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兵役中のイ・ジェウクがサプライズ登場!笠松将が流暢な韓国語を披露、チェ・ヒョヌクも登壇…BIFFで見つけた注目作たち

  • 2026.10.31

国際映画祭の醍醐味と言えば、日本未公開作品をいち早く観ることができるところではないだろうか。10月6日から15日まで開催された第31回釜山国際映画祭(BIFF)もそんなチャンスに恵まれた。PRESS KOREAでは今年もBIFFを現地取材。待ちきれない韓国映画ファンのために、BIFFで熱い注目を浴びた期待の未公開作品と公開予定作品をご紹介しよう。

【写真を見る】“最後の死刑囚”に隠された真実を解き明かす『自筆(原題:자필)』

“最後の死刑囚”に隠された真実をたどるヒューマンサスペンス『自筆』

映画『秘顔』(24)やドラマ「ウンジュンとサンヨン」などで演技力の高さを強く印象づけたパク・ジヒョンと、昨年はNetflix映画『戦と乱』で青龍映画賞新人俳優賞を獲得するなど波に乗るチョン・ソンイルによるヒューマンサスペンス『自筆(原題:자필)』。法務部長官の最有力候補に上り詰めた検事が、過去に手がけたある事件をめぐり、自身の記憶をたどるとともに岐路に立たされる。

【写真を見る】“最後の死刑囚”に隠された真実を解き明かす『自筆(原題:자필)』 [C]BIFF2026
【写真を見る】“最後の死刑囚”に隠された真実を解き明かす『自筆(原題:자필)』 [C]BIFF2026

野外舞台挨拶には、ホン・ソンミン監督とチョン・ソンイルが登場した。韓国では金泳三政権下の1997年12月を最後に死刑は執行されておらず、事実上の死刑廃止国だ。その後就任した金大中大統領が死刑に対し慎重だったからで、その就任直前がまさに映画の舞台となっている。本作が長編デビューとなったホン・ソンミン監督は、この映画は“最後の死刑囚”からの手紙を受け取り真実を知っていく作品だと説明しつつ、「政治的な映画ではなく、家族を描いた温かい映画です」と説明した。

「私が出演作を選ぶポイントは、脚本を最初から最後まで一気読みできるかどうかです」と、本作がどれほど魅力的だったか語ったチョン・ソンイル。一方、だからこそ「監督がどんなに想像をめぐらせたか、脚本執筆に長い時間をかけたかは脚本を読んだだけで理解できましたし、新人監督でも全く不安ではありませんでした。むしろ監督が長い時間をかけて準備し、努力していた作品に私が迷惑をかけてしまうのではないかと心配しました」と、チョン・ソンイルにとっても覚悟の必要な作品だったことをうかがわせた。

観客と触れ合い、笑顔を見せるチョン・ソンイルら [C]BIFF2026
観客と触れ合い、笑顔を見せるチョン・ソンイルら [C]BIFF2026

スンファはあるきっかけで“最後の死刑囚”となってしまうキャラクターで、パク・ジヒョンが実に繊細に演じている。イベントでは不在だった彼女に対し、チョン・ソンイルは「実は私も完成した作品を観たのは昨日が初めてでした。あまりにもよく出来上がっていたので驚きました。パク・ジヒョンさんをはじめ、すべての俳優の方々と一生懸命楽しく撮影しました」とリスペクトも口にし、「ぜひ皆さん観ていただきたいです」と観客に期待感を持たせた。

笠松将が記者会見で流暢な韓国語を披露!孤立した邸宅で繰り広げられる心理ホラー『髭剃り』

近年、映画やドラマの現場での日韓のコラボレーションが盛り上がりを見せている。コンペティション部門作品『髭剃り(原題:면도) 』もその一本だ。長く執筆活動が途絶えていたホラー小説家スヨンが復帰作として自身の実体験を書こうとし、いまは無人となった生まれ育った家で日本人の恋人シンジと過ごすことになるが、思いも寄らない恐怖を体験することになる。

人気ホラー作家が体験する恐怖の夜を描く『髭剃り(原題:면도)』 [C]BIFF2026
人気ホラー作家が体験する恐怖の夜を描く『髭剃り(原題:면도)』 [C]BIFF2026

昨年はNetflix映画『グッドニュース』でBIFFに登場し、流暢な韓国語力で今年も韓国コンテンツから引きも切らない笠松将と、映画『ひかり探して』(20)やドラマ「その年、私たちは」でフレッシュかつ安定感のある演技を見せたノ・ジョンウィが共演している。

2013年に東京国際映画祭で上映されたピョン・ヨハン主演の『起爆』以来13年ぶりに長編を手掛けたキム・ジョンフン監督。本作はホラー映画の伝統的なテイストを持ちつつも、女性が現代社会で受ける抑圧を感じさせる作りにもなっている。記者会見でキム・ジョンフン監督は、脚本を渡されたときの好印象と、そのなかで自身が独自に打ち出せるものがあるかを模索したという。そして「一番惹かれたのは、ホラーというジャンル特有の性質でした。そのうえで、まとまりを欠くことなく、ジャンル以外の多様な要素を提示できるかどうか。そしてヒロインの感情をたどりながら、観客にカタルシスを感じさせるクライマックスへ到達できるのか。そこを重点的に考えました」と明かした。

記者会見に臨むキム・ジョンフン監督、ノ・ジョンウィ、笠松将 [C]BIFF2026
記者会見に臨むキム・ジョンフン監督、ノ・ジョンウィ、笠松将 [C]BIFF2026

記者会見では、笠松将の流暢な韓国語が取材陣を驚かせた。日本人記者からの韓国語での質問にも韓国語で応じ、「韓国で開かれている記者会見で、日本人記者が韓国語で質問し、日本人の僕が韓国語で答えているんですよね?」と、その不思議な状況を自ら指摘して会場の笑いを誘う一幕もあった。ワールドプレミア後のGVには、監督とノ・ジョンウィ、笠松将に加え特別出演のピョン・ヨハンも登壇した。

ノ・ジョンウィは劇中に登場する雨や水のイメージについて、主人公スヨンが心情のメタファーだという解釈も明かすなど、自身の役柄への洞察の深さも感じさせた。笠松将は「活発にコミュニケーションを取ったことで完成した作品」と、演技面での交流も映画の完成度を高めたことを強調。笠松より7歳年上のピョン・ヨハンもまた「これまでは、先輩たちを頼りながら演じていましたが、本作は仲間たちとのアンサンブルのバランスをとる役目を果たせました」と、撮影現場でのポジションが主体的になったことを振り返った。3人の良い雰囲気から、コミュニケーションを積極的に取ることが、国を越えて良い作品と仲間にめぐり会う秘訣であることがうかがえた。

イ・ジェウクがサプライズ登場でエール!Netflix新シリーズ「クルアルバ -おいしいバイト-」

NetflixやDisney+などの注目すべき配信シリーズが公式招待・初上映される部門「On Screen」では、まもなく10月30日より配信されるNetflixドラマシリーズ「クルアルバ -おいしいバイト-」が上映された。借金まみれのヒョクジュンは、通常の50倍もの報酬が得られるという“クル(꿀)”(韓国のスラングで「楽な」「おいしい」「最高の」などを意味する)なアルバイトを紹介する謎の斡旋所の存在を知る。破格の報酬に惹かれ、思わず飛びつくヒョクジュンだったが、そこで彼を待ち受けていたのは、想像を絶する地獄だった。「D.P. -脱走兵追跡官-」などの名プロデューサー、ハン・ジュニ監督が手掛け、イ・ジェウク、キム・ミンハ、コ・ミンシ、特別出演にチェ・ヒョヌクらが名を連ねている。

破格の報酬と引き換えに地獄のような仕事を引き受けることになる [C]Netflix
破格の報酬と引き換えに地獄のような仕事を引き受けることになる [C]Netflix

オープントークでは、ハン・ジュニ監督が、ドラマシリーズ「弱いヒーロー Class1」以来、タッグを組んできたチェ・ヒョヌクを起用した理由を明かした。「とても気になります!」と興味津々のチェ・ヒョヌクに苦笑いしながら、これまでに2作品でタッグを組んできたことから、「どうか3回だけ出演してくれませんか?」と冗談交じりにオファーしたことを振り返り、会場の笑いを誘った。さらに、「スタートを切ってほしいと頼みました」とも語り、物語の序盤を担う重要な役どころを託したチェ・ヒョヌクへの厚い信頼をのぞかせた。

ハン・ジュニ監督とは3度目のタッグとなるチェ・ヒョヌク [C]BIFF2026
ハン・ジュニ監督とは3度目のタッグとなるチェ・ヒョヌク [C]BIFF2026

キム・ミンハは、自身の主演作であり、今年のBIFFオープニング作品でもある『昼と夜は互いに(原題:낮과 밤은 서로에게)』とはまったく異なる役柄に挑戦できたことに、充実感をにじませた。「アクションシーンが多く、『一体どんなシーンになるのだろう』という疑問も大きかったので、監督と何度も話し合い、想像力を働かせながら撮影に臨みました」と振り返り、「自分1人の想像力だけではたどり着けない領域に挑むことができ、非常に特別な経験でした」と語った。また、こうした作品を携えてBIFFに参加できたことにも、特別な意義を感じている様子だった。

開幕式の司会も務め、今年のBIFFで大活躍したキム・ミンハ [C]BIFF2026
開幕式の司会も務め、今年のBIFFで大活躍したキム・ミンハ [C]BIFF2026

そんななか、思いがけないサプライズも!現在、陸軍に現役入隊し、兵役に就いている主演のイ・ジェウクが、オープントークの客席に姿を現したのだ。兵役中のためイベントへの正式な参加はなかったものの、終盤には短時間ながらステージにも登場。ファンからの熱い声援に応え、「元気に軍服務をしています。楽しく観てください!」と笑顔で呼びかけた。思わぬサプライズ登場に、会場は大いに盛り上がった。

笑顔を見せる「クルアルバ -おいしいバイト-」のキャストたち [C]BIFF2026
笑顔を見せる「クルアルバ -おいしいバイト-」のキャストたち [C]BIFF2026

キム・ヘジャのクローズアップが胸に迫るヒューマンドラマ『今もなお輝いて』

『今もなお輝いて(原題:여전히 찬란하게)』は、日本統治下の朝鮮を舞台に、ともに友情を育み、痛ましい記憶を胸に刻んだ17歳のスノクとチョンイムが、長い年月を経て再会する物語だ。日本による植民地支配で深い傷を負いながらも、懸命に生きる人々の輝きを描いた本作で、特に印象的なのがキム・ヘジャのクローズアップだ。

オープントークでは、ソン・イルグォン監督がキム・ヘジャの出演を実現させるまでのエピソードが明かされた。ソン・ソックとの共演で話題を呼んだドラマ「君は天国でも美しい」以降、新たな作品への出演を控えていたというキム・ヘジャ。監督は彼女の自宅を6回ほど訪ね、食事をともにしながら、なぜキム・ヘジャでなければならないのか、その想いを根気強く伝え続けたという。その熱意が実を結び、キム・ヘジャは「作品に込められた想いを、自分を通して観客に届けられるのであれば、出演します」とオファーを快諾。監督も「彼女のクローズアップを撮影できたのはすばらしいことでした」と語り、念願のタッグが実現した喜びをにじませた。

痛ましい過去を背負った2人の女性の友情物語 [C]BIFF2026
痛ましい過去を背負った2人の女性の友情物語 [C]BIFF2026

開幕式での様子から体調を心配する声も上がっていたキム・ヘジャだが、この日は共演者に支えられながらステージに登壇。「私は映画にはあまり出演しないので、今回もかなり躊躇しましたが、監督の作品に懸ける想いが伝わり、出演を決めました。この映画が皆様の心に響くことを願っております」と、作品への深い愛情を込めて語った。

キム・ヘジャをリスペクトするように囲むキャストたち [C]BIFF2026
キム・ヘジャをリスペクトするように囲むキャストたち [C]BIFF2026

取材・文/荒井 南

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