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黒木華(36)がいま明かす「芸能界を理解できていなかった」デビュー当時の“焦りと不安”

  • 2026.10.15
黒木華さん。

デビュー当時は、求められることに追いつけていないような不安を感じ、がむしゃらに頑張っていた時期もあったという黒木さん。経験を重ねた今、少しずつ身につけた力の抜き方と、人と心地よい関係を築くために大切にしていることとは。最新作『本当にあった話(の話)』について伺いました。


若手の監督と仕事をしてみたいという気持ちがずっとあった

黒木華さん。

――民放連賞を受賞したドラマ「銀河の一票」や、映画『時には懺悔を』など、話題作への出演が続いています。その中で今回、映画『本当にあった話(の話)』への出演を決めたきっかけを教えてください。

これまでにお仕事をご一緒したことのない、若手の監督と仕事をしてみたいという気持ちがずっとあったんです。さらに今回は、水上さんや(佐々木)蔵之介さん、小池(栄子)さんという個性豊かで存在感のあるメンバーが集まっている。不思議な部分が多いこの台本をどのように作り上げていくのだろうと興味を惹かれ、その過程が見てみたいと思い、お引き受けしました。

――黒木さんが演じた米良は現在の自分を取り巻く状況や、俳優としての状況に満足していない人物です。どのように役をつくっていきましたか?

作品によって役作りの仕方は色々で、ビジュアルから考えることもあります。今回は最初に武井監督から米良のプロフィールをいただいたんです。どのような育ち方をし、どんなコンプレックスを抱えてきたかといったことなどが書かれていて。それを中心に据えて作り上げていきました。

――監督が考えたそのプロフィールは黒木さんの解釈とも一致していましたか?

そうですね。もともといただいた役について自分で解釈することはないのですが、あまり齟齬はなかったです。

年齢を重ねるにつれて自信がついた

黒木華さん。

――黒木さんも、演じた米良のようにこの仕事を続ける中で、思うようにいかずに悩んだ経験はありますか?

はい、ありました。デビューしたばかりの頃は、まわりの共演者の方々と比べて自分ができていることがとても少ないような気がしてしまって。うまく表現できないのですが、求められていることに全く追いつけていないと不安になってしまっていたんだと思います。芸能界というものもよくわかっていませんでしたし、そのことについて悩んでいた時期もありました。

当時はマネージャーさんに相談して、話を聞いてもらっていました。そこで受けたアドバイスは俳優を続けるにあたって支えになりましたが、年齢を重ねるにつれて経験も増えて、自信もついてきたことも大きかったと思います。それで、徐々に折り合いをつけられるようになっていったんでしょうね。時間が解決してくれた部分も大きいです。

若い頃って、不安なのでその分頑張りすぎてしまうところがありますよね。何事にもがむしゃらに向かってしまうといいますか。もちろんそれは素晴らしいことなのですが、ずっと力みすぎていると疲れてしまう。大人になってからは、どこかでちょっと力を抜く方法を覚えたので、軽やかになりました。

人と考えが違っても、「私はそれ、あなたはこれ」でいい

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――水上恒司さん演じる夛田(ただ)は、舞台への出演をきっかけに、自分が演じる人物に飲み込まれていきます。そこがこの映画の核であり、独特のユーモアを生み出していますよね。黒木さんはこの物語をどうとらえましたか?

水上さん演じる夛田、蔵之介さん演じる演出家の加藤、小池さん演じる脚本家の垣内。そして私が演じる米良。登場人物がそれぞれ持っているものや自分の中の正義を絶対視していて、決して譲らず互いに主張をし合っているから、それが滑稽に見え、笑えるんでしょうね。

――黒木さんは役への理解を深めようとするあまり、その人物に引っ張られてしまったことはありましたか?

俳優によって演じる役へのアプローチは様々だと思いますが、私はどこか冷静さを残して俯瞰的な視点で自分を見るようにしているので、あまりないかもしれません。

なので、この映画の登場人物たちのように、自分の意見を理解してもらいたいがために、不必要に人とぶつかるようなこともないんです。もちろん必要なときはじっくり話し合います。でも、考えなんて人それぞれなのが当たり前です。「私はそれ、あなたはこれでOK」という感覚なので、相手がぶつかってきたとしても「そっか、そういう考えもあるね」で終わることが多いです。

黒木華(くろき・はる)

俳優。1990年3月14日生まれ、大阪府出身。2010年、NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ!」にて俳優デビュー。映画『小さいおうち』で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。近年の主な作品に映画『アイミタガイ』、『マジカル・シークレット・ツアー』、『時には懺悔を』、ドラマ「光る君へ」、「銀河の一票」などがある。夏に初の著書『はるの献立日記』(飛鳥新社)を上梓。11/20公開の主演映画『日曜のあと』が控えている。

文=高田真莉絵 撮影=榎本麻美 ヘア&メイク=村上綾 スタイリスト=田畑アリサ

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