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【柚香光】再び劇団☆新感線へ。名優たちが演じ継いだ“極楽太夫”で魅せる、強くしなやかな美しさ(前編)

  • 2026.10.24

宝塚歌劇団退団後初の演劇作品となった『紅鬼物語』から約1年半。柚香光さんが、劇団☆新感線の代表作の最終章『髑髏城の七人 LAST STAND』で、再び新感線の舞台に立つ。演じるのは、華やかに歌い舞いながら、無界の里に生きる人々を守り、自らも戦う極楽太夫。これまで数々の名優が演じ、宝塚歌劇団の大先輩・天海祐希さんも挑んだ役を、柚香さんはどう自分のものにしていくのか。二度目だからこそ語れる劇団☆新感線への思い、極楽太夫に感じる“強さと美しさ”、そして舞台を支える最新の美容&コンディショニング事情まで、たっぷり伺いました。

『髑髏城の七人』は劇団☆新感線に魅せられてしまった、出会いの作品

宝塚歌劇団 花組 柚香光さん
VOCE

この作品のオファーを受けられたときのお気持ちと、劇団☆新感線の舞台に対する印象や魅力を教えてください。


柚香光さん(以下、柚香さん)

『紅鬼物語』に出演させていただいてから、また1年後にご縁をいただき、それが『髑髏城の七人』という、私が初めて劇団☆新感線を観たときの作品だったので、初めて新感線を観たときの自分を思い出しながら、それだけの年月が経ったこと、そして不思議なご縁も感じました。


VOCE

きっと、とても嬉しかったですよね!


柚香さん

はい! とても「ありがたいこと」であり、身の引き締まる思いもしました。


VOCE

初めて劇団☆新感線をご覧になったときのこと、ぜひお話しいただけますか?


柚香さん

まず、ロビーに流れている音楽(笑) 宝塚歌劇団では、開演前のロビーの音楽は『すみれの花咲く頃』という、美しい音色の何とも優雅な音楽なのですが、劇団☆新感線ではロビーに入った瞬間にヘビメタが流れていて(笑) 「え! こんな世界があるのか!」ととにかく驚きました。その世界観に最初は本当にびっくりして。


VOCE

確かに、劇団☆新感線の開演前の演出は初めてだと驚きますね(笑)


柚香さん

そうですね(笑)。ドキドキしながら客席に着いたら、刀が舞台に突き刺さっていて、照明がバン!と当たっていました。始まったと思ったら、今度は照明が客席を照らすように縦横無尽に動き始め、まるでコンサートが始まるよう。その瞬間にガッと引き込まれ、「絶対に楽しい作品を観に来たんだ」と魅了されたのを覚えています。


VOCE

分かります! 初めての新感線は誰もがクセになる舞台ですから!


柚香さん

しかも、かなり凄惨で生々しいシーンも多く、立ち回りもたくさん。それが長くて、手数も多くて、それぞれの役者さんにみんな感情がこもっているんです。立ち回りにも衝撃を覚えましたし、歌舞伎のようなツケが入って、そこで照明がパッと変わり、キメ台詞があり、見得を切る……。いろんな種類の感動が溢れかえってしまい、それを終演後に咀嚼するのが大変だった記憶があります。


VOCE

柚香さんがご覧になった『髑髏城の七人』はワカドクロ(2011年版)だったと思うのですが、そこでは小池栄子さんが極楽太夫を演じていらっしゃいました。どんな印象をお持ちになりましたか?


柚香さん

やっぱりカッコよくて、でもすごく色気もあり、姉御肌で気風が良くて、情に厚くて……、という印象です。初めて観た極楽太夫が小池さんなので、その印象が脳裏に焼き付いています。とにかくカッコよかった!


VOCE

小池栄子さん以外の極楽太夫もご覧になっていらっしゃいますか? 宝塚でも同じお役を異なる配役で演じることがありますが、現時点で柚香さんは“極楽太夫”をどのような役だと捉えていらっしゃいますか?


柚香さん

まず、【極楽太夫】と聞いたら、錚々たる俳優さんのお顔がバッと浮かぶくらい、本当に素晴らしい方々が演じられたお役だという印象です。ですから、最初にこの役を演じると聞いたときに、皆さんのお顔が頭をよぎりました。印象としては、艶やかで、あでやかで、華やか、そして情に深い……。強さももちろんあると思いますが、一番は“情の深さ”を持った役だと思っています。


VOCE

今現在、柚香さんが感じられているその印象を、どのようにアウトプットしていきたいですか?


柚香さん

“説得力”を持つ役作りができないといけないですね。その名を関東に轟かすくらいの太夫なわけですから。芸に秀でているのは当たり前で、教養も色事も、人と接する能力もそうですし、いろんなものが必要とされているはずです。あれだけの女郎、女衆たちを率いてまとめて、そのトップに立っている女性です。極楽太夫がいる“無界の里”は女性の救いの里でもありますが、浪人や百姓など身分関係なく全員を迎え入れる場所です。そこのトップを張っている人物なので、やはり説得力が必要だと思っています。


VOCE

なるほど。お稽古もこれからなので、さらに深掘りしたあとの柚香さんが楽しみです。


“闘う極楽太夫”としての殺陣や立ち回り。そしてコメディシーンへの挑戦も

宝塚歌劇団 花組 柚香光さん
VOCE

昨年『紅鬼物語』で劇団☆新感線に初参加されましたが、そのときのお稽古場の印象についてお伺いできますか?


柚香さん

本当に笑い声が溢れているお稽古場です。しかも、いのうえさんから生まれる笑いが本当に多くて(笑) まさに“いのうえさんワールド”。いのうえさんがいろんな役を実際に演じながら演出してくださるのですが、その台本からそんな演出になるのか!というサプライズが溢れているんです。実際に演じてくださるいのうえさんが本当に面白くて(笑)


VOCE

いのうえさんの演出の面白さは、劇団☆新感線の参加者皆さんがおっしゃいますよね。


柚香さん

いのうえさんが演じると稽古場に「どっかーん!」と笑いが起こるのですから、それを超えないといけないと思うとプレッシャーです、本当に(笑)


VOCE

そんなプレッシャーの中、ご自身が心がけていらっしゃったことはどんなことですか?


柚香さん

前回は鬼の役でしたので、コメディシーンというのがあまりなかったんです。ですから、いのうえさんのコメディパフォーマンスのあとに、自分がそれを同じようにやるという機会もあまりなくて……。でも今回は「笑いも散りばめていく」といのうえさんが仰っていたので、少しドキドキしているところです。


VOCE

いのうえさんならではの演出を経た柚香さん、というのが観られるのは楽しみです!


柚香さん

いのうえさんのエッセンスの恩恵を受けることで、「え、柚香さんにこんな一面があったんだ!」と思ってもらえるとうれしいですね。また新しい一面を楽しんでいただけるように頑張っていきたいと思います。


VOCE

製作発表では『紅鬼物語』を終えられたあと、「もっとこうしたかった」というお話もされていたかと思いますが、どんなところにそのような想いが残っていますか?


柚香さん

具体的な内容としては、やはり“役作り”です。『紅鬼物語』のときは紅子という役をさせていただきましたが、彼女は鬼であり、ひとりの娘であり、妻であり母であり、という役どころだったので、いろんな面が見えるように描いてくださっていました。そこで、母とは、鬼とはどういうことか、紅子の生い立ちなど、もっと稽古の序盤からしっかり作っていきたかったという想いがありました。


VOCE

立ち回りなどに関して、想うことはありましたか?


柚香さん

はい。今回もご一緒している早乙女友貴さんが『紅鬼物語』では鬼の子分筆頭という役柄だったんです。私にはその早乙女さんを筆頭に子分がいたのですが、その中でも最強の鬼という役柄だったので、早乙女さんよりも強くなくてはいけない(笑) 私の立ち回りの出来如何で作品の説得力や話の筋、お客様が没入できるか、そこで違うものを感じさせてしまう可能性がありましたので、そこをもっと初日からレベルを上げていけたのでは、とも思いましたね。


VOCE

今回は“闘う極楽太夫”と呼ばれるくらいですから、殺陣や立ち回りがとても楽しみです!


柚香さん

そうですね。今回もまたアクション監督の川原(正嗣)さんが“太夫の立ち回り”をつけてくださると思います。武器も違いますし、そもそも太夫は人間で紅子とは違いますので、太夫なりの戦い方、守り方というものをしっかりできるようにしたいと思っています。あと、やはり“いのうえ歌舞伎”なので、傾くとか見得を切るとか、キメ台詞とか、そういうところはもっとできなくてはならなかったと思うので、課題はたくさんありますね(笑)


Wキャストの塩野瑛久さんと藤岡真威人さんそして“面倒見のいい”早乙女友貴さん

宝塚歌劇団 花組 柚香光さん
VOCE

一緒に【無界の里】を作っている蘭兵衛役は塩野瑛久さんと藤岡真威人さんのWキャストです。製作発表では「蘭兵衛が変わると、色が変わると思う」と仰っていましたが、塩野さん、藤岡さんにはどんなイメージをお持ちですか?


柚香さん

塩野さんも藤岡さんも初めてお目にかかりまして、まだまだこれからという感じなのですが、印象としては塩野さんのほうがクールといいますか……。太夫も高嶺の花と言われる存在ですが、それと似たような緊張感のあるカリスマ性を放たれるように感じています。一方で藤岡さんは元々持っていらっしゃるのであろう、温かなものがありまして。すごく謙虚でいらっしゃいながらも、温かい芯を持った方という印象。


VOCE

塩野さんと藤岡さんのおふたりはまったく逆の印象なのですね。


柚香さん

はい。単純な言葉で申し訳ないのですが、分かりやすくお伝えするなら、クールな塩野さんに対して藤岡さんはちょっと陰や傷、負い目がありながらも、ふとしたときに見せる柔らかい表情が印象的な蘭兵衛になるんじゃないかなと思っています。でも、そこからまた物語がどんどん進んでいくわけですから、どちらも見逃せなくなるはずです。


VOCE

今回の共演で、二度目になる早乙女友貴さんの印象はいかがですか?


柚香さん

今回はほとんど絡みがないんですよね……。前回初めてお会いしたときは、口数が少なく、凄まじい身体能力を持っていて、クールな印象だったのですが、実際にお稽古が始まってみると、何と言うか、とても“面倒見のいい方”だったんです。こういうとおかしく聞こえるかもしれないですが(笑)


VOCE

もう、準劇団員のような方ですからね!


柚香さん

シンプルに、教えるのがとてもお上手で。私が勝手に思っているだけなんですけど、ご本人も教えるのがお好きなんじゃないかな……(笑) 私から「教えてください!」と言っていただけなので自分に都合よく解釈しているだけかもしれませんが、すごくナチュラルに、相手に気を負わせずに集中できる環境を作ってくださるんです。しかも、根気よく付き合ってくださいました。舞台ではすごく熱い方。舞台が大好きなんだと思います!


二度目の劇団☆新感線、しかも歴代の錚々たる俳優さんが演じてきたお役に挑戦ということで、お話ししてくださるテンションもとにかく“熱い”柚香さん! 初めて観た劇団☆新感線のお芝居、それも幾度となく再演を重ねてきた『髑髏城の七人』ということで、ご本人の喜びもひとしおです。後編ではそんな長い舞台での体調管理方法や最近ハマっている美容ネタなど、たっぷりとお話しいただきました! お楽しみに!

【柚香光さん・プロフィール】

柚香光(Ray Yuzuka)
1992年3月5日生まれ、東京都出身。2009年に95期生として宝塚歌劇団に入団し、花組に配属。2019年に花組トップスターに就任。抜群のダンス力と華やかな舞台姿で人気を集め、2024年5月『アルカンシェル~パリに架かる虹~』で退団。退団後は1st Solo Concert『TABLEAU』を皮切りに、劇団☆新感線『紅鬼物語』、ダンスエンタテインメント『BURN THE FLOOR 2025』、ミュージカル『十二国記-月の影 影の海-』、『ハムレット』などに出演。『髑髏城の七人 LAST STAND』は、『紅鬼物語』に続く2度目の劇団☆新感線出演となる。宝塚在団時の主な出演作に【舞台】『はいからさんが通る』『うたかたの恋』『鴛鴦歌合戦』など。2027年4~5月には主演ミュージカル『メアリ・シェリー』、同年7月にはミュージカル『十二国記-月の影 影の海-』アリーナ ライブへの出演も決定している。

~Information~
2026年劇団☆新感線46周年興行・冬公演
いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』

早乙女太一
塩野瑛久/藤岡真威人(Wキャスト)
早乙女友貴
柚香 光
片岡千之助
桜井日奈子
近藤頌利
河野まさと
木村 了
浜中文一
粟根まこと
山口馬木也 ほか

東京公演:新橋演舞場
2026年11月14日(土)~12月25日(金)

長野公演:ホクト文化ホール
2027年1月21日(木)~1月24日(日)

金沢公演:金沢歌劇座
2027年2月8日(月)~2月14日(日)

大阪公演:フェスティバルホール
2027年2月25日(木)~3月11日(木)

撮影/楠本隆貴 ヘアメイク/SAKURA スタイリング/大園蓮珠 取材・文/前田美保

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