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「どうせうちの子の番はまだだから」授業参観で話し続ける母親。だが、黒板の前に立った息子の一言で教室が静まり返った

  • 2026.10.16
「どうせうちの子の番はまだだから」授業参観で話し続ける母親。だが、黒板の前に立った息子の一言で教室が静まり返った

授業参観中、教室の後ろから聞こえた話し声

私が小学校で教師をしていたころの話です。

その日は授業参観で、子どもたちが一人ずつ黒板の前に立ち、調べてきたことを発表することになっていました。

保護者が見守る中、授業が始まりました。

ところが、教室の後ろの窓際から、ひそひそと話す声が聞こえてきたのです。

何人かの母親たちが顔を寄せ合い、楽しそうに話していました。

「じゃあ、最初の人、お願いします」

一人の女の子がノートを持って黒板の前に立ちました。

緊張しているのか、最初は少し声が震えていました。それでも、一生懸命に発表を続けています。

しかし、教室の後ろでは相変わらず話し声が続いていました。

「それでね、あのお店のランチがさ」

「えー、今度みんなで行こうよ」

時折、笑い声まで聞こえてきます。

女の子は気になったのか、ちらりと後ろを振り返りました。それから、ますます声が小さくなってしまったのです。

ほかの保護者も、何度か話し声のするほうを振り返っていました。

私は教卓の横から、少し声を張りました。

「みんな、発表している人の話をちゃんと聞こうね」

子どもたちに向けた言葉でしたが、後ろの保護者にも気づいてほしいという思いがありました。

ところが、話し声は止まりません。

すると、周囲の視線に気づいた母親の一人が、隣の母親をひじでつつきました。

「ねえ、ちょっと。見られてるよ」

すると、髪をひとつに結んだ母親が、笑いながら答えたのです。

「どうせうちの子の番はまだだから」

その言葉に、ほかの母親たちも小さく笑いました。

私は直接声をかけるべきか迷いました。ただ、今まさに発表している子の言葉を遮ることにもためらいがありました。

教室の後ろが気になりながらも、授業を進めていきました。

黒板の前に立った息子が、母親に向けた一言

何人かの発表が終わり、次の子の番になりました。

黒板の前に立ったのは、先ほど「うちの子の番はまだだから」と笑っていた母親の息子でした。

それでも、教室の後ろからはまだ話し声が聞こえています。

男の子はノートを開こうとしましたが、ふと手を止めました。

そして、教室の後ろにいる母親のほうをまっすぐ見たのです。

「ママ、しずかにしてて。みんな、がんばって発表してるんだから」

はっきりとした声でした。

その瞬間、母親たちの話し声が止まりました。

周囲の保護者も、思わず男の子と母親のほうに目を向けます。

注意された母親は驚いたように息子を見つめ、何か言いかけました。

「あ……」

しかし、それ以上は言葉が出てきません。隣にいた母親たちも、気まずそうに目を伏せていました。

男の子はそれを確認すると、何事もなかったように前を向き直りました。

そして、ノートを開いて発表を始めたのです。

「ぼくが調べたのは、川にいる生き物です」

さっきまでの騒がしさが嘘のように、教室は静かになっていました。

私は男の子にうなずき、発表を見守りました。

その後、授業が終わるまで、教室の後ろから大きな話し声が聞こえることはありませんでした。

続く子どもたちも、落ち着いて発表できるようになりました。

教師の私がなかなか止められなかったおしゃべりを、男の子はたった一言で止めてくれたのです。

自分の発表だけでなく、友達が一生懸命話していることも気にかけていたのでしょう。

あの日、まっすぐ母親に思いを伝えた男の子の姿は、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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