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23歳下の元妻を「あのどうしようもない売女」と罵倒…ジョニー・デップの泥沼裁判で突きつけられた「ショッキングな証拠の数々」

  • 2026.10.24

ハリウッドの頂点を極めた男、ジョニー・デップはなぜ表舞台から姿を消したのか――。その裏には、元妻のアンバー・ハードとの6年にもおよぶ泥沼闘争がありました。ここでは『ジョニー・デップの戦い DV疑惑の真実と復活への道』(猿渡由紀 著、文藝春秋)を一部抜粋して紹介します。

2022年4月、ジョニーが元妻を名誉棄損で訴えた裁判がついに開廷し、元妻側からはスキャンダラスな証拠が次々と突きつけられます。それに対するジョニーの答えは……?(全2本の後篇)

弁護士と話し合うジョニー・デップ ©AFP=時事

◆◆◆

ジョニー側の弁護士による尋問が終わると、アンバー側からの反対尋問が始まった。ロッテンボーンは、アンバーの意見記事が出る前からジョニーの評判が悪かったことを裏付けるため、ジョニーについてのネガティブな記事の見出しを取り上げた。また、ジョニーの人間性を疑わせる証拠として、親しい友人ポール・ベタニーとの携帯メッセージも提示した。

2013年6月に送られたそのメッセージで、ジョニーは「アンバーを焼いてやろう!」「焼く前に溺れさせよう!」「死んだと確認するために、焼けた死体をやってやる」と書いている。

ジョニーの反応は…

ロッテンボーンは、別のメッセージも見せた。ボストンからのプライベートジェットで揉め事があった直後の2014年5月30日、ジョニーがポールに送ったものだ。矛盾を突くため、彼はそれを読み上げる前、前日の証言で、プライベートジェットの中ではシャンパンをグラス一杯飲んだ程度だとジョニーが言っていたことを確認している。

「俺は酒をきちんとやめようと思う。先週日曜、アンバーを拾ってからLAに飛んだんだが、その前夜、一晩中飲んでいた。そして醜いことになった。何日も何も食べていなかった。粉。ウィスキーをボトル半分。レッドブル(エナジードリンク)とウォッカをたっぷり。錠剤。機内でシャンパンを2本。その結果どうなった? 気を失って、訳のわからないことをわめく怒った奴。もう終わり。俺は頭がめちゃくちゃになっていて、大事な人に当たり散らしている」

アンバーはイーロン・マスクとも浮名を流した。イーロン公認の伝記本『イーロン・マスク』のなかで、彼の弟・キンバルはアンバーを「猛毒なんです。悪夢ですよ」と評し、「火炎放射器で炎を浴びせあうような喧嘩」をした様子も目撃したと いう ©AFP=時事

読み上げたロッテンボーンは、「私は正しく読みましたね?」と問うた。それに対し、ジョニーは動じず、微笑みすら浮かべ、「はい」と肯定した。

さらに、別のやり取りを提示した。受取人の素性を伏せたそのメッセージで、ジョニーは、おそらく家に入ってこようとしているアンバーについて「あの売女が入ってくる前に叩きのめしてやる」「あのどうしようもない売女は着いたのか?」と書いている。これに対しても、ロッテンボーンは「私は正しく読みましたか?」と問い、ジョニーは「はい」と答えた。

アンバーは、嫉妬深いジョニーが自分が映画の仕事をするのを嫌がったとも主張している。ロッテンボーンはそこにも切り込んだ。彼が証拠として出してきたメッセージのやり取りで、アンバーが「今、コーヒーミーティング中。もうすぐ帰る」と告げると、ジョニーは「この売女。ミーティングも映画も無しだ。なぜ約束を破る? 何のミーティング? いいよ、帰ってから聞くよ」と返していた。

ロッテンボーンが問いかける。

「あなたは彼女にそのミーティングに出てほしくなかったのですね?」

それに対し、ジョニーはこう答えた。

「約束、と言っています。私たちは何かを一緒にする約束をしていたのだと思います。一体何のミーティングなのかとも聞いています。怒りのテキストではありません。彼女が映画に出ることが問題だったのではないのです。彼女がどうやって『アクアマン』の役を取ったのだと思いますか?」

世間がそれまで知らなかった、アンバーが「アクアマン」への出演を取り付けた裏についてはこの裁判で明らかになるのだが、ここでジョニーはそれを初めて匂わせた。

2015年秋、アンバーはワーナー・ブラザーズが製作配給する映画『アクアマン』(2018年)のヒロイン役のオーディションを受けた。ジョニーはワーナーの幹部に自ら電話をかけ、妻の起用を前向きに検討してもらえるよう話したが、のちに実力不足のアンバーを押し込むことになったこの行動について非常に申し訳ないと思うようになったという

法廷に起きた「小さな笑い」

ロッテンボーンは、アンバーが撮影したいくつかの写真も提示した。そのひとつは、2013年3月、アンバーが住んでいた借家にあるテーブルの写真だ。テーブルには、ウィスキー、「Property of JD(ジョニー・デップの所有物)」と記された箱、コカインを吸うのに使われると思われるタンポンのアプリケーター、クレジットカードが置かれている。その写真を見たジョニーは、「非常に興味深い配置ですね」と反応した。いかにも「やらせ」であると言いたいのだ。

「(アンバーとの同棲前、お互いの家を行き来していた時)、ウィスキーが置いてあるのは普通でした。私が彼女の家に行くと、必ずウィスキーがグラスに入って用意されていたのです」

とジョニーが説明すると、ロッテンボーンは問い詰める。

「この頃、あなたは午前中でも(ウィスキーを)飲んだのですね?」

それに対し、ジョニーは冷静な表情で、

「ハッピーアワーは何時であってもいいのではありませんか?」

と答え、法廷には小さな笑いが起きた。

2015年、口論の最中にアンバーが投げつけた特大サイズのウォッカのボトルがジョニーの右手に直撃。中指の骨が露出し、指先を切断する大けがを負った ©AFP=時事

「『ジョニー・デップの所有物』と書かれた箱に入っているのはコカインですか?」

「このレイアウトによれば、この写真はそう言いたいようですね」

「そうですね。異議はありませんか?」

「私は映っていませんよね」

「そうですけれども、『ジョニー・デップの所有物』と書かれた箱は、コカインを入れるための特別の箱だったのではないですか?」

「あの箱は誰かがプレゼントしてくれたものです。コカインを入れるためのものではありません」

「あなたはこの箱にコカインを入れなかったというのですか?」

「いいえ。コカインが入りそうには見えますがね。でも、私の経験で言うと、コカインは普通、ビニール袋に入ってきます。こんな箱に入れたら、歩きながら漏れますよ」

法廷に敬意を示しつつもジョニーがユーモアのセンスを見せた場面は、ほかにもある。たとえば、ロッテンボーンが、ジョニーが親友でロックミュージシャンのマリリン・マンソンと一緒に違法ドラッグや飲酒を楽しんでいた事実を確認した時だ。

「はい、私たちは一緒に酒を飲みました。コカインも何度かやりました。錠剤をあげたこともあります。彼をちょっと黙らせるために」

この締めの言葉には、法廷内から笑いの声が上がった。

ロッテンボーンは、半袖シャツにジーンズ姿のジョニーが、黒いレザー張りのソファの上で寝落ちし、手にしていたアイスクリームをこぼしたまま気づかずにいる写真も提示してきた。写真からはジョニーがだらしない印象を受けるのは否めない。しかし、「ブラック・スキャンダル」のロケでボストンに滞在している時、アンバーによって撮影されたというその写真について、ジョニーはこう語った。

「17時間も仕事をした日で、今にも眠りに落ちそうな時、アイスクリームを持つよう彼女が私に頼んできたのです。私は当時、オピオイドを服用していました。写真を見ると、私の右手はポケットに入っていますね。つまり私自身はアイスクリームを食べていなかったのです。私は彼女のアイスクリームを持たされていたのです。私が寝落ちしてアイスクリームを落とすだろうとわかっていたから、彼女はその瞬間を撮ろうとしたのです」

2016年、アンバーは自身の誕生日パーティにジョニーが遅刻したことに激高。ジョニーのベッドの上に人糞を放置するという信じがたい嫌がらせを行ったという ©AFP=時事

元妻による隠し撮り動画

2016年の夏に「TMZ」にリークされた動画も、陪審員の前で再生された。スウィッツァー・アベニューの家のキッチンで、キャビネットの扉を乱暴に閉め、朝だというにもかかわらず、大きなグラスになみなみと赤ワインを注ぐものだ。

「この動画のあなたは暴力的ですね。同意しますか?」

そんなロッテンボーンの問いに、ジョニーは冷静に答えた。

「機嫌が悪かったのは明らかですね。具体的にいつ(の動画)なのかわからないので、なぜか(機嫌が悪かったのか)は説明できません。しかし、愛する相手から無断で撮影されていたとは。彼女が撮影したほかの写真や、録音した音声も同じですが。私としては、(この動画で)一番面白いのは、隠し撮りをしていた彼女が最後に笑うところですね。私はキャビネットに暴力を振るいましたが、ハード氏に触れていないのはご覧のとおりです」

『ジョニー・デップの戦い DV疑惑の真実と復活への道』(猿渡由紀 著)。母の暴力に耐えた幼少期の哀しき記憶、元妻アンバー・ハードとの出会いと蜜月、そして世界を騒がせた泥沼の裁判劇の一部始終に迫る

動画の中でジョニーがなみなみとワインを注いだことについて、まじめな表情のロッテンボーンがその大きなグラスを「メガパイント」と呼ぶと、その独特の表現にジョニーは面白がる反応をした上で、

「私は自分のために、大きなグラスにワインを注ぎました。必要としていたので」

と答えた。

この「メガパイント」という造語はジョニーの支持者の間で大ウケし、ソーシャルメディアで流行語となり、「メガパイント:僕には必要だった」と描かれたTシャツまで作られた。この裁判は、明らかに社会現象となっていたのだった。

文=猿渡由紀

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