をかたどったユニークな留め具が特徴で、2024年春夏コレクションではナッパレザーやで再解釈されました。 Hearst Owned

100年以上前にブランドが誕生した場所で、過去を振り返りながら未来を考える。そんな体験ができるのも、この展覧会ならではの魅力です。時代が変わっても、常識を疑い、相反するものをぶつけ合い、まだ見たことのない美しさを探し続ける。変わり続けることこそが、「プラダ」の変わらないアイデンティティなのだと思います。 「プラダスフィア」は、そのことを改めて教えてくれる、刺激に満ちた場所でした。展示を満喫した後は、「マルケージ 1824」でひと休み。私のおすすめは、ピスタチオフレーバーのジェラートです! 甘いひとときを楽しんだら、新設された地下通路を通ってストアへ。

「プラダ」創業の地にある「プラダ ガレリア」のストア。新たに売り場が拡張され、食器やテーブルクロスなど、ホームコレクションもさらに充実しています。 Hearst Owned

日本ではなかなかお目にかかれないテーブルウェアやインテリアアイテムもそろっているので、こちらもぜひチェックしてみてください。歴史に触れて、味わって、ショッピングまで。「プラダ」の世界にどっぷり浸るミラノの一日をぜひ楽しんで!

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