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「何かの間違いじゃ…」退職金2,000万円を“年金形式”で受け取った60代男性→翌年、役所から届いた“1通の通知書”に絶句したワケ

  • 2026.10.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さん、こんにちは。現役銀行員ライターの加藤隆二です。

長年勤め上げた会社からの退職金。「人生で一番大きなお金を手にする」という方も多いのではないでしょうか。大切なお金だからこそ、「少しでも賢く、お得に受け取りたい」と考えるのは当然のことです。

最近では、退職金を分割して受け取る「年金形式」を選べる企業も増えています。「分割でもらうと運用益が上乗せされるから、総額が多くなってお得ですよ」といった話を聞いて、心が揺れる方もいらっしゃるでしょう。

今回は、私が銀行の窓口で実際にご相談を受けた、ある60代男性のエピソードをご紹介します。よかれと思って「年金受け取り」を選んだ彼が、翌年、役所から届いた通知書を見て絶句することになった理由とは何だったのでしょうか。退職金の受け取り方に潜む、意外な落とし穴についてお話しします。

「少しでも多くもらいたい」退職金の受け取り方で迷う人々

退職金の受け取り方法は、老後のライフプランに直結する重要な決断です。しかし、目先の「受け取り総額」にとらわれてしまうと、思わぬしっぺ返しを食らうことがあります。

私が銀行の窓口でご相談を受けたAさん(60代男性)は、定年退職を迎えたばかりでした。2,000万円というまとまった退職金を手にする予定だったAさんですが、会社の担当者からある提案を受けます。

「Aさん、退職金は一時金でもらうこともできますが、会社に置いて年金形式で分割して受け取れば、運用益が上乗せされて最終的な総額はお得になりますよ」

この言葉を聞いたAさんは、「どうせすぐに全額を使う予定はないし、利息がついて増えるならその方がいい」と考え、2,000万円全額を10年間の年金形式で受け取ることを選択しました。窓口でお話を伺った際も、「少しでも増える方法を選んだんですよ」と、ほっとしたような笑顔を見せていたのが印象的でした。

翌年、役所から届いた通知書に書かれていた「想定外の金額」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

退職から1年が経ち、Aさんは再び銀行の窓口にやってきました。しかし、その顔は青ざめ、手には数枚の通知書が握られていました。

「これを見てください。役所から届いた通知書なんですが、何かの間違いじゃないかと……。こんなに税金と保険料が引かれるなんて聞いていませんよ!」

Aさんが見せてくれたのは、国民健康保険料と住民税の決定通知書でした。そこに記載されていた金額は、Aさんの想定をはるかに超える高額なものだったのです。

実は、退職金を年金形式で受け取ると、その収入は「雑所得」として扱われます。Aさんの場合、年間200万円の雑所得が公的年金等の収入に上乗せされた結果、その年の所得が大幅に増加しました。住民税は前年の所得をベースに計算され、国民健康保険料も所得に応じて跳ね上がります。

結果として、「受け取り総額」は増えたものの、支払うべき税金や保険料が激増し、実際の「手取り額」で見ると、当初思い描いていたようなお得感は完全に吹き飛んでしまっていたのです。

退職金は「一時金」と「年金」どちらで受け取るのが正解か?

このような悲劇を防ぐためには、退職金にかかる税金の仕組みを正しく理解しておく必要があります。税引き後の「手取り額」で考えることが何よりも重要です。

退職金を一括で受け取る「一時金」の場合、「退職所得」として扱われます。この退職所得には、「退職所得控除」という非常に強力な税制優遇が用意されています。勤続年数が長いほど控除額は大きくなり、多くの場合、退職金にかかる税金を大幅に減らす、あるいは非課税にすることができます。

一方、Aさんのように年金形式(分割)で受け取ると「公的年金等控除」の対象となりますが、65歳以降の公的年金などと合算されるため、所得が押し上げられやすく、結果的に税金や社会保険料の負担が重くなるケースが多いのです。

もちろん、すべての方が一時金の方が有利というわけではありません。しかし、「運用益がつくから」という表面的な理由だけで年金受け取りを選ぶのは、非常に危険だと言えます。

豊かな老後を迎えるための「正しい退職金の受け取り方」

定年退職はゴールではなく、新たな人生のスタートです。大切なお金を守り、不安のない老後生活を送るためのポイントをお伝えします。

Aさんの例のように、「総額が増える」という言葉だけで受け取り方を決めてしまうと、後になって後悔することになりかねません。退職金を受け取る際は、必ず「手取り額」でシミュレーションを行ってください。

具体的には、一時金で受け取った場合の税金と、年金形式で受け取った場合の税金・社会保険料の増加分を比較することが重要です。ご自身での計算が難しい場合は、退職前に勤務先の担当部署に詳細なシミュレーションを依頼するか、私たち銀行員や税理士、FPなどの専門家にぜひご相談ください。

皆さんが長年かけて築き上げた大切なお金です。「知らなかった」で損をしないよう、正しい知識を身につけ、ご自身にとって最適な選択をしてくださいね。


執筆者:加藤隆二
現役銀行員ライター。保有資格:FP2級(個人資産相談業務)。銀行勤続30年以上の豊富な融資・預金業務の現場経験を活かし、生活に直結するお金のリアルな事情を発信し続けています。

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