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「あなたにしか無理だから♡」仕事を押しつけられ続けた私→5年分の記録を人事に出した結果

  • 2026.10.12
SHUFUFU

「あなたが一番できるから、お願いね♡」

その一言のあと、机の上に新しい案件ファイルが積まれる。

笑顔で渡されるのに、帰りが遅くなる未来だけはいつも決まっていた。

「あなたにしか無理」の正体

営業事務チームに入って5年。同じフロアの先輩・麻生さん(仮名)は50代前半のベテランで、肩書はなくても現場の采配を握っていた。

座席の並びや月ごとの案件割り振りは、ほぼ麻生さんの一言で決まる。上司は「現場が一番わかるから」と任せている。

最初のうちは、信頼だと思っていた。

「これ、ちょっと複雑なんだけどね。あなたにしかお願いできないの」

そう言って渡されるのは、取引先との調整が必要な案件、納期が詰まった案件、過去にトラブルがあって手順が多い案件。面倒ごとが、私の机に集まった。

「今日も定時で〜す」の横で

入社3年目、後輩の橘さん(仮名)が配属された頃から違和感がはっきりした。

麻生さんは橘さんを気に入り、ランチに誘い、おやつを配り、仕事は連絡先が整理されていて処理しやすい顧客や、決まった手順で終わる定型案件を渡す。

「橘ちゃんはまだ慣れてないから」は最初の3か月だけ。

1年たっても2年たっても、私は残業申請の画面を開き、橘さんは「今日も定時あがりで〜す」と手を振って帰る。そんな夜が週に3〜4回はあった。

できる人に仕事が集まるのは自然かもしれない。

そう思って飲み込んできたけれど、胸の中では別の声が大きくなっていった。

「これは、本当に能力の差だけなんだろうか」

5年分の日誌が示した偏り

転機は、月末に残業時間を確認していたときだった。

「今月もこんなに残っていたんだ」

そう思って、自宅に保管していた過去の仕事用手帳を引っ張り出した。

私は入社当初から、その日に担当した案件名や、かかった時間、残業の有無を簡単に書き残していた。

試しに直近1年分を拾ってみると、差は思った以上にはっきりしていた。

私の残業は月平均24時間。橘さんは、勤怠表で確認できる範囲では月2〜4時間ほど。

さらに自分の担当案件を、納期までの日数、必要な手順数、トラブル対応の有無などで整理すると、手間のかかる案件が月10件前後あった。

一方、共有の担当記録を見る限り、橘さんが同じ条件に当てはまる案件を担当するのは月1〜2件ほどだった。

社内メールも検索した。

麻生さんから私に送られた案件依頼と、橘さんへの依頼。並べてみると、任されている仕事の種類が明らかに違っていた。

偶然の差ではない、と私は判断した。

ここで感情をぶつけても、「あなたのほうが得意だから」で終わるかもしれない。

私は日誌とメールの履歴を月ごとに整理し、社内の相談窓口から人事との面談を申し込んだ。

人事面談で、日誌と一覧を机に置いた

会議室で人事担当者と向かい合い、私は印刷した日誌の抜粋と、案件依頼の一覧表を机に置いた。

「この1年の担当と残業時間をまとめました。こちらは納期や作業工程、トラブル対応の有無ごとに整理したものです」

余計な言い方は足さない。

担当件数、残業時間、案件ごとの作業内容、依頼メール。

順番に示すと、担当者は紙をめくりながら確認した。

「これ、以前から記録していたんですか」

「はい。入社した頃から仕事の記録を残しています」

担当者はもう一度資料に目を落とした。

「わかりました。チーム内の業務配分について確認します」

面談はそれで終わった。

「お願いね」が消えた朝

それからしばらくして、チーム内で業務の割り振りについてヒアリングが行われた。

誰が何を聞かれたのか、詳しい内容は知らない。

ただ、その翌週から割り振りのやり方が変わった。

担当表がエクセルで作られ、共有フォルダに置かれた。誰がどの案件を持っているのか、全員が確認できるようになった。

麻生さんが個別に私の机へ来て、「お願いね」と書類を置いていくこともなくなった。

ある朝、麻生さんが私の席に来た。

「最近、体調どう?」

「大丈夫です」

それだけ答えると、麻生さんは「そ。無理しないでね」と言って去っていった。

それ以降、業務以外で話しかけられることはほとんどなくなった。

その後、残業が減って思ったこと

体制の見直しから3か月。

私の残業は月に数回程度になり、複雑な案件もチーム全体で分担するようになった。

共有の担当表ができたことで、橘さんとも仕事について話しやすくなった。今では、以前なら私に回ってきていたような案件を彼女が担当することもある。

麻生さんへの怒りは、もう薄い。

ただ、重い案件に追われていた時間は戻らない。昔の手帳をめくると、あの期間の長さを思う。

それでも、記録を続けていてよかった。

「なんとなくおかしい」だけでは説明できなかったことが、数字にすると見えるようになった。

そして見えるようになったことで、ようやく状況を動かすことができた。

さいごに

「できる人だから」と仕事を集中させる状態が長く続けば、本人の努力だけでは解決しにくい偏りになることがあります。

そんなとき、感情だけで訴えるのではなく、担当件数や残業時間などの記録が状況を伝える助けになることもありますよね。

あなたの職場にも、「できるから」という言葉で負担が偏っている人はいませんか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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