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【読めば読むほどクセになる!】ズボラな飼い主のかわりに“犬”が自炊⁉ 料理に目覚める愛犬の異色コミック『いぬめし』【レビュー】

  • 2026.10.29
いぬめし 家田明歩/白泉社
いぬめし 家田明歩/白泉社

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食事をしていると、匂いに誘われたのか、愛犬が羨ましそうにこちらにやってくる。そんな景色は、犬と暮らす人にとっては、お馴染みのものに違いない。では、その時、犬は何を考えているのか。「たまに何か自分で作ってるけど…あれうまそうだよな…」「"料理”とかいうやつ…やってみたいな…」——もし、そんなことを思っていたら、どうだろう。しかも、飼い主のいないうちに、犬がこっそり料理を始めたとしたら……!

『いぬめし』(家田明歩/白泉社)は、料理に目覚めた犬の姿を描くシュールでかわいいグルメコメディ。読めば読むほどクセになる、異色で異“食”なコミックだ。

卵を割って、フライパンへ! 肉球で初めてのクッキング!

主人公は、飼い主・あいみと暮らす犬のぽてと。あいみがたまに作るズボラ飯を羨ましく思ったぽてとは、彼女が仕事に出かけている間に料理に挑戦する。まずは、あいみが作っていたさんま缶の卵とじ丼をまねして、犬用のささみを卵でとじてみようとするのだ。

ところが、最初の卵を割るところから難しい。殻が入ってしまったので前足で取り除き、菜箸で適当に溶いたら、あいみも使っていた「だし?ってやつ」をちょっと加える。そして、フライパンを温めて……「熱ッ」! 「おいおい、犬なのに火なんて大丈夫なのか……」と、見ているこちらは心配してしまうが、ぽてとは卵にささみを加え、いつものカリカリの上にのせて「ささみと卵とじのカリカリ丼」を見事に完成させる。

さっそく実食。ふわふわの卵に、ささみとだしのうまみが合わさって、いつものカリカリがたちまちごちそうに。ぽてとはあまりのおいしさにご満悦だ。……あれ、犬のごはんのはずなのに、かなりおいしそうだぞ!?まさかぽてとの料理に、私たちの食欲まで刺激されるだなんて!

おにぎりは握らずに、シャカシャカ!天才犬の料理はどんどん本格的に!

こうして料理の楽しさに目覚めたぽてとは、どんどん自炊にのめり込んでいく。小さな肉球で料理に励むその姿は、なんてシュールで、なんてかわいいのだろう。しかも、作る料理は回を重ねるごとに本格的になっていくから面白い。

たとえば、あいみとピクニックに出かけるとなれば、お弁当作りに挑戦。あいみが簡単なおにぎりだけで済ませたのに対し、ぽてとは彩り豊かな蒸し野菜まで用意する。おにぎりも作ろうとするのだが、犬の前足ではうまく握れない。そこでパソコンで調べ、小さな容器にごはんを入れてシャカシャカ振る。ぽてとってパソコンまで使えるのか……。そうして出来上がったのは、チーズおかかと、さつまいもとごまの2種類のおにぎり。これがなんともおいしそうなのだから、ぽてとの天才っぷりには驚かされてばかりだ。

カレーもパンもお手のもの!? 料理へのこだわりは一流シェフさながら

さらに、ぽてとは料理の楽しさを犬の仲間たちにも伝えていく。ある時、仲間たちに「最近料理にハマってるよ」「人間のごはん食べてみたくない? 犬でも食べれるようにアレンジしてるんだよ」と語るぽてと。カレーを食べたいとリクエストされれば、玉ねぎなど犬に有害な食材や、刺激の強い香辛料を避けた特製カレーを考案。「犬が食えない物を食えるようにする…それがおれの料理だ!」と宣言するのだから、もうたまらない。

パン作りに挑戦すれば、小さな前足で生地をモミモミ。みんなで映画を観るとなれば、ポップコーンからチュロス、ピザまで手作り。さらには、野菜のうまみが溶け込んだ鶏ベースのスープに、きのこのブルスケッタ、デザートまでそろえた本格的なコース料理を仲間に振る舞うのだから恐れ入る。野菜嫌いのまるちには、ピーマンのポタージュやブロッコリーのチーズ焼きなど、野菜のおいしさを引き出した料理を用意する。自分がおいしいものを食べるだけでなく、仲間たちのためにも腕を振るう。そんな仲間思いなぽてとが、たまらなく愛おしい。

ぽてとの天才っぷりとシュールさ、そして何よりそのかわいさに、何度笑わされたことか。見た目は愛くるしい犬なのに、料理への情熱は人間以上。かっこいい。かわいい。そして、やっぱりとびきり変!

しかも、飼い主のあいみまで、ぽてとが料理をすることを当たり前のように受け入れ、出来上がった料理をうらやましがるからおかしい。「いやいや、犬が料理してるんですけど⁉」と、こちらとしてはツッコまずにはいられない。

最初は飼い主の料理をうらやましがっていたぽてと。それが今では、飼い主にうらやましがられるほどの腕前に!小さな肉球であれこれ工夫し、おいしい料理を幸せそうに頬張るその姿を眺めていると、料理ってこんなにも楽しいものだったのかと、改めて気付かされる。今夜はいつものごはんに、ちょっとひと手間加えてみようか。そんな気持ちにさせてくれる、愉快でおいしい一冊を、ぜひともあなたも、ご賞味あれ!

文=アサトーミナミ

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