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「街の漬物屋さんが見つからない」――それをチャンスに”手作りの漬物屋さん”を開業した女性

  • 2026.10.29

新米が美味しい季節!「ご飯と漬物があれば、何もいらない!」なんて言いますが、今回は食卓を彩る"手作りの漬物屋さん"のお話です。それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

越谷駅から歩いて10分ほどの佐藤留美商店
越谷駅から歩いて10分ほどの佐藤留美商店

日本各地には、いろいろな漬物がありますよね。米どころ、山形県にも、美味しい漬物がたくさんあります。「赤かぶ漬け」に「丸なす漬け」、そして「おみ漬け」と、どれも昔から地元の人たちに親しまれてきた味です。

そんな山形で生まれ育ったのが、佐藤留美さん、37歳。小さい頃から、おばあちゃんの漬物と、お母さんの手料理を食べて育ちました。将来は、料理に関わる仕事がしたい。そんな思いから、調理師免許が取れる高校に進学。卒業後は飲食店で働き始めます。持ち前の明るさと頑張りで、なんと23歳のときには、三店舗を任されるまでになりました。いつもニコニコ、笑顔がこぼれ、お店の看板娘としてお客さんから親しまれていました。

そんなある日、東京から出張で訪れた男性がその明るい人柄に心を奪われ、猛アタック!そして、留美さんが27歳のときに結婚。生まれ育った山形を離れ、上京することになりました。

佐藤留美さん
佐藤留美さん

東京では、生命保険の営業をしていた留美さん。

「お客さんへのちょっとした手土産に、有名店やスーパーの漬物ではなく、昔ながらの街の漬物屋さんのものを探したんですが、見つからなかったんです。どうしてなのかな?と調べてみたら、食中毒対策で食品衛生法が改正されて、漬物づくりにも新しい設備が必要になったんです。資金面の問題や高齢化などもあって、お店をたたむ人が増えていたんですね」

そこで、留美さんはひらめきます。

「これって逆にチャンスかも……。漬物屋さんをやってみよう!」

2023年5月、東京からも近い埼玉県越谷市に、佐藤留美さんは漬物屋さんを開きました。お店の名前は、ズバリ「佐藤留美商店」。

「昔は、自分の名前をつけるお店が多かったので、逆にカッコいいかなと思ったんです」

ライバル店が少なく、需要もある。そして、スーパーで売られている漬物とは、ひと口食べれば味の違いが分かると言います。

「うちはリピーターのお客さんが、めちゃめちゃ多いんですよ」

いつも笑顔を絶やさない留美さん。順風満帆に見えますが、お店を始めたころは、苦労の連続だったそうです。朝、漬物に使う野菜を仕入れます。大根はキロ単位で買い付け、大きな樽に漬け込みます。重石だけでも15キロほど。仕込みは、まさに体力勝負です。もうひとつ難しいのが、味加減です。思ったような味に漬からず、最初のころは、樽いっぱいの漬物を捨てたこともあったそうです。

「季節によって、野菜に含まれる水分量が違うんです。だから、微妙に塩加減も違ってくるんです。いい塩梅がとっても難しいんですよ」

すべて試食してから選べるとのことです
すべて試食してから選べるとのことです

漬物の種類は、季節ごとに、年4回入れ替えています。秋の漬物は「きくらげのからし漬け」「長いもキムチ」「れんこん松前風」「そうめんかぼちゃの中華漬け」「なめこの山形だし風」などなど。店内に並ぶ漬物は、すべて試食できます。味や食感をしっかり確かめて、納得したうえで選べるんですね。保存料や添加物は、一切使っていません。また、「形が悪い」というだけの理由で捨てられてしまうのは、もったいないと、留美さんは規格外の野菜も積極的に活用し、旬の野菜を余すことなく漬物にしています。

そんな「佐藤留美商店」に、今年5月、ニューフェイスが加わりました!留美さんが、男の子を出産したんです。

「いまは、パートさんに助けてもらいながら、目の届くところにベビーベッドを置いて、子育てをしながらお店を切り盛りしています」

素材を大切に、手間を惜しまず、丁寧に作る留美さんの漬物……。その味は、どこか懐かしい「おばあちゃんの味」なのかもしれません。

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