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「シャネル」のLBD登場から100年|喪の色から自己表現へ、アイコニックなブラックドレス30選

  • 2026.10.20
Getty Images

「シャネル」がリトル・ブラック・ドレスを提案した1926年から、今年で100年。喪の色として強い意味を持っていた黒は、日常に寄り添う実用着となり、やがて映画やレッドカーペットを彩るエレガンスの象徴へ。女性たちは、映画やスポーツ、音楽の舞台で、黒を意思や個性を映す装いへと更新してきた。ここでは、30のアイコニックなルックを通して、黒いドレスと女性の自己表現の変遷をたどる。

General Photographic Agency / Getty Images

1928年|ジョーン・ベネット

フラッパーの自由を映すモダンなドレス

1926年、米『ヴォーグ』誌は当時アメリカで広く普及した大衆車のフォードになぞらえシャネルの黒いドレスを「シャネルのフォード」と紹介。

喪や礼装に結びついていた黒に、モダンな日常着の可能性を見いだした。2年後、チャールストン風ドレスとクロッシェ帽をまとうジョーン・ベネットにも、軽やかな新時代の気分が映る。

Transcendental Graphics / Getty Images

1944年|ローレン・バコール

ハリウッドの新ヒロインを印象づけたサテンドレス

映画『脱出』で鮮烈な映画デビューを飾ったローレン・バコール。低くハスキーな声と媚びないまなざしで、戦時下のハリウッドに自分の意志を持つヒロイン像を印象づけた。黒のサテンドレスのポートレートにも、そのクールな存在感が宿る。

Pictorial Parade / Getty Images

1946年|リタ・ヘイワース

“ファム・ファタール”を象徴するブラックドレス

黒いサテンのストラップレスドレスに、長いオペラグローブ。映画『ギルダ』で歌いながらグローブを外すリタ・ヘイワースの所作は、ハリウッドを代表するファム・ファタール像を刻みつけた。黒いドレスが、誘惑と自己演出の舞台装置に。

Sunset Boulevard / Getty Images

1954年|グレース・ケリー

気品のなかに意志をのぞかせる「イーディス・ヘッド」のカクテルドレス

映画『裏窓』でグレース・ケリーが着用したのは、衣装デザイナーのイーディス・ヘッドが手がけたカクテルドレス。透けるオーガンジーとプリーツが、端正な黒に軽やかな気品を添えている。

Aflo

1960年|アニタ・エクバーグ

大人の官能をまとったイブニングドレス

ギターの音に身を任せて踊るアニタ・エクバーグ。映画『甘い生活』が切り取ったローマの夜遊びとセレブ文化、その華やぎの裏に潜む空虚さまでを、黒いイブニングドレスが鮮やかに映し出す。

John Kisch Archive / Getty Images

1961年|オードリー・ヘプバーン

エレガンスの基準をつくった「ジバンシィ」

「ジバンシィ」のドレスにパールを重ね、シガレットホルダーをくわえる、映画『ティファニーで朝食を』のホリー・ゴライトリー。自由奔放な都会の女性像と結びついた装いは、ブラックドレスを、着る人の個性を映すアイコンへと押し広げた。

Aflo

1961年|デルフィーヌ・セイリグ

パールを重ねた「シャネル」のリトル・ブラック・ドレス

「シャネル」が衣装を手がけたニューウェーブ映画『去年マリエンバートで』。黒いドレスをまとい横たわるセイリグの姿が、記憶も現実も揺らぐ物語にミステリアスな輪郭を与える。

Aflo

1967年|カトリーヌ・ドヌーヴ

襟とカフスの白が光る「イヴ・サンローラン」

白い襟とカフスを配した黒いドレスは、「イヴ・サンローラン」が映画『昼顔』のカトリーヌ・ドヌーヴのために仕立てた衣装のひとつ。貞淑な妻と、婚外の欲望を抱く女性という二面性を、端正な装いが静かに浮かび上がらせる。

Reg Lancaster / Getty Images

1968年|「イヴ・サンローラン」

透け感をモードに昇華した“ヌード・ドレス”

透ける黒のシフォンに、フェザーをあしらったウエストライン。1968年に「イヴ・サンローラン」が発表したヌード・ドレスは、服を見せる・隠すという境界を大胆に揺さぶり、身体と装いをめぐる時代の感覚を映し出した。

Sunset Boulevard / Getty Images

1972年|ミレーユ・ダルク

背中のカットアウトで魅せる「ギ・ラロッシュ」

正面はクラシカルな黒のベルベット、振り返れば大胆なオープンバック。映画『黒い靴をはいた背の高い金髪の男』でミレーユ・ダルクが見せた、前後のギャップを効かせた「ギ・ラロッシュ」の一着は、映画史に残るバックレスドレスとして語り継がれる。

Tim Graham / Getty Images

1981年|ダイアナ元妃

婚約後初の公式イベントで選んだ「デヴィッド&エリザベス・エマニュエル」

婚約後初めての公式の場で、19歳のダイアナ元妃が選んだのは、「デヴィッド&エリザベス・エマニュエル」による黒のストラップレス・タフタドレス。王室では黒が喪を連想させる色とされるなか、大胆な一着は、伝統に収まりきらない新しいプリンセス像の幕開けを予感させた。

Vinnie Zuffante / Getty Images

1992年|シンディ・クロフォード

「ジャンニ・ヴェルサーチェ」の挑発的なルック

1992年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでシンディ・クロフォードがまとったのは、「ジャンニ・ヴェルサーチェ」のタイトなドレス。メッシュとゴールドのディテールが効いたドレスは、スーパーモデルがランウェイを越え、音楽カルチャーの主役にもなる時代を反映する。

WWD / Getty Images

1994年|ケイト・モス

90年代のミニマルな「CK by Calvin Klein」

マンハッタンの街角で撮影された、「CK by Calvin Klein」のスリップドレス。1994年リゾートコレクションが示したランジェリーライクなミニマリズムは、装飾を削ぎ落とした90年代の新しいエレガンスを広めた。

Dave Benett / Getty Images

1994年|エリザベス・ハーレイ

「ヴェルサーチェ」による伝説の安全ピンドレス

映画『フォー・ウェディング』のプレミアで当時の恋人ヒュー・グラントとともに登場し、注目を集めたエリザベス・ハーレイ。ゴールドの安全ピンで留めた「ヴェルサーチェ」のブラックドレスは、意外性のあるディテールがレッドカーペットの伝説となった。

Tim Graham / Getty Images

1994年|ダイアナ元妃

意思を示した「クリスティーナ・スタンボリアン」の“リベンジドレス”

チャールズ皇太子(当時)の不貞告白が放送された夜、ダイアナ元妃は『ヴァニティ・フェア』主催のパーティへ。「クリスティーナ・スタンボリアン」の黒いオフショルダードレスは、のちに“リベンジドレス”と呼ばれ、王室の装いの規範から自らのスタイルへと舵を切る姿を印象づけた。

New York Daily News Archive / Getty Images

1998年|キャロリン・ベセット=ケネディ

端正な黒が際立つミニマルな「ヨウジヤマモト」

90年代のミニマリズムを印象づけたキャロリン。端正なシルエットの「ヨウジヤマモト」のドレスにオペラグローブを合わせたガラの装いは、装飾を控えることで、着る人自身の存在感を際立たせた。

Jeff Kravitz / Getty Images

2000年|ウィノナ・ライダー

レッドカーペットに「ポーリーヌ・トリジェール」のヴィンテージルックで登場

2000年のアカデミー賞でウィノナがまとったのは、1947年の「ポーリーヌ・トリジェール」によるブラックのアンサンブル。ケープを重ねたクラシカルな一着を、彼女らしいクールなムードでレッドカーペットに引き寄せた。ヴィンテージをいち早く取り入れた装いは、その後広がるアーカイブドレスの潮流を先取りする一例としても印象的だ。

Jeff Kravitz / Getty Images

2003年|ニコール・キッドマン

アシンメトリーに揺れる「ジャン=ポール・ゴルチエ」

映画『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞主演女優賞に輝いた夜、ニコールは「ジャン=ポール・ゴルチエ」のブラックドレスで登場。流れるようなシルエットにスリットが映えるルックで、受賞の歓喜に凛とした余韻を添えた。

Steve Granitz / Getty Images

2005年|ビヨンセ

フィット&フレアで魅せる「アトリエ ヴェルサーチェ」

初めてオスカーのレッドカーペットに立ったビヨンセが選んだのは、「アトリエ ヴェルサーチェ」のベルベットのストラップレスドレス。クラシックなイブニングドレスに、ソロアーティストとして存在感を広げていた彼女の華やぎが重なる。

Gareth Cattermole / Getty Images

2005年|ヴィクトリア・ベッカム

ボディラインを美しく引き立てる「ローラン・ムレ」

身体のラインを美しく描く“ギャラクシードレス”として知られる「ローラン・ムレ」のスクエアネックのミディドレスは、シンプルなシルエットを主役にした一着。ポップスターからファッションアイコンへと歩みを進めるヴィクトリアの、洗練されたスタイルを印象づけた。

Mike Ehrmann / Getty Images

2006年|マリア・シャラポワ

コートを彩る「ナイキ」のブラックドレス

全米オープンのコートに現れた、クリスタルがきらめく「ナイキ」のリトル・ブラック・ドレス。動きやすさとエレガンスを両立させ、競技ウェアにも個性を表現できることを示した。

Ethan Miller / Getty Images

2012年|アンジェリーナ・ジョリー

美脚をさらに美しく見せる「アトリエ ヴェルサーチェ」のスリット

深いスリットを配した「ヴェルサーチェ」のドレス。脚を大胆に見せたレッドカーペットのポーズは瞬く間に話題となり、一枚の写真がネットカルチャーを動かす時代を刻んだ。

Samir Hussein / Getty Images

2016年|ジュリア・ロバーツ

裸足でまとった「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」

前年、フラットシューズを履いた女性客が上映会への入場を断られたと報じられ、女性の靴をめぐるドレスコードが議論を呼んだカンヌ国際映画祭。

「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ」のオフショルダードレスをまとったジュリア・ロバーツが、裸足で階段を上った姿は、その慣行を問い直す象徴的な瞬間として記憶されている。

Steve Granitz / Getty Images

2018年|Time’s Up

黒を連帯のサインにしたゴールデングローブ賞のブラック・ドレス

セクシュアルハラスメントへの抗議と連帯を示すため、第75回ゴールデングローブ賞のレッドカーペットを黒で埋めた俳優たち。喪の色でもある黒はこの夜、声を束ね、変化を求める意思を可視化するシンボルとなった。

Joe Maher/BFC / Getty Images

2018年|メーガン妃

妊娠中のボディを端正に包む「ジバンシィ」

「ジバンシィ」のクレア・ワイト・ケラーに英国ウィメンズウェア・デザイナー賞を贈るため、授賞式にサプライズ登場したメーガン妃。妊娠中の身体を包む黒のワンショルダードレスには、女性デザイナーを称える夜にふさわしい力強さが宿った。

Axelle/Bauer-Griffin / Getty Images

2019年|レディー・ガガ

「ブランドン・マクスウェル」のドラマチックなボールガウン

『アリー/スター誕生』でオスカーを手にした夜、アフターパーティでは「ブランドン・マックスウェル」の黒いサテンドレスに着替えた。ボリュームのあるスカートが、ポップスターの存在感をドラマティックに引き立てる。

Daniele Venturelli / Getty Images

2021年|ベラ・ハディッド

肺モチーフのジュエリーが主役の「スキャパレリ」

「スキャパレリ」のウールクレープドレスの深い胸元に、肺をかたどったゴールドのネックレスを浮かべて。身体の内側を思わせる造形が、レッドカーペットの装いをジュエリーと身体が響き合う彫刻的な表現へと変えた。

Dia Dipasupil / Getty Images

2022年|BLACKPINK

4つのラグジュアリーブランドを結んだブラックルック

MTVビデオ・ミュージック・アワードでは、BLACKPINKのメンバーが黒を共通語にそれぞれの個性を表現。リサは「セリーヌ」のジャンプスーツ、ジスは「ディオール」、ジェニーは「シャネル」、ロゼは「サンローラン」をまとい、K-POPとメゾンの結びつきを印象づけた。

Stephane Cardinale - Corbis / Getty Images

2022年|リアーナ

マタニティを謳歌する「ディオール」

第1子を妊娠中、パリで開催された「ディオール」2022年秋冬コレクションに来場したリアーナ。黒のフィッシュネットドレスの下にブラレットとショーツを重ね、ベイビーバンプをあえて透かして見せた。妊娠した身体を隠すのではなく、自らのスタイルの一部として見せた、リアーナらしいマタニティルック。

Mike Coppola / Getty Images

2026年|ゾーイ・クラヴィッツ

シアーを自分らしくまとう「サンローラン」

アンソニー・ヴァカレロによる「サンローラン」のギピュールレースを裏地なしでまとい、バスクウエストのラインを際立たせたゾーイ。透け感と構築的なシルエットが、黒を身体の輪郭まで含めた自己表現へと導く。

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