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今年のベスト韓ドラの呼び声高い『ドクターX ~白衣のマフィア~』に見る日韓リメイク、成功の秘訣とは?

  • 2026.10.27

日本のドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』を、『涙の女王』で人気絶頂の俳優キム・ジウォンでリメイクした『ドクターX ~白衣のマフィア~』。

早くも秋ドラマのトップに踊り出た感じですが、最新話ではあの光州事件(5・18光州民主化運動)のエピソードに果敢に挑み、論争をも巻き起こしています!日本人の私としてはそれはそれとして、何がすごいってめちゃくちゃ面白いこと! サスペンスの緊張感もゾクゾクするし、腐敗した権威をものともせず、その手術の技術で次々と人々を助ける様もカッコいいし、達者な脇役たちの笑いもたっぷりで、折り返し地点のEP6までに限って言えば、今年のナンバー1かもしんない!という作品です。

何が素晴らしいって、原作の日本版へのリスペクトを忘れず、それでいて全く違うドラマになっていること!ってことで、リメイクに取って大事なのはなにか?なんてことを、この秋、やけに多い日韓リメイク&日韓共同制作の作品をまな板に乗せて、語ってみました!ウ・ヨンウもあるよ!

courtesy via SBS

韓国版「ドクターX」のならではリメイクポイント

物語は、人手不足のグソ大学病院に、医師紹介所からフリーランスで凄腕の医師キム・ジウォン(『涙の女王』)が派遣されてくるところから始まります。ジウォンは海外の大学をいくつも卒業し、紛争地域の医療奉仕団にも参加した経験を持つ医師なんですが、大事なのは患者を治療することだけで、周囲の空気を読む気は全くなしの権威を嫌う一匹狼。初っ端から院長が執刀予定のとんちんかんなーー実は全医師がそうとわかっちゃいるけど指摘はしなかった手術プランを全否定し、サラリーマン医師たちを慄かせます。この手術、院長側と患者側それぞれに見逃されていたある問題によって、あわや医療事故!という大ピンチになるんだけども、その両方を予見していたジウォンによって事態は収拾。

courtesy via SBS

この失態で院長が交代。やってきた新院長ソン・ヒョンジュ(『梨泰院クラス』)は、医者として優秀だけど「政治」ができず、大学病院では冷や飯を食っていた人です。ジウォンの手術の腕に目を見張ったヒョンジュ院長は、試用期間だった彼女をアルバイト医師として雇うことに。同僚医師たちは、彼女が提示した勤務条件ーー「勤務は9~6時」「夜間勤務は夜間料金」「手術は一件ごとに特別料金」「医療免許が必要なこと以外はやらない」「会食など付き合いにはすべて参加しない」、でも「失敗もいたしません」というジウォンと、それを全て受け入れたヒョンジュ院長に唖然。でも実を言えばヒョンジュ院長は「利用するだけ利用して、いざという時は全ての責任をジウォンにおい被せればいい」と考えているんですね~。この人もまた、目的のために手段を選ばないワルなんですよ!

原作へのリスペクトを感じる演出とキャラ設定

韓国の放送では視聴率も絶好調で、早くも大ヒット作品となりつつあるこの作品、当然ながらめちゃめちゃ面白いんだけども、それでいて原作へのリスペクトも感じる、原作ファンが見ても楽しめる作品になっていて、これリメイクとして大成功じゃないかと思います!

まず主人公のキャラクターは、その行動パターンーー群れと権威を嫌う、患者の命が最優先、無遠慮な物言い、数秒前から準備する定時退勤、医療行為以外は「いたしません」、「私、失敗しないので」の決め台詞、三度の飯より手術が好き、手術後はガムシロップをがぶ飲みなどーーにおいては、ほぼ「大門未知子」を踏襲。裏で「デーモン」と呼ばれていた「大門」に対し、「ケ(계)・スジョン」が「ケ(개=犬・韓国語では蔑称)」と呼ばれるのも同じ。各話の冒頭と締めに入る「これは一匹狼の物語」と入るナレーションもほぼ同じです!

courtesy via SBS

ちょっと違うのは、米倉涼子が「権威とか屁とも思わないバブル時代風のイケイケ姉ちゃん(元ヤンキー風)」であるのに対して、キム・ジウォンは「特権意識の強い医師たち(=白いマフィア)を憎む、取り付く島のない無愛想な変人アウトロー」であること。そして米倉涼子は「生まれつきこういう人なんだな」って感じですが、キム・ジウォンはどうやら過去の海外での医療奉仕で衝撃的な経験をして以来、こういう人になっちゃったっぽい。このあたりはそれぞれ演じる俳優の個性、時代、さらに国の違いに合わせたキャラ作りだと思うんですが、各作品の中にある両者の存在感に齟齬がない、と言う感じでしょうか!

courtesy via SBS

お金大好きな紹介所の所長イ・ジョンウン(『Missナイト & Missデイ』)も、メロン持参のご挨拶から、大金せしめて上機嫌で踊りながら帰るところとかも、性別は違えども岸部一徳そのまんまだし、外科医局の面々が主人公に物言いに苛つきながら、その実力にねじ伏せられてタジタジしていく様でちょいちょい笑いを取るところも最高です!

では、違いはどんなところに?

もちろん違うところもあります!ひとつは、ドラマ全体のトーン。

原作は全体的にお約束の笑いを散りばめた、スカッとできるドライなコメディとしての色彩が強め。シーズンの終盤にはそれなりに情感のあるエピソードが登場するけども、総合的には「病院にはびこる権威主義を、アンチヒーローが痛快にぶっ飛ばす」という感じで、韓国ドラマで言えば『トラウマコード』っぽい感じなんですね。

courtesy via SBS

一方の韓国版は「医療ノワール」って謳ってるくらいなんで、1、2話こそ原作とほぼ同じ流れですが、妙に人当たりのいいところも含めていかにもサイコパスな外科医チャン・スンジョ(『あなたが殺した』)が登場する第3話からオリジナルかつサスペンスフルな展開になってきます!そしてその上には「白いマフィア」の本丸、ドラマの冒頭に出てきたチェ・グァンイル(『ホームタウン』)が仕切るエリート組織「木蓮会」があるんですねー。エリートの秘密組織は韓国の映画やドラマでは山ほど登場するんですが、その元祖といったら映画『ソウルの春』で登場し戒厳令を主導したチョン・ドファン元大統領の「ハナ会」だと思いますが、6話ではこれと呼応するように「光州事件」にからむエピソードが登場。ジウォンの過去と重ね合わせて、原作とは全く異なる韓国版が描きたいものが見えてくる感じがします!

そして実はジウォン同様に、医療の本質を歪める「白いマフィア」たちを嫌っている院長ソン・ヒョンジュ(『梨泰院クラス』)の存在も気になりますー!そのうち二人はタッグを組むようになると私は見ました!

今クールは日本のリメイク作品だらけ!

さてさて、このクールはもうひとつ、韓国ドラマの日本でのリメイク作品が話題です!皆さんご存知、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のリメイク、『南田南弁護士は天才肌』です!このタイトルが語呂が悪すぎる!そもそも南田って名字で南って名前つけるか普通!といろいろ心配していましたが、とりあえず第一話を見た感じでは、すごく頑張っている感じがしました!

まずは何つったって芦田愛菜がやっぱりすごい!子役出身の演技派、女子女子しすぎてない、誰もが愛さずにはいられないというウンビンちゃん同様の存在感が、ウ・ヨンウと共通する主人公像を作り出しているし、カン・テオ越えちゃうんじゃないかという高橋文哉も素晴らしすぎ!!事務所の全女子に好かれる人気者カン・テオに対し、高橋文哉はもう少しソフトで優しい感じなんだけれども、芦田愛菜ちゃんとワンセットだとあーらふしぎ!ウ・ヨンウのほのぼのラブな世界がめっちゃ再現されているじゃあーりませんか!(とはいえ、ラブの部分は、キスシーンとか、ガラス越しに手を当てる場面とか、これからが勝負だと思いますが!)

日本では「リメイク=忠実に作る」と思っている節があるんだけども、それはある意味正しいけどある意味は間違ってる!と私は声を大にして言いたい。見終わった後に残るのは「印象」なので、誤解を恐れず言えば「物語の違い」とかは意外とどうでもいい。大事なのは作品世界の印象が、どのポイントで作られているか。裏を返せば、そこをきっちり押さえれば、物語や俳優が違っても、共通する作品世界を感じてもらえるんですね!作り手にこのあたりの勘所を見極める力がない、もしくはそこを一括してコントロールする人がいないと、ガワとか表面的な設定を似せて作っても、これぜんぜん『梨泰院クラス』じゃねーだろうが!みたいなことになっちゃうんですね!あ、うっかりタイトル出てもうた!てへ!

もちろん「面白いこと」もすっごく大事!この調子で来年の『アンナチュラル』も上手く作ってくれることを期待!

ついでに語りたい、日韓共同制作作品

さてさてさて、今季はリメイク以外にも日韓の共同製作っぽい作品がいくつかあるんで、ついでにそのへんについても暴論してみたいと思います!

まずはファンミも大盛況のチ・チャンウク(『江南Bサイド』)の『メリー・ベリー・ラブ』。共同経営者の裏切りで全財産を失ったチャンウクが、唯一残された父の遺産=日本の島にある土地を訪ねたら、今田美桜ちゃんがその場所でイチゴ農園やってた、てか俺の土地だし!私の土地で間違いありません!なやり取りを経て、チャンウクは自分の土地を高く売るために地続きの美桜ちゃんの土地を買い取る作戦に。取り入るために、イチゴ農園を手伝うことに…というお話。なんていうんでしょうか、ティーン向けの少女マンガ!って感じでしょうか!『Eye Love You』の時も思ったけども、日本のドラマがターゲッティングしてる視聴者層は、(年齢的な意味ではなく)これを求めてるの層なんだね!ま、私は1万キロくらい外れてますけど、こういうので日本で人気爆発する韓国人俳優もいるので、それはそれでいいんじゃないでしょうか!ビジネスだしな!

もう一本は、韓国でも人気の坂口健太郎に、ええええ!イ・ジュンギ(『麗〈レイ〉 花萌ゆる8人の皇子たち』)が!という驚きのキャスティングの『kiDnap GAME』。東京、ソウル、台北、シンガポール、バンコク、那覇、マニラのアジア7都市で、誘拐事件が相次いで発生。でもって大事な人を誘拐された人物のもとに「救われるのは一人だけ!救いたいならゲームに参加してね!」というメールが来て……というお話。厳密に言えば、日本、韓国、香港の共同製作で、妻を誘拐された東京の刑事・坂口くん、娘を誘拐されたソウルのジュンギ、母を誘拐された沖縄の満島真之介、夫を誘拐された香港のアリス・クー…という感じのスターの面々が、誘拐犯がしかけたゲームに強制参加させられる!という『イカゲーム』みたいな感じを目指したサスペンスです!なんだけども、あれ?誘拐された人のこと、ホントはそれほど愛してなかったかな?って感じの、日本の地上波の「ながら見」層向けの緊張感とスピード感!私はまたしてもターゲットから外れちゃっている感じです!スタッフもスターも各国で、やり方もそれぞれだろうし、これをリズムよく仕上げるの相当大変なんだろうなあ……と遠い目になりました!

最近の日本のドラマ、いい作品面白い作品もすごく増えていると思うけども、この2作品について個人的に感じるのは「セリフが遅すぎ」。そして「セリフのない部分(演技とか映像描写とか)の情報量が薄すぎ」で、そうなるとどうしても *#️&’()’&%#”#$%(自粛)。

まそんなわけで(どんなわけ?)、日韓共同企画、今後も注目したいと思います!

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