1. トップ
  2. 「何をやりたいのか見えにくい」なぜ各政党の主張は寄っていくのか?仕組みを分析【#むちぞん】

「何をやりたいのか見えにくい」なぜ各政党の主張は寄っていくのか?仕組みを分析【#むちぞん】

  • 2026.10.14

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は、知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第1回は、今、日本の最大多数を占めながらも、実態が知られていない「謎の集団・新しいリベラル」に迫ります!

Sitakke

ゲストに『新しいリベラル』(ちくま親書)の著者である北海道大学大学院の橋本努教授をお迎えし、政治思想の基本から「新しいリベラル」の正体まで、ゼロからたっぷり伺いました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、報道部の髙橋智也(たかはし・ともや)記者です。

シリーズでお伝えしている「新しいリベラル」編。
・1回目の記事:そもそもリベラルって?保守って?
・2本目の記事:大規模調査によって新たに浮かび上がった「新しいリベラル」とは何なのか
・3本目の記事:世論調査の統計分析で分かった「6つの政治タイプ」とそれぞれの投票行動
・4本目の記事:あなたが「新しいリベラル」にあてはまるかがわかる、3つの質問
・5本目の記事:なぜ高市政権の言葉はリベラル王国・北海道にも刺さったのか?
・6本目の記事:2月の選挙の勝敗を分けたポイント

今回は、政党の「真ん中寄せ」現象や自由民主主義の危機について深掘りします。

選挙になると政党は「真ん中」へ寄っていく?

Sitakke

本間アナ)中道ができましたが、中道は真ん中に寄っているんですか?

橋本教授)中道って人数が少ないですよね。そこを取っても、リベラル全体を取りに行った方が人口としては多い気がしますよね。ただ、できれば全て取りに行って、政権を担いたいということだと思うんですが。

本間アナ)でもですよ、自民党の高市政権も保守と言われながら、結局、次世代型を訴えたりして、どんどんどんどんリベラル寄りに寄っている気がするんですよ。

Sitakke

橋本教授)そうなんですよ。政治というのは最初は強くコアな人たちに訴えかけて、だんだんだんだん真ん中を取りに行くのが政治の、選挙のやり方なんですよね。

本間アナ)となると、どんどんどんどん政党は、真ん中に寄っていくものなんですか?

橋本教授)最終的には、真ん中を取りに行かなければ安定政権は維持できないんですね。ですので、最初にどこを取りに行って、次にどこかという政治の戦略があるんですよね。

本間アナ)真ん中を取りに行って政権安定を目指す。そうなると一番最初に支持してくれていた層からは「なんだよ真ん中寄って」って思われますよね。

橋本教授)そう思いますよね。でも安定した政権を取れなければ、結局、そのコアな支持層も野党になってしまったら何の意味もないじゃないですか。そこで、やっぱりどう妥協するかの政治が始まりますね。

Sitakke

本間アナ)結局、それぞれ皆さん理想は持ちつつも、全部の理想を叶えることはできない?

橋本教授)多数派の支持を得るためには、どうすべきかということですが、私たちの本の中では「いかに連立政権を作るのか」ということを考えてみたんですね。どの野党も1つの政党で政権を担えそうにない。そうすると、どの政党と、どういう点で組めるのか、これがまさに政治の課題になってくるということです。

本間アナ)結びついて連立政権を担った方がいいんですか?

橋本教授)連立政権じゃないと無理で、政権を担えないということですね。今の自民党もそうですが、一番いいのは1つの政党で多数派の支持を得られることですが、それが難しくなってきたのが最近の傾向ですね。

本間アナ)見えにくくなっていますよね、一体何をやりたいのか。

橋本教授)そうですね。ヨーロッパでも、多党化して連立を組まざるを得なくなると、組んでから何をしようか考えるんですよ。それでものすごい時間がかかります。それに対して人々がイライラしてきて、トランプ政権のように、ものすごく力のある政治家がボンと出てきて、大きなことをやってしまうような余地が生まれてしまうかもしれませんね。

希少動物!自由民主主義の危機

Sitakke

髙橋記者)政治に実行力を求める人が増えていると言われますが、そうなったときに権力者をちゃんと私たちが批判的に見られるかという視点も大事になってきますよね。

橋本教授)そうですね。実はスウェーデンの研究所で「自由民主主義指標」というのを作っているんですよ。世界の180カ国ぐらいを対象にどの国が一番自由で民主的な国なのかという指標ですね。今年、2026年の報告書が出ましたけれど、昨年の段階でアメリカは自由民主主義の国ではないという結果が出てしまったんですよ。

本間アナ)アメリカで?!

橋本教授)アメリカも報道の自由がものすごく厳しくなって、トランプが「こういう報道をやめろ」と圧力をかけるだけでメディアが委縮しますから、実質的に報道の自由がなくなってきます。今、日本よりも悪い状況ですね。さらにびっくりしたのは、イギリスもカナダも自由民主主義ではなくなったと出てくるんですよ。

ですので、自由民主主義を維持するというのは大変なことなんです。報道の自由や経済の自由、表現の自由をどう保持していくのか、今ヨーロッパ諸国は苦しんでいます。つまりそれだけ自由を失ってでも、強いリーダーが出てきて経済をなんとかしてほしいと思ってしまう。今、自由民主主義の国に住んでいる人たちって、世界人口の中でわずか【7%】しかいないんですよ。

Sitakke

本間アナ)ええ!7%なんですか?!

橋本教授)だからもう自由民主主義なんていうのは、希少動物みたいな感じですよね。

本間アナ)じゃあ我々、だいぶ希少ってことですか?

橋本教授)そうなんですよ。2004年以降どんどん減っているんです。民主化しても経済が良くならないと「経済優先か、自由民主主義か」という問題になってくる。世界の潮流として、経済重視で権威主義化が進んでいます。

本間アナ)今の日本はどうなんですか?

Sitakke

橋本教授)日本と韓国と台湾は、かなり優秀です。フランスやイタリアよりも優秀なんです。私たちはこれまで「イギリス、アメリカ、フランスは、自由民主主義だから見習いましょう」と教科書で習ってきましたが、今や日本の方がフランス、イタリア、イギリス、アメリカよりも自由で民主的な国になっちゃったんですよ。どうしますかということですよね。

***

次回は「法律は悪用される」…今考えるべき危機に向き合います。

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

HBC報道部・髙橋智也

北海道の政治・社会ニュースを中心に取材を担当。

ゲスト:橋本努(はしもと・つとむ)

北海道大学大学院経済学研究科教授。経済思想・政治思想を専門とし、大規模調査に基づく著書『新しいリベラル~大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」』(ちくま親書・金澤悠介教授との共著)が話題を集めている。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は収録時(2026年5月)の解説・議論に基づきます。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ