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幼少期には愛する母に捨てられ… 「モラハラかまって夫」ができるまで【著者インタビュー】

  • 2026.11.1

【漫画】本編を読む

子どもの世話より、自分を優先してほしい。そんな夫からの要望に、妻の心はどんどんすり減っていく。『うずら男 モラハラかまって夫が人間をやめるまで』(前川さなえ/KADOKAWA LifeDesign)は、ふたりの男の子を育てる専業主婦・あすかと、妻への執着が止まらない夫・和史の歪な夫婦関係を描いた衝撃作だ。

ある日、あすかは和史から、8個のうずらの卵を育てるように命じられる。やがて孵化したうずらたちは、かわいいような、不気味なような…。この小さな生き物が、夫婦の歯車をさらに大きく狂わせていくストーリーは、多くの読者の心を揺さぶった。

本作の著者・前川さなえさんに、幼少期の家庭環境に傷を抱え、大人になっても生きづらさを感じる「アダルトチルドレン」や「モラハラ」をテーマに描いた本作の制作背景や、夫婦関係、自分らしく生きるためのヒントについてお話を伺った。

――和史の言動の背景には、幼少期の孤独や父親の影響が丁寧に描かれています。和史の過去を描くうえで、意識したことはありますか?

前川さなえさん(以下、前川):ただひたすらに「妻へこんなひどいことをする夫がいる」と描くだけでは、読者に対して親切じゃないと思っていて。編集さんと話し合って「なぜモラハラをするようになったのか」がわかる過去編を入れましょう、と決めました。

和史の過去は、悲惨ですよね。彼は暴力的な父親とソリが合わず、母親は弟を連れて家を出ていき…描きながら「和史がかわいそう」と思っていました。自分の子どもが同じ経験をしていたら、と思うと耐えられません。ただし、だからといって、自分の家族を苦しめていいわけではない。和史への同情に寄りすぎないよう、バランスは常に意識していました。

――本作では「うずら」を育てるところから、また新たな夫婦・家族の形へと変化していきます。「うずらを飼育する」というアイデアは、どのように形にしていったのでしょうか?

前川:編集さんの知人が「子どもがうずらの卵を孵化させてから、世話や餌代がすごく大変だった」と話をしていたところから、着想を得ました。「それをハラスメント的に転換できないか」というアイデアは、最初の企画メールにも書いてあったのですが…あまりに衝撃的で一読してもすぐには理解できなかったです。

調べていくと、たしかに鳥の目やクチバシの様子は、どことなく怖くもある。うずらのオスがメスに攻撃的になるという気性の荒さも、夫のモラハラ的な振るまいと結びつけられると思いました。鳥の図鑑まで読んで生態を調べたのは、はじめての経験でしたね! すごく詳しくなりました。

取材・文=松本温美

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