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減塩しても血圧下がらない…「高血圧」引き起こす“まさかの原因”とは?【医師解説】

  • 2026.10.15
血圧が下がらない意外な原因とは?(画像はイメージ)
血圧が下がらない意外な原因とは?(画像はイメージ)

健康診断で「血圧が高い」と指摘され、塩分摂取量を減らしている人は多いのではないでしょうか。ただ、中には数値がなかなか改善されないケースもあるようです。そもそも、なぜ血圧が上がるのでしょうか。また、塩分の摂取量を減らしても血圧が下がらない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。たいや内科クリニック(愛知県豊田市)院長で、総合内科専門医の加藤大也さんに聞きました。

高血圧を放置すると動脈硬化が進行

Q.血圧が高い状態を放置すると、体にどのような影響を及ぼす可能性がありますか。

加藤さん「高血圧の怖さは、かなり悪化するまで自覚症状がほとんどないことです。血圧が高い状態を放置すると、頭痛やめまいがなくても、血管に高い圧力が長期間かかり続けることで、血管の壁は少しずつ傷み、動脈硬化が進みます。

その結果、脳では脳梗塞や脳出血、心臓では心筋梗塞や心不全、腎臓では慢性腎臓病などのリスクが高まります。また大動脈瘤や末梢動脈疾患などにも関係します。日本高血圧学会が高血圧をサイレント・キラー(沈黙の殺人者)と表現するのは、症状がないまま臓器障害が進むことがあるからです。

また、高血圧によって心臓は強い圧力に逆らって血液を送り続けるため、心臓の筋肉が厚くなり、やがて心不全につながることもあります。血圧は将来の血管リスクを知らせる数字です。高い状態が続くときは『体調が問題ない』と放置せず、家庭血圧も確認しながら早めに対応することが、10年、20年先の脳・心臓・腎臓を守ることにつながります」

Q.減塩しても血圧が改善しない場合、どのような原因が考えられますか。

加藤さん「減塩は高血圧対策の基本であり、日本高血圧学会は高血圧の方に食塩1日6グラム未満を推奨しています。

ただし、『減塩すれば必ず血圧が正常になる』というほど単純ではありません。食塩に対する血圧の反応には個人差があり、肥満や運動不足、多量の飲酒、睡眠不足など別の要因が重なれば、減塩だけでは十分に下がらないことがあります。

特に見逃したくないのが『睡眠時無呼吸症候群』です。睡眠中に呼吸が何度も止まると交感神経が活性化し、夜間から早朝の血圧が高くなりやすくなります。

また、寒さや精神的ストレス、多量の飲酒も一時的または持続的な血圧上昇に関係します。さらに、NSAIDsと呼ばれる一部の鎮痛薬、ステロイド、甘草を含む漢方薬などが血圧を上げる場合もあります。

生活を見直して薬もきちんと服用しているのに血圧が高い場合には、原発性アルドステロン症、慢性腎臓病、腎動脈狭窄、甲状腺疾患など『二次性高血圧』が隠れていることもあります。減塩しても下がらない血圧は、努力不足ではなく、別の原因を探すサインかもしれません」

Q.秋から冬にかけて「寒暖差」は血圧にどのような影響を与えるのでしょうか。

加藤さん「寒くなると、私たちの体は熱を逃がさないように末梢の血管を収縮させます。細くなった血管に血液を流すためには、より高い圧力が必要になるため、一般に血圧は夏より冬の方が高くなりやすくなります。さらに寒冷刺激によって交感神経が活性化することも、血圧上昇に関係します。

特に注意したいのは、『寒さ』そのものだけでなく急激な温度変化です。『暖かいリビングから寒い脱衣所やトイレへ移動する』『冬の早朝に暖かい布団から急に起きて寒い屋外へ出る』といった場面では血圧が急に上がることがあります。反対に、熱い湯船に入ると血管が広がり、血圧が下がることもあり、大きな血圧変動が体への負担になります。

対策としては、脱衣所やトイレも暖める、起床後すぐに寒い屋外へ飛び出さない、入浴時は極端に熱い湯を避けることなどが大切です。秋から冬は、『薬が効かなくなった』と決めつける前に、家庭血圧を継続して測り、季節による変化を主治医と共有するとよいでしょう。血圧は固定された数字ではなく、気温や時間帯、体調によって常に変動しています」

Q.塩分制限以外に、血圧を安定させるために今日からできることを教えてください。

加藤さん「まずお勧めしたいのが、家庭で血圧を測ることです。血圧は緊張や気温、睡眠、運動などによって変動するため、健診の一回の数字だけでは普段の状態が分かりません。できるだけ同じ条件で継続して測り、記録することで、自分の血圧の『本当の姿』が見えてきます。

日本高血圧学会も家庭血圧測定を重視しています。生活面では『適正体重を保つこと』『座っている時間を減らして歩くこと』『多量の飲酒を避けること』『禁煙』『十分な睡眠を確保すること』が大切です。

『いびきが大きい』『睡眠中に呼吸が止まると言われる』『日中に強い眠気がある』という人は、睡眠時無呼吸症候群について医療機関に相談してください。

また、野菜や果物などに含まれるカリウムは、ナトリウムの排泄を促し、血圧管理に役立ちます。ただし、腎機能が低下している方や高カリウム血症のある方では、むやみに増やさず医師に相談してください。

血圧対策は『塩分だけを我慢すること』ではありません。体重、運動、睡眠、飲酒、喫煙、服薬、そして隠れた病気まで含めて整えることが重要です。毎日続けられる小さな改善の積み重ねが、血管と未来の健康を守ります」

オトナンサー編集部

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