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「娘が苦手でゾッとする…」51歳母親の切実な悩みにジェーン・スーと堀井美香が回答。家族の呪縛を解く“サードプレイス”と母性神話の捨て方【OVER THE SUN出張!お悩み相談室】

  • 2026.10.22

CREA2026年秋号の「1冊まるごと人生相談」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。

今年も人気Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」とのコラボが実現。ジェーン・スーさんと堀井美香さんに、読者のお悩みにじっくりお答えいただきました。心を太陽の向こう側へ導く、珠玉の金言をお届け!


【相談】長女が苦手

ジェーン・スーさんと堀井美香さん。

【お悩み】
私の悩みは長女と接するのがつらいということです。長女は高2で全日制に通っていたのですが、部活の人間関係に馴染めず、通信制に転校しました。今は毎日家にいて、ずっと一緒にいる状態です。いつしか長女が甘えて抱きついてきたりするとゾッとするように。自分のことしか考えていない長女が、こちらの状況を気にせず歌ったり踊ったりして、うるさいと感じてしまいます。「ママ私のこと嫌いなのかな」と言われたこともあり、このままではダメだと感じています。(51歳・女性・げんたけ)

堀井 これはさ、相談者さんが長女をいつまで愛せていて、いつから苦手になったんだろうっていう情報がちょっと少なかったから想像で話すんだけど……夏休みにずっと一緒にいるからイライラするのとは、やっぱり訳が違うんだよね。「なんで学校に行かないで家にいるんだろう」っていう相談者さんのイライラが根っこにあってさ。毎日顔を突き合わせているうちに、長女の存在自体が苦手になっちゃっているんじゃない?

スー そうだよね。「自分のことしか考えていない長女が、こちらの状況を気にせず歌ったり踊ったりして」とあるから、要するに、お母さんである相談者さんは、「家の中でそれをされることがすごくストレスです!」ってことなんだよね。全然焦ってない娘の様子に腹が立っているんだと思うな。

堀井 相談文に「子ども」ではなく「長女」とあるので、「子ども自体が苦手」ということではなく、他のお子さんと比較して、長女だけが苦手という状況なのかな? それと、この相談文から察するに、そもそも「母親だから子どもを無条件に愛さなきゃいけない」という母性神話に囚われて、自分を責めている部分もあるんじゃないかしら。

スー 母親は子どものことを優先しないといけない、とかね。

堀井 ずっと一緒にいる状態がつらいんだったら、相談者さんがパートに出るとか、図書館に行くとか、週に一日でもいいから外に出て物理的に離れた方が絶対にいいと思います。頭ごなしに「学校に行け」と言っても本人は変わらない時代だからね。このままふたりきりでずっと顔を突き合わせていたら、親子ってすぐこじれまくったりするから。

スー 親子であっても、相性は絶対にあるからね。無理はしすぎないでほしい。うちの母親はベタベタされるのが嫌いな人で、よく父親とふたりで怒られたりしてたけど、私自身はそれで「母親から愛されてない」とは全然思わなかったよ。母は私と物理的・心理的な距離をしっかり取るようにしていて、やれることはやるけど、ベタベタはしないという距離感でした。相談者さん自身も、娘さんと上手く距離を取ってほしいな。サードプレイス(第三の居場所)を作れるといいね。

堀井 うちの子どもたちは今はふたりともひとり暮らしをしていて、家族おのおのというか。ニュースを見て「今こういう詐欺が流行ってるから気をつけなさいよ」ってしつこくLINEしても既読スルーされます(笑)。でも、それぞれ自由に暮らしている今の距離感はとてもいいなと思ってる。家族って「毎日一緒にいる」のが前提じゃないから。誰かに何かあったときにはちゃんと集合してフォローしよう! くらいの感覚でいるとすごく楽です。

スー 私、堀井さんのお子さんふたりとも知ってるんですけど、一番危なっかしいのは堀井さんですからね!(笑)。親が危なっかしいと子どもがしっかりするっていうのは本当で。

堀井 夏休み明けに学校に持っていかなきゃいけない通信簿を、間違って捨てちゃうような母親でしたから(笑)。

スー 健康的なペースで自分の道を歩み、時に大暴れする母を周りが温かく見守るって素敵な家族ですよ。だから、「家族だから同じ空間にいなきゃいけない」なんてことは本当にないんだよ。ただ、「ママ私のこと嫌いなのかな」って娘さんに言わせてしまっている現状はやっぱり良くないね。

堀井 そうそう。これがしこりになって、不健康な関係の始まりになることもあるし。「親に愛されなかった」っていう思いを持たせると良くないよね。だから今のうちに、何か娘の好きなものをプレゼントしてあげるとか、好きなことを一緒にするとか、ちょっと贔屓をしてあげて、嫌な空気を「形としてゼロに戻す」のも手だと思います! まずは、お互いに上手く距離を取る工夫をしてみてね。

【相談】ていねいに暮らせない

ジェーン・スーさんと堀井美香さん。

【お悩み】
SNSで見かけるような「土鍋でご飯を炊き、ていねいにお出汁をとる」ような暮らしに憧れて、少し高い調理器具や器を揃えました。しかし現実の私は、休日の昼下がりに無性にカップ焼きそばが食べたくなったり、深夜にポテトチップスを袋食いしたりする衝動を抑えられません。年齢的にも健康に気を使いたいし、理想のライフスタイルがあるのに、ジャンクな味がやめられない自分の意志の弱さに嫌気がさします。どうしたら「ていねいな大人」になれるのでしょうか?(38歳・女性・深夜のペヤンガー)

スー これは本当に安心してほしいから断言するけど、「ていねいな暮らし」をしてる人なんてほとんどいません!(笑)。あれはユニコーンです。角が生えてる馬などいないのよ! 人はていねいな感じだけで生きていくことは不可能です。問題はそっちじゃなくて、ジャンクなものが食べたくなっちゃうってこと。それは、単純にたんぱく質やアミノ酸が足りてない証拠だよ。体が手っ取り早く「旨み」を感じられるジャンクフードを求めちゃうんだよね。

堀井 私も最近までお菓子が主食だったからわかるわ~(笑)。でも、高い調理器具や器を揃えた時点で、すごく素敵です! 刺激になるから、目に見えるところに飾っておけばいいのでは? なんならポテトチップスも土鍋に入れて食べたらどうかな? 栄養を摂った上でなら、ジャンクフードだって食べてもいいと思うし!

スー それいい提案! 土鍋でペヤング食べればいいんだよね。プラスチック容器のままじゃなくて、わざわざ土鍋に移す工程を入れる。最高にていねいじゃないですか!(笑)。

堀井 でもさ、「ていねいな暮らし」とは逆の「簡素化」も一つの道だよね。私も納豆は、あの白い発泡スチロールの容器の中にご飯を入れて、そのまま食べて捨てちゃいます。洗い物が減るし、食べる量が私サイズでちょうどいいんだよねぇ。

スー 私は納豆と豆腐とネギトロを、台所で立ったまま一つの容器にぶちまけて混ぜて食べて、その場で洗って終わるよ。洗濯や食器洗いもしないときは本当にしない。つけるブラジャーがなくなったら、洗濯カゴの中から一番汚くなさそうなのを探してつけるとか、そんなことばっかり(笑)。

堀井 そうやって自分なりの、暮らしの省略バージョンを見つけるのも気楽でいいもんだよね。

【相談】PMSを言い訳にしたくない

【お悩み】
PMSに悩んでいます。といっても実はこれまであまり悩んだことがなく、「生理前になると無性にイライラする」などと聞いても、それって通常時に誰かにイラつくのと何が違うんだろう?と思っていました。でもここ最近、仕事とプライベートでそれぞれ感情を暴走させすぎて多少の問題を起こしたことがありました。時期的にどちらも生理3、4日前でした。あとから「もしかして」と気づくわけですが、仮にも「PMSで」なんて言おうもんなら、超言い訳がましい、責任逃れくさい、ましてや男社会で働いている私が想像するに、男性が聞いたら「これだから女は」となるのではないかと思います。もちろんそうやって私が考えてしまうだけかもしれませんが、仕事での一件にはひどく落ち込んでいます。(41歳・女性・名無し)

スー PMSを言い訳にしたくないという気持ちはすごくわかる。男性優位のビジネス理論が成り立っていた時代に入社した世代だから、言い出しにくかっただろうし、そのせいで相談者さん自身も相当苦労されたと思う。でもね、41歳のあなたが今やらなきゃいけないのは、30代や下の世代の子たちが生きやすい世の中を作っていくことなんです。無理解な価値観に自分をアジャストして、自分がPMSであることに罪悪感を持つのは、結果的に下の世代の働き方を苦しめることになるんだよ。自分を主人公にするのではなく、人のために意識をシフトしてほしいな。

堀井 ちょうど世代の切り替わりの道を作っていく役割かもね。「PMS」という言葉は、会社の上司や同僚にも知っておいてほしい言葉。当事者が何の罪悪感も持たずに言える方がいいと思うんです。私は更年期の時、上長に「今、更年期に少し入ってて調子悪いです!」って言ってました。風邪をひいて具合が悪いというのと同じ感覚で、「今こういう状態だ」と周りに伝えておけば、作業が滞っても周りは理解してイライラしないからね。感情を暴走させて問題を起こしたことがあるなら、なおさら共有しておいた方がいいと思います。

スー 私もラジオの現場は男性スタッフが多いけど、「今日生理痛がやばい」とか普通に話してる。それはひとえに下の子たちが働きやすい環境にするため。男女の不平等は現実にまだまだたくさんあるけど、「無理解おじさん」を一方的に作り上げて責めるのはもう終わりにしたい。「自分のために頑張る」のがもう無理なら、下の子たちが生きやすいようにと考えてほしいな。言い訳と捉えるのではなく、自分の取扱説明書としてちゃんと説明していこう! それが上の世代の役目としてもいいと思います!

ジェーン・スー

1973年東京都生まれ。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、Podcast番組「となりの雑談」のパーソナリティーとしても活躍。近著に『介護未満の父に起きたこと』(新潮新書)、『ねえ、ろうそく多すぎて誕生日ケーキ燃えてるんだけど』(光文社)など。

堀井美香(ほりい・みか)

1972年秋田県生まれ。2022年3月にTBSを退社しフリーランスに。様々な番組・CMでナレーションを担当する一方、自ら朗読会を主催するなど、多方面で活躍する。著書に『一旦、退社。50歳からの独立日記』(大和書房)など。

Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」

Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」

毎週金曜日の夕方5時に配信。TBSラジオが制作するPodcast番組。飾らないトークで女性たちの支持を集め、月間リスナー約80万人の人気番組に。2026年8月には「緑のオーバーザサン 安全第一 私たちの大運動会2026」を開催。成功裏に終えた。


続きは「CREA」2026年秋号でお読みいただけます。

文=綿貫大介 写真=平松市聖 コラージュ=Nao/petitoto スタイリング=宮崎真純(likkle more) ヘアメイク=yumi(ThreePEACE)

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