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イタリアの美学を再発見。老舗メゾンが描く新しいエレガンス【2027春夏コレクション】

  • 2026.10.28
Hearst Owned

ファッションの都、ミラノが世界に誇るのは、長い歴史の中で育まれてきたモノづくりの精神と、日常を豊かに楽しむ感性。今季は、そんなイタリアらしさをそれぞれの視点で掘り下げたコレクションが印象的だった。

シチリアの旧家に眠る宝物から着想を得た華やかな装い、伝統的な編み込み技法を軽やかに進化させたクラフト、肩の力を抜いて楽しむ洗練されたスタイル。そして、機能美を追求した現代女性のためのワードローブ。アプローチは異なれど、共通するのは、確かな品質へのこだわりと、自分らしく装うことを楽しむイタリアならではのアティチュード。受け継がれてきた技術や価値観を、今の時代にふさわしいエレガンスへと昇華させた4ブランドに注目したい。

ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)

LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT
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シチリアを舞台にした小説『山猫』の一節が読み上げられ、「ドルチェ&ガッバーナ」のショーが幕を開けた。今季描いたのは、伝統を受け継ぎながらも自由に装う女性像。会場にはバロック様式のフレスコ画で彩られた邸宅が再現され、窓の向こうには緑豊かな庭園が広がる。祖母のジャケットや叔母のジュエリー、代々受け継がれてきた嫁入り道具。シチリアの旧家に眠るそんな宝物を、現代の感性で大胆に組み合わせた。

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パステルカラーのレースにレオパード柄、重厚なブロケードに軽やかなランジェリー。異なる時代やテイストを縦横無尽に掛け合わせるスタイリングが、ランウェイを華やかに彩った。花柄のボウブラウスにはバルーンショーツを、レオパード柄のロングケープにはルーズなデニムを合わせ、エレガンスに奔放な遊び心を忍ばせる。家具の張り地を思わせるダマスク織や、繊細なクロシェ編み、色とりどりの花の刺しゅうにも、受け継がれてきた職人技が息づく。

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ジュエリーはパールやクロス、カメオ、サンゴ、ブローチを幾重にも重ね、装飾の楽しさを存分に謳歌。なかでもブランドを象徴するレオパード柄は、官能性とユーモアを併せ持つモチーフとして、さまざまな装いに姿を変えた。華美でありながらも、どこか親密で人間味を帯びていた。ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナが貫いてきたシチリアへの愛と、装うことへの飽くなき情熱が結実したコレクションだった。

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ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)

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クラフツマンシップを核心に据える「ボッテガ・ヴェネタ」。クリエイティブ ディレクター、ルイーズ・トロッターは磨き上げてきた手仕事の表現に、今季は新たに“軽やかさ”を追求した。ブランドを象徴するレザーの編み込み技法イントレチャートを出発点に、クロシェやマクラメ、レースなど、多彩な技法へと表現を広げた。重厚なレザーの存在感が際立ったこれまでのコレクションから一転、素材の質感や動きを生かし、春夏らしい開放感を引き出している。

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すらりと縦長のラインを描くテーラリングに、空気をはらむ薄手のシルクパンツ。彫刻的なフォルムを保ちながらも、クロシェ編みのオーバーシャツやマクラメ風のタンクトップ、透かし模様のレースが、肌と布の間に心地よい余白を生み出す。圧巻だったのは、歩くたびにフリンジが舞い上がり、裾が楕円(だえん)を描くスカート。無数の糸で花模様を浮かび上がらせたドレスや、ラフィアとレザーを編み合わせたの大ぶりのイントレチャートバッグにも、素材と技法を自在に操るトロッターの感性が表れていた。

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カラーパレットはニュートラルを基調に、バターイエローやライラック、鮮やかなオレンジがみずみずしい彩りをもたらした。レザーのジャケットやパンツにも重さを感じさせず、洗練されたたたずまいのなかに、ほどよい抜け感と自然な動きを宿した。編む、結ぶ、揺らすという手仕事の可能性を広げながら、完成度の高さと気負いのなさを両立。クラフトというブランドのDNAをここまで軽やかに、自由に表現するトロッターの手腕に、改めて魅了された。

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トッズ(TOD'S)

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美しいものを見極め、日常のささやかな喜びを楽しむ。そんなイタリア人ならではの感性を、今季の「トッズ」は“イタリアン アティチュード”として表現した。クリエイティブ ディレクターのマッテオ・タンブリーニが着想源としたのは、音楽や映画、旅先で出会った風景など、自身の感性を育んできた記憶の数々。シャーデーやダイアナ元妃、リンダ・エヴァンジェリスタといった1990年代のアイコンたちを参照しながら、自分らしいスタイルを築く自由に目を向けた。

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コレクションの主役は、ブランドが誇るレザーの魅力を存分に引き出したトレンチコート。繊細なパンチングを施したレザーや柔らかなナッパ、シルクとナイロンを組み合わせた素材で仕立て、クロップド丈でそのプロポーションにも変化をつけた。体に沿うボンバージャケットや軽やかに揺れるドレス、ゆったりとしたVネックニットに膝丈ショーツを合わせたプレッピーな着こなしも目を引く。タンブリーニが得意とする巧みな色彩使いも際立ち、ナチュラルカラーを基調にサフランイエローやレッド、ブルーを差し込むことで、洗練された装いにグラフィカルなリズムをもたらした。

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WWD / Getty Images

足元では、アイコンの“ゴンミーノ”を細長いフォルムやドットのパンチングで再解釈し、スポーティーな“スニーカー バレリーナ”も披露。バッグはアーカイブから“キャンディ バッグ”が復活し、“ディーアイ バッグ”には新たな素材とプロポーションを取り入れた。卓越した職人技を礎に、受け継がれてきたアイコンを軽やかに更新。イタリアンエレガンスの本質を守りながら、自分らしく装うことの豊かさを改めて教えてくれる。

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マックスマーラ(MAX MARA)

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‘30年代、未知の世界へと飛び出した女性たちがいた。大西洋を横断した飛行家アメリア・イアハートや、世界を旅した探検家フレヤ・スターク。「マックスマーラ」クリエイティブ ディレクター、イアン・グリフィスが着想源としたのは、そんな自由と冒険心を体現した女性たち。今季掲げたのは、クワイエット・ラグジュアリーならぬ“ユーティリティ・ラグジュアリー”。機能性を、現代女性のための洗練されたエレガンスへと昇華させた。

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主役は、1930年代の冒険家を思わせるサファリジャケット。表情豊かなリネンや光沢のあるギャバジンで仕立て、ロングコートやベルト付きのショート丈へと展開した。大きなポケットを備えたカーゴベストやゆったりとしたトレンチコート、完璧な仕立てのテーラリングも登場。ニュートラルカラーを基調に、白いタンクトップやレザーのキュロットを合わせ、実用的なワードローブに都会的な抜け感を添えた。

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一方で、オーガンザのカーゴパンツやフライトスーツ、背中を大胆に開けたニットドレスが、ストイックな装いにさりげない官能性を加える。ショルダーバッグはクラッチやバックパックへと姿を変え、機能美を細部にまで追求した。かつて未知の世界を切り拓いた女性たちの精神を受け継ぎ、現代を生きる女性に向けた、日常を冒険するためのワードローブ。「マックスマーラ」らしい揺るぎないエレガンスと実用性を物語るコレクションだ。

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