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【柳楽優弥さん×川栄李奈さん】変わりゆく時代の中で本当に大切にしたいものは何か。今だからこそ届けたい物語『RYUJI 竜二』

  • 2026.10.22

【柳楽優弥さん×川栄李奈さん】変わりゆく時代の中で本当に大切にしたいものは何か。今だからこそ届けたい物語『RYUJI 竜二』

1983年に公開され、今なお多くの人に愛され続ける映画『竜二』が、時を経て『RYUJI 竜二』として生まれ変わります。主演を務める柳楽優弥さんと、竜二の妻・まり子を演じる川栄李奈さんに、この作品を通して感じた「大切なもの」について伺いました。

Profile

柳楽優弥さん 俳優

やぎら・ゆうや●1990年生まれ、東京都出身。2004年、映画『誰も知らない』で俳優デビュー。主な出演作に、映画『ディストラクション・ベイビーズ』『浅草キッド』、ドラマ「ガンニバル」シリーズ、「ライオンの隠れ家」「九条の大罪」など。水田監督とのタッグは、ドラマ&映画『ゆとりですがなにか』シリーズ以来となる。

川栄李奈さん 俳優

かわえい・りな●1995年生まれ、神奈川県出身。2015年にアイドルグループ「AKB48」を卒業。ドラマや舞台へと活躍の場を広げる。主な出演作に、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」、NHK大河ドラマ「青天を衝け」、ドラマ「となりのナースエイド」「ダメマネ!-ダメなタレント、マネジメントします-」「フェイクマミー」、映画『変な家』『ディア・ファミリー』、舞台『千と千尋の神隠しSpirited Away』など。

この作品を今、作る意味を見つけたくて

何やら楽しげな話し声とともに、取材が行われるスペースへと現れた柳楽優弥さんと、川栄李奈さん。映画『RYUJI 竜二』で夫婦役を演じた二人だが、共演は今回で4回目。そのうち2回が夫婦役だという。二人はこれまでの共演を、どのように受け止めているのだろう。

川栄 以前に共演させていただいたときもそうだったんですが、私はいつも、柳楽さんが出演されると聞いた時点で「やります!」と即答していまして。
柳楽 ありがとうございます(笑)。
川栄 柳楽さんとお芝居をさせていただけることが、私にとっては学びなんです。お芝居はもちろんのこと、現場での居方や空気の作り方など、本当に勉強になることばかり。柳楽さんのお芝居の迫力に飲まれないよう、毎回必死ですが(笑)、今回もこうしてご一緒させてもらえて、すごくうれしかったです。

感謝と尊敬の念にあふれた川栄さんの言葉を、柳楽さんは照れくさそうに受け止める。そんな彼にとっても、川栄さんとの共演は特別なものだったようだ。

柳楽 信頼できる、というところがすごく大きいですね。「4回目の共演」って言葉にするのは簡単だけど、真剣に作品に向き合っての4回目。川栄さんとの間には、しっかり信頼関係が築けていると思います。今回も竜二とまり子として、いちばんいい答えを模索し、見つけていったような気がします。

そんな二人が挑んだ『RYUJI 竜二』は、1983年に公開された映画『竜二』がオリジナル。俳優・金子正次氏が自ら企画し、主演を務めた作品だ。ヤクザから足を洗った男の“その後”を描いた物語は、熱狂的なファンを生み、多くの人の心の中で生き続けてきた。リメイクが許可されない作品としても有名だったが、7年前、柳楽さんのもとに出演のオファーが届いた。

柳楽 『竜二』は、今も熱狂的なファンの方がたくさんいらっしゃる作品です。僕自身、映画でデビューさせていただいていることもあり、大前提として、「雰囲気で参加する」ということは、絶対にあってはならないと思いました。僕が以前、携わらせていただいた映画『ディストラクション・ベイビーズ』も、熱狂的なファンの方がいるイメージがあります。もちろん単純に比較できるものではないんですが、もし、『ディストラクション~』がリメイクされたらファンの方はどう思うだろう、ということを考えてみたり。オリジナル版へのリスペクトを胸に、さまざまな視点で、“今、作る意味”を考え、“新たに生まれる意味”が見つかるといいなと思いながら、携わらせていただきました。

いつの時代も女性は強い。そんな芯の強さを表現できたら(川栄)

通常、オファーが届いてから1~2年で撮影に入ることが多いという映画界において、7年という年月は異例の長さ。その間、コロナ禍を経て本作の水田伸生監督と脚本について話し合う機会もあったという柳楽さんは、作品にこんな視線を向ける。

柳楽 オリジナル版の『竜二』が公開された年は、社会も大きく変わろうとしていたと思います。昔の任侠映画に描かれていた世界が変わっていったように、ヤクザの世界もまた、変わりつつあったんじゃないかなと思います。仁義を重んじる昔ながらの価値観と、合理性や利益を優先する新しい価値観。その狭間で竜二もまた、もがいていた一人だったと思うんです。そういった部分が、現代のAI革命やテクノロジーの進化にまだなじみきれなかったり、どう向き合えばいいのかを考えたりする感覚と、少し似ているところがあるのかなって。

過去の物語を現在に置き換えたのではなく、時代の変わり目に立つ人間を描く。そう考えると、7年前にすぐ撮影されなかったことにも意味があるように思えてくる。

柳楽 それも、この作品が持っている一つの運命というか。7年経った今、こうして生まれた意味がそこにあるのかなと感じています。

いっぽう、川栄さんは、変わりゆく時代の中でも“変わらないもの”を感じていたのだそう。

川栄 いつの時代も、女性はめちゃくちゃ強いんだなと思いました。撮影前から、私の中ではまり子は強い女性というイメージがありましたが、私自身、子どもが生まれてからはより自分が強くなったのを感じているので、そんな女性の芯の強さみたいなものを出せたらいいなと、ずっと思っていました。

時代の変わり目を背景に、竜二は家族のために裏社会から足を洗い、堅気として生きようとする。けれど、もう一つの家族ともいえる舎弟たちとの絆や過去とのつながりは、そう簡単には断ち切れない。二つの大切なものの間で揺れる竜二を、まり子はどんな思いで見つめていたのだろう。

川栄 まり子は竜二のことが、本当に大好きで。彼の気持ちがわかるからこそ、竜二がどんな選択をしたとしても、彼女は理解したんじゃないでしょうか。まり子にとって竜二は、“守りたいもの”ではあるけれど、本当に大切な人の人生は自分がどうこうするものじゃない。その人の決断を見守るのが愛だと、私も思っています。

柳楽 守る……、これは本当に深い話ですよね。自分の手で相手に何かをすることが、必ずしも正解じゃないというか。

川栄 その人が選択したことを、正解だと思うしかないというか。

柳楽 たしかに。信じることも、守ることなのかもしれないですね。

ヤクザが主人公と聞くと、遠い世界の物語に思えるかもしれない。けれど、時代の変化の中で大切なものを守るためにもがく竜二とまり子の姿は、決して遠いものではない。

柳楽 竜二の軸にあるのは、家族への愛情や兄弟分との絆、仁義。すごく大事なことだけど、ファンタジーのような、漠然としたものでもあるので、僕自身、最初はつかみきれない感じがあったんです。だけど、テクノロジーが進んで、人との距離感も変わっていく今の時代だからこそ、そういうものが大事なんじゃないかと思うようになったんです。竜二の言動は、決して合理的ではないけれど、この映画を観てくださる方にも、何か共鳴できるところや、寄り添える部分があったらいいなと思います。

【Information】映画『RYUJI 竜二』

1983年に公開され、脚本・主演を務めた金子正次の遺作として伝説となった映画『竜二』が、43年の時を経てよみがえる。舞台は80、90年代の新宿・歌舞伎町。ヤクザの竜二は、恋人・まり子と息子との暮らしを守るため堅気になる決意をするが、手に入れた“普通の日常”は思うようにはいかない。そんな中、かつての仲間たちとの絆や因縁が竜二を揺さぶり……。

●原作/金子正次『竜二』
●監督/水田伸生
●脚本/冨岡淳広
●出演/柳楽優弥、川栄李奈、萩原利久、JUNON(BE:FIRST)他
●10月30日(金)より全国公開
●企画プロデュース・制作/セディックインターナショナル
●配給/カルチュア・パブリッシャーズ
●公式サイト/https://www.culture-pub.jp/ryuji_movie/
Ⓒ2026「RYUJI」製作委員会

撮影/池田博美
スタイリング/池田尚輝(柳楽さん)、武久真理江(川栄さん)
ヘア&メイク/勇見勝彦(THYMON Inc.・柳楽さん)、KOBA(PUNCH・川栄さん)
取材・文/恩田貴子

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