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日本のトップ俳優が次々と韓国作品に出演、一体なぜ? 背景にある韓国エンタメ業界の「新戦略」とは

  • 2026.10.14
ここ最近、日本のトップ俳優たちが韓国作品に参加する流れが目立ってきました。一体なぜなのでしょうか。そこには、確かな実力を持つ日本の俳優陣だからこそ求められる理由がある模様です。※画像:PIXTA
ここ最近、日本のトップ俳優たちが韓国作品に参加する流れが目立ってきました。一体なぜなのでしょうか。そこには、確かな実力を持つ日本の俳優陣だからこそ求められる理由がある模様です。※画像:PIXTA

M世代の韓国エンタメウオッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!

今回のテーマは最近増えてきた「日本の俳優の韓国進出」について。小栗旬、坂口健太郎、笠松将……日本のトップ俳優たちが次々と韓国作品に参加する流れが、ここ1〜2年で急速に目立ってきました。実はこの背景には、世界を席巻する韓国エンタメ業界の次なるグローバル戦略が隠されています。単なる話題作りではなく、確かな実力を持つ日本の俳優陣だからこそ求められる理由とは?

日本の俳優が、なぜ次々と韓国作品に出演するのか

編集担当・矢野(以下、矢野):最近、小栗旬さんや坂口健太郎さん、笠松将さんなど、日本の俳優が韓国の作品に出演するニュースをよく目にするようになりました。これって、単なる偶然というより、何か大きな流れがあるのでしょうか?

K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):2025年あたりからでしょうか、グッと増えた印象がありますね。象徴的だと思ったのは、笠松将さんです。昨年の釜山国際映画祭に行ってきたのですが、笠松さんは映画『グッドニュース』で招待されていて、韓国語であいさつされていました。カンペを読んでいる感じではなくて、「ああ、ちゃんと勉強されているんだな」とハッキリ分かったんです。その頃から「本気で韓国進出するのかも」と感じていましたが、今年6月、韓国の制作会社Star Platinumと正式にマネジメント契約を結びました。単発のオファーではなく、継続的に韓国作品に出ていく、ということです。

矢野:今年の釜山国際映画祭にも参加されていましたね。他にも数多くの日本人俳優や監督が映画祭に参加していたというニュースを見ました。そしてSNSで知ったのですが、最近笠松さんは韓国の人気バラエティーにも出演されたそうですね。かなり好評だったとか。

ゆりこ:そうそう、『ラジオスター』(MBC)に通訳なしで出演して、大御所司会を相手に笑いをとっていましたね。『ラジオスター』は、日本でいう『しゃべくり007』(日本テレビ系)『アメトーーク!』(テレビ朝日系)のような、韓国では誰もが知るトークバラエティーなのです。そこで爪跡を残したというのは、スゴイことだと思います。

矢野:K-POPグループの日本人メンバーが出演しているのは見たことがありますが、韓国での生活経験もなく、ルーツもない日本の俳優さんが出演するのって、なかなか珍しい出来事ですよね? しかも通訳なしなんて。
 
ゆりこ:笠松さんと、そのスタッフの本気度がうかがえますよね。それは番組側にも、視聴者にも伝わったと思います。笠松さんはすでに映画『グッドニュース』でソル・ギョングさんと共演していますし、人気ドラマシリーズ『復讐代行人3~模範タクシー~』にも出演しており、2025年の「SBS演技大賞」ではプレゼンターとして登場して話題になりました。着実に韓国内での認知度が上がっているのではないでしょうか。

矢野:すでにITZYのリュジンさんと共演する『ミョンド』という、新しい韓国映画の出演が決まっているそうですよ(※1)。

ゆりこ:まだ続報はありませんが、今年の頭にはピョン・ヨハンさん主演の新作映画に出るのでは?という韓国報道もありました(※2)。

矢野:そういえば、韓国では松重豊さんも人気だと聞きました。やはり『孤独のグルメ』の影響でしょうか。

ゆりこ:松重さんは、韓国で最も愛されている「日本のオジサマ」といっても過言ではないと思います。私の周囲での好感度も高いですね。あと映画『哭声/コクソン』の國村隼さんも。松重さんも國村さんも、作品のヒットがまずあって、そこから人気と認知度が広がっていったケース。一方で笠松さんの場合は積極的に韓国市場に自ら売り込んでいっている、アグレッシブさを感じますね。

矢野:なるほど。小栗旬さんも韓国進出に積極的に見えます。Netflixのドラマ『匿名の恋人たち』ではハン・ヒョジュさんとダブル主演、韓国の制作会社が作った作品だと聞きました。あと『ガス人間』も日韓合作でしたよね。

ゆりこ:『匿名の恋人たち』は私の母がハマって見ていました。一昔前は日韓合作モノと聞くと、ファンとしては少し身構える部分もありました。成功例もありますが、ふたを開けてみたら「アレ?」な作品も多かったからです。でも最近はきちんと面白い作品が増えているなと感じますね。そして『ガス人間』の製作総指揮、ヨン・サンホ監督の次回作に小栗さんがキャスティングされたという報道がありました。早くも今月から韓国でクランクインだとか(※3)。

矢野:小栗さんの韓国進出もさらに加速しそうです。男性の役者さんだけではなく、三吉彩花さんも韓国作品に出ていますよね。最近、唐田えりかさんが日韓合作映画『過怠』で韓国人の役を演じるというニュースも見ました。

ゆりこ:三吉さんはBIGBANGのファンになったことをきっかけに韓国のエンタメにハマり、韓国語も勉強されているそうです。Instagramにも時々韓国語で投稿されていますよ。映画『過怠』ではKARAのジヨンさんが日本人を演じるらしく、「それ、逆なのでは?」という面白いキャスティングで、気になっています。

矢野:いずれにしても、老若男女問わず、日本の役者さんが韓国関連の作品に出ていく流れは止まらなさそうですね。一方で、それってなぜでしょう? どんな背景があるのか知りたいです。

両国にとってWin-Winになる「世界市場を見据えた新しいビジネス戦略」

ゆりこ:私も気になって、韓国の記事や報道を調べて、エンタメ企業で働く友人にも聞いてみました。いろいろな説が出てきた中で、一番要因として大きそうだと感じたのは韓国俳優のギャラ高騰です。元々韓国ドラマは「海外輸出コンテンツ」としての一面を持っていましたが、コロナ禍でさらにアジアを超えて全世界で見られるようになりました。Netflixやディズニー、Amazonといったアメリカ企業が投じる莫大(ばくだい)な資金も入ってくる。動く額のケタが変わってしまったのです。そりゃ、俳優側のギャラの基準も変わってきますよね。

矢野:具体的に日韓でどのぐらいギャランティーに差があるんですか? 作品の規模や、どこで放送されるか、配信される回数によって違ってくると思いますが。

ゆりこ:韓国の記事によると、主演クラスで1話当たり少なくとも2000万円以上。Netflixなどの外資系プラットフォームで配信される作品は3000万円以上も珍しくなく、一部1億円を超えるキャストもいるといいます。一方、日本の民放ドラマは主演でも1話当たり数百万円です。大御所でも500万円を超えることは少ないと聞きます。Netflix作品の主演だと1000万円を超えることがありますが、大河ドラマなどの公共放送では、慣例として主役でも1話50万〜70万円程度なので、文字通り「桁違い」です(※4、5)。

矢野:夢がありますね、韓国での俳優活動。チャンスを得て、世界で顔が売れたら人生が変わりそうです。

ゆりこ:現代のコリアンドリームですね。ただ、演者のギャラが高騰するということは制作陣にとって、喜ばしいことではありません。制作費の半分以上が主演級の出演料に消えてしまうため、採算を取れないケースもあって、ピーク時に年間140本近くあった韓国ドラマの制作数が激減しました。韓国ドラマ制作社協会や放送関係者が「トップ俳優たちの高過ぎる出演料が、韓国ドラマ業界を窮地へ追い込んでいるのでは?」と公の場でガイドライン制定を求める事態にまで発展したこともあります。

矢野:見えてきました。そこで目を付けたのが「日本の人気俳優たち」ですね。確かな実力と話題性を兼ね備えていることはもちろんですが、ビジネス的な観点でも、制作側にとってメリットがあるということですか?

ゆりこ:はい。制作費の多くが主演のギャラに消えてしまうような現在の韓国のバブル相場からすると、日本のトップ俳優らとの仕事は、非常に適正で現実的な予算内で進められるんです。これは決して安く見積もっているわけではなく、単なる両国の市場原理の違いですね。韓国のトップ俳優はスケジュールを押さえるだけでも至難の業ですが、同じ予算をかけるのであれば、確かな演技力を持つ日本の実力派俳優をキャスティングし、同時に日本市場での大ヒットも狙う。制作側にとってのメリットはここにあると思います。

矢野:コストを抑えるための妥協ではなく、予算を有効活用して、作品のクオリティーと日本市場へのアピールを両立させるための前向きな選択なんですね。すごく腑に落ちました。

ゆりこ:加えて、現在の韓国エンタメ界はドラマも映画もスケールが大きくなり過ぎて、国内市場だけではビジネスが完結しにくくなってきています。だからこそ、最初から「海外市場(グローバル)」を視野に入れたプロジェクト作りが活発になっているんです。

矢野:なるほど。韓国国内の枠にとどまらず、最初から世界でヒットさせるための「攻めの戦略」として、隣国である日本の市場や企業と強力なタッグを組もうとしているわけですね。

ゆりこ:韓国から日本の映画会社や企業に積極的なアプローチをかけるのは、次なるグローバル展開に向けた自然な流れと言えます。日韓が共同でプロジェクトを立ち上げれば、おのずと日本の実力派キャストやスタッフが参加することになりますよね。韓国側からすれば日本のトップ俳優を迎えられるのは大歓迎ですし、日本側としても世界基準の作品に参加できる。まさにWin-Winの形です。

矢野:日本側としても日本で売るための取っ掛かりが必要ですもんね。いずれにしても韓国の制作側の「世界市場を見据えた新しいビジネス戦略」が背景にあるということですね。

<参考>
※1:wowKorea「笠松将、韓国作品との縁続く…『復讐代行人3』、『グッドニュース』に続き韓国映画『ミョンド』に出演確定」(2026年1月21日)
※2:CINEPLAY「대세 카사마츠 쇼, 변요한·이솜 주연 영화 '파문' 합류…연기 호흡 기대」(2026年1月9日)
※3:シネマカフェ「『新感染』ヨン・サンホ監督×『ガス人間』小栗旬が最新作で再タッグ!10月にクランクイン!」(2026年9月24日)
※4:ヘラルド経済「“회당 출연료 3억, 너무 심하다했더니” 일본은 3천, 10배 차 ‘충격 실상’…터질게 터졌다」(2025年1月26日)
※5:朝鮮日報「"김수현 회당 출연료 3억? 日톱배우는 300만원"..몸값 논란ing[Oh!쎈 이슈]」(2025年4月10日)

K-POPゆりことZ世代編集者がゆるっとトーク
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【ゆるっとトークをお届けしたのは……】K-POPゆりこ:音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。

編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。

この記事の執筆者: K-POP ゆりこ
音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。

文:K-POP ゆりこ

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