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蒸留家/〈HOLON〉オーナー・堀江麗さんの1ヶ月連載コラム。第3回は、バリに自生する生姜の遠い親戚、"ガランガル "のこと。

  • 2026.10.21

バリを訪れたのは、コーヒー農園を持つ友人についていったのがきっかけだった。朝、まだ日差しの柔らかい時間に、地元の市場を歩いていると、屋台の一角に、ずらりと並んだボトルが目に留まった。中には、鮮やかな黄色の液体が、なみなみと注がれている。黄土色の液体に、少し濁ったとろみが見える。何かと尋ねると、ジャムウのジュースだそう。おそるおそる飲むと意外と心地よい味わいで、すぐに身体がポカポカしてきた。

ジャムウとは、インドネシアに古くから伝わる伝承医療のことだ。インドから伝わったアーユルヴェーダ医学をベースに、インドネシアに自生するあらゆる植物の実、葉、根、種、樹皮を使い、独自の調合方法へと進化させてきたものだそうだ。興味を持って、現地のハーブ屋にジャムウについて教えてもらうことになった。

材料は全てフレッシュ。左の籠に入っているものがジャムウのジュースの具材。ミキサーにかけていく。

ジャムウのジュースの作り方は、驚くほどシンプルだ。ウコン、タマリンド、ガランガルといった生の素材をスライスし、水と合わせてミキサーにかけ、一緒に煮るだけ。特別な技法があるわけではなく、台所にある植物を組み合わせる知恵そのものが、あの黄色い液体の正体だった。

なかでも気に入ったのが、”ガランガル”という生姜の仲間だ。香りはスパイシーでとても華やか、生姜に少しカルダモンを加えたようなイメージ。生姜の親戚のはずなのに、香水のように何層も重なった香りを持っているのだ。

さらに教わって驚いたのが、”ウコン”も、同じショウガ科の植物だということ。ただ性格はガランガルとまるで違い、土っぽさ全開で、はっきりとした苦味がある。生姜、ガランガル、ウコン。同じショウガ科という家系に生まれた三兄弟なのに、それぞれまったく違う性格を持っている。

考えてみれば、ショウガ科の植物は日本の食卓にも馴染み深い。生姜はもちろん、茗荷や月桃も同じ仲間だ。バリで出合った、あの朝の光の中で揺れていた黄色い液体と、見慣れたはずの生姜が、実は同じ家系だったという発見は、身近な植物のルーツをもう一段深く覗き込むきっかけになった。ショウガ科という一族を、これからもう少し探検してみたい。

蒸留家 堀江 麗

出典 andpremium.jp

1992年生まれ。〈Google Japan〉に勤務の後、クラフト飲料ブランド〈HOLON〉を創業。“DRINKING AS MEDITATION” をテーマに東洋の植物を調合した飲料を展開する。千葉県の『大多喜有用植物苑』にて蒸留のアトリエを構え、ハーブの栽培と蒸留を横断的に探求している。 Instagram @rei_horie_ Holon HP 

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