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なぜ高市政権の言葉は、リベラル王国・北海道にも刺さったのか?改めて分析 #むちぞん

  • 2026.10.13

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は、知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第1回は、今、日本の最大多数を占めながらも実態が知られていない「謎の集団・新しいリベラル」に迫ります!

Sitakke

ゲストに『新しいリベラル』(ちくま新書)の著者である北海道大学大学院の橋本努教授をお迎えし、政治思想の基本から「新しいリベラル」の正体まで、ゼロからたっぷり伺いました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、報道部の髙橋智也(たかはし・ともや)記者です。

シリーズでお伝えしている「新しいリベラル」編。
・1回目の記事:そもそもリベラルって?保守って?
・2本目の記事:大規模調査によって新たに浮かび上がった「新しいリベラル」とは何なのか
・3本目の記事:世論調査の統計分析で分かった「6つの政治タイプ」とそれぞれの投票行動
・4本目の記事:あなたが「新しいリベラル」にあてはまるかがわかる、3つの質問

今回は、なぜ高市政権の言葉はリベラル王国・北海道にも刺さったのか?改めて分析します。

北海道はなぜ「民主王国」「リベラル」が強かったのか?

本間アナ)今回は、さらに深く政治の見方を聞いていきます。まずは、そもそもの段階として、北海道という土地柄についてです。北海道は「新しいリベラル」以前に、昔からリベラル層や野党支持層が多いイメージがありますが、実際どうなんでしょうか?

Sitakke

髙橋記者)道内の政治や選挙に詳しい方に、改めて取材をしてきました。確かに北海道は「民主王国」と言われることが多かったです。なぜリベラルや野党(立憲民主党など)が強いのかというと、大きな支持母体として「労働組合」が強いという歴史的背景があるのです。

本間アナ)なるほど、労働組合ですか。

髙橋記者)例えば、かつての国鉄(現JR北海道)のように、北海道は広いので線路やインフラを維持するためにたくさんの労働者がいました。また、夕張や空知といった石炭の炭鉱の町、あるいは数多くの自治体にも強い労働組合が存在していたのです。こうした労働組合の強い地盤があったからこそ、立憲民主党などの野党を応援する流れができました。
民主党政権で中心となった鳩山由紀夫さんも北海道選出でしたし、元札幌市長の上田文雄さんや今の秋元克広市長も民主党系出身です。北海道の象徴的なリーダーが民主党系だったことも「民主王国」のイメージを強めました。
橋本先生、このあたりはどうご覧になりますか?

Sitakke

橋本教授)北海道には「開拓の歴史」がありますよね。日本の伝統社会から距離を置いて、より自由な人たちが集まってきた歴史です。そのため、男性優位社会でもなく、権威主義的ではない自由な考え方を持つ人が暮らせる歴史的背景があったのだと思います。

リベラル王国が激変?その理由は

本間アナ)そうした土壌がありながら、今年2月に行われた衆院選ではどうなったのでしょうか?

Sitakke

髙橋記者)北海道の12ある小選挙区のうち、2024年は2つが自民党。ただことし2月は自民党が9議席を獲得し、旧立憲民主党や公明党が結成した「中道改革連合」は1つにとどまりました。
「リベラル王国」と言われた北海道で、自民党の歴史的大勝、中道の歴史的惨敗という結果になったんです。

橋本教授)一番大きな要因は、高市早苗政権に対する人気で、無党派層の多くが高市氏支持に回ったことです。

Sitakke

本間アナ)リベラル王国ということは、先生が分析されている「新しいリベラル層(次世代支援や社会的投資を重視する層)」も多くなっていくんでしょうか?

橋本教授)それは子育て世代が多いかっていうことにも依存すると思うんですね。どうも北海道は少子化で苦しんでいますよね。そういう点で言うと、北海道は、新しいリベラルがこれから増えるかどうか分からないですね。

Sitakke

本間アナ)潜在的には多いんじゃないですか?

橋本教授)潜在的には非常に多いはずです。従来のリベラルから新しいリベラルへ変わっていく人たちも多いでしょう。ただ、私たちが調査したデータを見ても、新しいリベラルの最も多くの人たちは「自民党」に投票しているんです。自民党の方が次世代支援をやってくれるんじゃないかという期待があった。逆に言えば、当時の立憲民主党が次世代に対する政策を十分に打ち出せていなかったということです。

Sitakke

(各グループの政治思想や、投票行動については、これまでの記事でくわしく解説しています)

高市総理の演説が新しいリベラルに刺さった理由

Sitakke

髙橋記者)中道改革連合も今回の選挙で「次世代支援」をアピールしていましたよね。それでも新しいリベラルを取り切れなかったのは、高市さんの人気でしょうか?

橋本教授)メッセージ性の違いが大きいですね。前の石破総理の演説は「これからは楽しい日本にしよう」というもので、次世代を気遣う具体的なビジョンが見えにくかった。それに対して高市総理は、「将来世代のために日本を作ろう」「挑戦しない国に未来はない」「守るだけの政治に希望はない」といったスローガンを打ち出しました。

本間アナ)力強い言葉ですね。

Sitakke

橋本教授)高市総理は「今生まれたお子さんは、70代で22世紀を迎えます。私たちが死んだ後の社会に向けて投資をしましょう」と語りかけました。そして、ペロブスカイト太陽電池や国産レアアースなどへの環境投資・成長投資を具体的に挙げた。今自分たちが儲けるためではなく、「未来世代のための社会的投資」を訴えたわけです。これが新しいリベラルの人たちに強く響いたと考えられます。

本間アナ)未来、投資。新しいリベラルが好きな単語ですよね。

髙橋記者)実際、高市総理が道内4か所で応援演説した内容のテキスト分析(単語の出現頻度の可視化)を行ったフリップがこちらです。

Sitakke

髙橋記者)「日本」という言葉と並んで、「投資」「未来」という単語が際立って多く使われています。高市政権がいかに「未来」「社会的投資」を打ち出し、新しいリベラル層を取りに行っていたかが透けて見えます。

橋本教授)地域経済への投資、ITや農業への投資を語り、「私たちがリスクを引き受けてでも次世代のために投資する」というメッセージを作った。中道改革連合はここを打ち出し切れませんでした。

本間アナ)日本と並んで「投資」がありますけど、これは社会的投資?

Sitakke

橋本教授)経済投資の方が多いです。ただ未来世代への投資っていうのは、私たちが儲けるより次世代が儲けるってことですよね。 次世代支援という風にも解釈できるんだと思うんですよね。

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次回の記事では、「物価高対策では差がつかない?」勝敗を分けたポイントを振り返ります。

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

HBC報道部・髙橋智也

北海道の政治・社会ニュースを中心に取材を担当。

ゲスト:橋本努(はしもと・つとむ)

北海道大学大学院経済学研究科教授。経済思想・政治思想を専門とし、大規模調査に基づく著書『新しいリベラル~大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」』(ちくま親書・金澤悠介教授との共著)が話題を集めている。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は収録時(2026年5月)の解説・議論に基づきます。

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