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小学生の交通事故、実は10月が最多。「知っている」のに飛び出す子どもに、家庭で教えておきたいこと

  • 2026.10.17

「気をつけてね」だけでは守れない、子どもの命。「道路に飛び出したらダメだよ!」「横断歩道では、右・左・右を確認してね」子どもが小さい頃から、何度も伝えてきた交通ルール。きっと、ほとんどのご家庭で教えているのではないでしょうか。でも、ここで一つ質問です。交通ルールを知っている子どもは、安全に道路を歩けるのでしょうか。実は、必ずしもそうではありません。秋を迎えた今、ぜひ知っておいてほしい事実があります。

小学生の歩行中の死亡・重傷事故は、10月が最も多いのです。

内閣府の情報によると、小学生の交通事故による歩行中の死者・重傷者数(令和2年から6年までの合計)は、10月のみ200人を超えています。また、事故が多い時間帯は午後2~5時台。つまり「下校中」が最多です。学年別でみると1・2年生が多いのですが、歩行中ではなく自転車の事故となると、5・6年生が多くなっています。春の入学シーズンではなく、学校生活にも慣れた秋。改めて子どもの交通安全について考えてみたいと思います。

子どもは「知っている」のに、飛び出す

私は、小学校の教員として13年間、子どもたちと関わってきました。学校でも、交通安全について繰り返し指導します。「道路に飛び出してはいけません」そう聞けば、多くの子どもたちは「知ってる!」と答えるでしょう。でも、実際の生活はどうでしょう。道路の向こう側に友達を見つけた。転がっていったボールを追いかけた。早く家に帰って遊びたかった。そんなとき、頭では分かっていたはずの交通ルールが、行動に結びつかないことがあります。これは、単に子どもの注意不足という話ではありません。子どもは成長の途中にあります。周囲の状況を把握する力、衝動を抑える力、複数の情報を同時に処理する力などは、まだ発達段階にあるのです。目の前の友達に意識が向くと、近づいてくる車への注意が薄れてしまうこともあります。つまり、「知っていること」と「実際にできること」は、別なのです。

学校では、どんな交通安全教育をしているの?

小学校では、日常的な安全指導に加えて、警察官や交通指導員、交通安全協会などの協力を得ながら「交通安全教室」を実施することがあります。学校や学年によって内容は異なりますが、代表的なものを紹介します。低学年では、主に歩行中の安全について学びます。校庭などに信号機や横断歩道を模したコースを設置し、実際に歩きながら、道路の渡り方を練習することがあります。横断歩道の手前で止まる。左右を確認する。車が止まったことを確かめる。渡っている途中も周囲に注意する。一つひとつの動きを、実際に体験するのです。また、学年が上がると、自転車の安全な乗り方を学ぶ機会もあります。自転車の点検方法、ヘルメットの重要性、交差点での安全確認、道路のどこを走るべきか。学校によっては、実際に自転車に乗りながら練習したり、事故の危険性を映像で学んだりすることもあります。こうした交通安全教室の目的は、単に交通ルールを覚えることではありません。知識として理解しているルールを、実際の行動につなげること。そして、自分で危険を予測し、安全な行動を選べるようになることです。ただし、交通安全教室を一度受けたからといって、すべての子どもが安全に行動できるようになるわけではありません。学んだことを日常生活の中で繰り返し実践してこそ、少しずつ身についていくのだと思います。

特に注意したいのは、小学校低学年

警察庁の統計では、小学1年生の歩行中の死者・重傷者数は、6年生の約2.5倍に上ります。小学校に入学すると、子どもの生活は大きく変わります。それまで保護者と一緒に歩いていた道を、一人で歩くようになる。友達だけで遊びに行く機会も増える。子どもにとっては、大きな成長です。でも、行動範囲が広がったからといって、危険を予測する力まで急に大人と同じになるわけではありません。また、子どもは大人よりも背が低いため、駐車車両や塀などの陰に隠れやすいという特徴もあります。子どもから車が見えないことも、車の運転手から子どもが見えていないこともあるのです。では、子どもたちを守るために、家庭ではどのような対策を練ると良いのでしょうか?

家庭でできる交通安全教育(1) 実際に道を歩いて体験する

私が最もおすすめしたいのは、いつもの道を親子で一緒に歩くことです。ただし、単に付き添うだけではありません。子ども自身に、危険を見つけてもらうのです。例えば、見通しの悪い交差点。「ここ、どんな危険があると思う?」と聞いてみる。「車が来るかもしれない」そう答えたら、もう一歩。「じゃあ、どこで止まったらいいかな?」「向こうの車から、私たちの姿は見えているかな?」と考えてもらいます。大人が答えを教えるだけではなく、子ども自身に考えてもらう。もちろん、実際に危険が迫っているときは、大人がすぐに止めなければいけません。でも、安全な場所で立ち止まり、危険を予測する練習はできます。できれば、通学路だけでなく、友達の家や公園、習い事に行く道も一緒に歩いてみてください。交通安全教育は、日常の道そのものが教材になるのです。もし入学前にこのような練習をされた方は、ぜひ登下校に慣れてきたこの時期に、もう一度やってみてくださいね。

「青信号だから安全」とは限らない

実際に道を歩く際、子どもたちに伝えたいことがあります。それは、交通ルールを守っていても、事故に遭うことがあるということ。青信号で横断歩道を渡っていても、右左折してくる車があります。歩行者が優先される横断歩道でも、すべての車が止まってくれるとは限りません。残念ながら、わき見運転、居眠り運転、飲酒運転だってあります。もちろん、事故を防ぐ責任を子どもだけに負わせてはいけません。車を運転する大人には、交通ルールを守り、子どもの安全を確保する責任があります。そのうえで、子ども自身にも「相手が止まってくれるはず」と思い込まない習慣を身につけてほしいのです。横断歩道の手前で止まる。左右だけでなく、曲がってくる車にも注意する。車が確実に止まったことを確認してから渡る。こうした行動を、日々の生活の中で繰り返し練習することが大切です。

家庭でできる交通安全教育(2) 動画で危険を疑似体験する

交通安全教室で使われるような教材は、家庭でも活用できます。YouTubeなどには、警察や交通安全に関わる団体が公開している動画があります。高校などでの実際の取り組みも紹介されています。また、JAFは、子どもと大人の視点の違いを体験できる動画を公開しています。JAF Channel子どもの目線から道路を見ると、大人とは違った危険が見えてきます。動画を見るときに大切なのは、ただ見せるだけで終わらせないこと。「今、どこが危なかった?」「自分だったら、どうする?」と、一緒に考えてみてください。動画を途中で止めて、次に何が起こるかを予想してもよいでしょう。実際に事故に遭わなくても、危険な場面について考えることができます。

家庭でできる交通安全教育(3) 交通公園で疑似体験する

皆さんは、「交通公園」を利用したことがありますか?交通公園とは、信号機や横断歩道、道路標識などを設置し、交通ルールを体験しながら学べる施設です。施設によっては、子ども用の自転車や足踏み式の乗り物などを利用できるところもあります。本物の道路とは違い、一般車両が走行しない専用コースで、安全に配慮しながら練習できるのが魅力です。例えば、信号のある交差点。「青になったから、すぐに渡っていいのかな?」「右から曲がってくる車がいたら、どうする?」そんな問いかけをしながら、実際に体を動かしてみる。小さな子どもにとっては、言葉で何度も説明されるよりも、体験することで理解しやすくなることがあります。ただし、交通公園はあくまでも練習の場。そこでできるようになったことを、実際の道路でも大人と一緒に確認していくことが大切です。

家庭でできる交通安全教育(4) 絵本やイラストで「危険」を見つける

まだ一人で道路を歩く機会が少ない幼児にも、おすすめの方法があります。それは、絵本やイラストを使った交通安全教育です。例えば、道路や交差点が描かれたイラストを見ながら、「危ないところは、どこかな?」と聞いてみる。車の陰から飛び出そうとしている子。横断歩道のない場所を渡ろうとしている人。自転車に乗りながら、よそ見をしている人。子どもが見つけたら、「どうして危ないと思ったの?」と理由も聞いてみてください。大切なのは、正解を当てることだけではありません。何が危険なのか、なぜ危険なのかを、自分の言葉で説明できるようになること。絵本やイラストなら、親子で会話を楽しみながら取り組むことができます。

秋は「夕暮れ」にも注意

10月に入ると、日が暮れる時間も早くなります。夏休みにはまだ明るかった時間帯でも、秋には薄暗くなっていることがあります。夕方は、車の運転手から歩行者が見えにくくなる時間帯でもあります。そこで、家庭で見直したいのが服装や持ち物です。暗い色の服だけでなく、明るい色の上着を選ぶ。ランドセルやかばん、靴などに反射材をつける。自転車に乗るときは、早めにライトを点灯する。こうした小さな工夫も、事故の危険を減らすことにつながります。子どもが出かけるとき、私たちはつい、「気をつけてね!」と声をかけます。もちろん、その言葉には愛情が込められています。でも、子どもにとって「気をつける」とは、具体的に何をすることなのでしょうか。「昨日学んだことに気を付けてね」「友達を見つけても、道路を渡る前には必ず止まろうね」「止まっている車の陰から、急に道路に出ないでね」そんなふうに、具体的な行動として伝えてみる。そして、ときには、「今日、危ないなと思った場所はあった?」と聞いてみるのもよいでしょう。子ども自身が危険に気づき、言葉にする機会になります。

子どもの命を守るのは、大人の役割

子どもは、失敗しながら成長していきます。勉強も、運動も、人間関係も。失敗して、考えて、もう一度挑戦する。私は、そんな経験を大切にしたいと思っています。でも、事故だけは違います。命に関わる失敗を、子どもの経験にしてはいけません。だからこそ、危険な場面を実際に経験する前に、安全な環境で予測し、判断する練習を重ねてほしいのです。そして、子どもの安全は家庭教育だけで守れるものでもありません。通学路の見通し、横断歩道の整備、車の速度、地域の見守り。学校、家庭、地域、行政、そして運転する大人たちが、それぞれの責任を果たすことが必要です。10月は、小学生の歩行中の重大事故が多い月。この機会に、ぜひ一度、親子でいつもの通学路や遊びに行く道を歩いてみてください。「ここは、どんな危険があるかな?」そのたった一つの問いが、子どもの安全について考えるきっかけになるかもしれません。交通ルールを知っている子から、危険を予測して安全に行動できる子へ。子どもの命を守るために、今日からできることを、一緒に始めていきたいですね。

【Profile】mama先生(@itoshiki_kosodate)

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「子育ては、子どもを変える作業じゃない。親が変わることで、結果的に子どもが成長するのだ」 これは、私が大切にしている考え方です。元小学校教諭。現在は肩書きを「非正規」に変え、日本の教育社会問題の解決に挑戦しています。偏差値偏重ではなく、非認知能力を軸にした次世代教育を実践する「総合塾=ItoshikI after school」を立ち上げ、子どもたちの創造力と生きる力を育む学びを探求中。また、全国のママたちが安心して子育ての悩みを共有できる伴走型コミュニティ「ItoshikI 子育てサロン」を運営し、「教育学で考える 子育ての教科書」を用いた授業を公開。Instagramでは「学校では教わらない お家で差がつく子育て知識」を発信中。これからも多様な仲間と共に、新しい教育の未来を共創していきます。

Instagram:mama先生(@itoshiki_kosodate)

Voicy:お家で差がつく子育て知識「学校では教わらない、子育ての教科書🌱」

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