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人と人が心で繋がる集いの場へ。創業家にルーツを持つふたりが紡ぐ、新時代の社交コミュニティ

  • 2026.10.7

かつて欧米や日本の邸宅で、文化・芸術、そして知性の発信地として人々を魅了してきた「サロン文化」。時代の移り変わりとともにその姿を変えながらも、美意識や志を共有し、人と人が心で繋がる場としての本質は、いまも変わらず受け継がれています。

今回は、創業150余年の歴史を誇る資生堂の創業家に生まれ、2024年に広尾にサロンホール「La Salle F(ラ・サール エフ)」を設立した福原和人さんと、日米を拠点に女性のためのウェルネスブランド「for her.(フォーハー)」を展開し、女性コミュニティを育む片山有紗さんによる特別な対談が実現しました。ファミリービジネスという共通のルーツを持ち、銀座の若手経営者のコミュニティを通じて出会ったおふたりが語る、代々培われてきた伝統とDNA、空間に宿る美意識、そして未来へと繋ぐ想いをお届けします。

CEDRIC DIRADOURIAN

<Profile>
福原和人(ふくはらかずと)/株式会社フクハラアイズ 代表取締役社長
資生堂創業者である福原有信の玄孫として生まれる。学習院大学大学院にて理学修士(化学)を取得後、株式会社資生堂入社。フランス駐在を含み11年間在籍したのち資生堂を退職。その後、家業である福原グループに参画し、現在は総合保険代理店事業を展開する株式会社フクハラアイズの他、複数社の代表を務める。2024年には現存する日本最古の画廊「資生堂ギャラリー」の精神を継ぐサロンホール「La Salle F」を広尾に設立。本業の傍ら、創業の地・銀座に関わる社会活動や若手音楽家への支援なども行っている。

片山有紗(かたやまありさ)/for her.創設者・取締役社長
世界10カ国で展開する自動車部品メーカー「片山ホールディングス」の創業家(父方)に生まれ、日本の食文化を支えてきた「モスバーガー」の創設者・櫻田慧氏の孫(母方)でもあるという、ダブル創業家をルーツに持つ。生後3カ月で米国ケンタッキー州へ渡り、15歳までを現地で過ごす。高校卒業後、国際基督教大学(ICU)へ進学。2021年に米国カリフォルニア州にて長女を出産。現在は5歳児の母として育児に向き合いながら、日米を拠点に女性のためのウェルネス事業をグローバルに展開している。

ファミリービジネスに息づく、新しい「サロン」のカタチ

―― サロン誕生の背景をお聞かせください。

福原和人さん(以下、福原) :資生堂には150年余りの歴史があり、私はその5世代目にあたります。初代社長である福原信三は深く文化芸術を愛し、それが資生堂のものづくりや美的センスの礎となりました。彼が1919年に開設した「資生堂ギャラリー」は、現存する日本最古の画廊のひとつとして、いまなお受け継がれています。そうした歩みを振り返りながら、現代を生きる私たちが「真に受け継ぐべき本質とは何か」と、常に問い続けてきました。

私たちのファミリー企業が広尾を拠点として事業を立ち上げることになった際、創業当時の原点に立ち返り、新たな文化芸術の発信地をつくろうという想いから「La Salle F」を開設いたしました。単に作品を売買するコマーシャルギャラリーではなく、美しいものや新しいコンセプトを囲んで、人が集い語り合う――それこそが“サロン”の本来の姿だと思うのです。ただ鑑賞して終わりではなく、演者と観客、そして観客同士が縦横に繋がるような、温かな関係性が生まれる場を目指しています。

CEDRIC DIRADOURIAN

片山有紗さん(以下、片山) :福原さんのお話、とても共感します。私も、父方の片山ホールディングスや、母方のモスバーガー創業者という事業家の背中を見て育つ中で、代々のリーダーたちが持っていた「事業を通じて人を幸せにする」という美意識を肌で感じてきました。それが、いまの私のビジネスの原点になっています。

私自身、カリフォルニアで出産した際、情報の少なさや孤独な育児、体の変化の中で『自分の食事すら作れない』という大きな挫折感を味わいました。そんな暗闇の中にいた私を救ってくれたのが、現地で出会ったドゥーラ(産後ケア専門家)が届けてくれた温かいスープと寄り添うサポートだったのです。その実体験から、女性のライフステージの悩みに寄り添うウェルネスブランド「for her.」を立ち上げました。

現在はプロダクト開発にとどまらず、「多忙な女性たちが孤独を解消し、自分らしくいられる居場所を作りたい」という想いから、コミュニティの運営にも力を入れています。集まるのは、国籍や既婚・未婚、子育ての有無を問わず、海外生活の経験を持つ方や異業種で活躍する方など、さまざまなバックグラウンドを持つグローバルな女性たちです。あえて固い会名や会費制は設けず、会費制にもしていません。普段の忙しさから少し離れてドレスアップし、夜のディナーに集う――。英語と日本語が自然に交ざり合うオープンな空間で、キャリアやビジネスアイデア、子育てやパートナーとの関係、時には女性ならではの悩みまで、本音で語り合える時間を共有しています。メンバー同士でのお仕事のコラボレーションやプロダクト開発をはじめ、私自身もここでいただいた応援をきっかけにポッドキャストを開始するなど、新しい挑戦や温かなご縁が次々と生まれています。

CEDRIC DIRADOURIAN

―― クローズドに見えがちなサロンですが、おふたりの場には「開かれた温かさ」を感じます。

福原:私たちが拠点とする銀座の街もそうなのですが、決して閉ざされたクローズドな場所ではないんです。ただ、だからといって敷居を下げすぎてしまうと、その場所が持つ価値や雰囲気がブレてしまいます。「ここへ行くなら、もう少し調べていこう」と高め合えるような、意識の高い方に響くブランディングを意識しています。急いで認知を広げたり人数を集めたりするのではなく、じっくりと価値を共有できるコミュニティを育てていく。こうした長期的な視点でサロンと向き合う姿勢は、ファミリービジネスの哲学にも通じていると感じます。

片山:本当にそうですね。初回のミーティングを終えた後、参加してくださった方々から「やっと同じ熱量や悩みを分かち合える仲間に出会えた」と熱いメッセージをいただき、私自身も深い手応えを感じました。私が拠点にしているロサンゼルスはイベント文化がとても盛んで、お互いにポジティブな言葉を掛け合い、背中を押し合うカルチャーがあります。そうした「相手を肯定し、高め合う」温かな空気感を、日本のコミュニティにも根付かせていきたいですね。普段は交わらない異業種のパワフルな女性たちが繋がることで、日本の未来を心地よく変えていくようなポジティブな化学反応が起きると信じています。

次世代を育む喜びが紡ぐ、心豊かな未来と文化の継承

―― サロンを運営される中で、特に大切にされている哲学や喜びについて教えてください。

福原:私たちはありがたいことに、150余年という歴史が重なる中で、先人たちが遺してくれた数々の無形の資産、そして大切な信条を受け継いできました。この「La Salle F」を設立する際にも、初代社長の福原信三が遺した「Richness in Everything(すべてのものはリッチでなくてはならない)」という言葉をロゴに刻んでいます。

時代の変化とともに「リッチネス」の定義は変わりますが、信三が最も大切にしていたのは何より「心の豊かさ」でした。心が豊かであるとはどういうことか――それをあらゆる活動を通じて問い続けることこそが、私どもの果たすべき使命なのだと感じています。だからこそ慌ただしい現代において、この空間に入ってから出るまでの時間を、演者であれ観客であれ、どれだけリッチに感じていただけるか。そのための場をつくり続ける姿勢を大切にしています。

CEDRIC DIRADOURIAN

また、このサロンホールを通じて次世代のアーティストが世に出ていく機会を創出できることは、私にとっても何よりの喜びです。実は私たちの歴史を振り返ると、芸術家の方々の支援という形で社会や文化に還元してきたからこそ、彼らの豊かな感性や存在に私どもの事業が救われてきたという相互の歴史があるのです。若き才能がここで自らの表現を届け、やがて華々しく羽ばたいていく姿を目の当たりにする時の充実感は、言葉に尽くせません。

そしてもうひとつ大切なのは、これを個人オーナーの単なる趣味で終わらせないことです。若い表現者を応援し文化を育む喜びを、いま現場で働く社員たちともしっかり共有していく。仲間とともに社会への貢献を感じ、同じ感動や充実感を分かち合いながら未来へと継続していく仕掛けを、これからもこの場所からつくり続けていきたいと思っています。

―― 今後、サロンやコミュニティを通じて実現したいビジョンについて

片山:私自身が渡米して強く感じたのは、周囲が互いを肯定し「You did a really good job!(本当によくやったね!)」と背中を押し合う、ポジティブな言葉の循環でした。自分の感情や直感を素直に表現し、称え合うカルチャーです。こうした温かな文化を、コミュニティを通して日本でももっと広げていきたいと思っています。

また今後は、アメリカでも産後ケアや薬膳をベースとしたフードブランドのイベントを展開し、日米双方の女性たちに様々な情報をシェアしていきたいですね。今、日本にはグローバルな視点を持つ素晴らしい方々や、日本を心から愛する在留外国人の方々がたくさんいらっしゃいます。彼女たちが持つスピード感や実行力と情熱が交われば、面白いアクションが次々と生まれるはずです。そのためには、「本物のウェルネス」や「ポジティブな挑戦」を形にするための上質な「場」が必要だと感じています。

CEDRIC DIRADOURIAN

福原:それならぜひ、この「La Salle F」を舞台にして何かを立ち上げていただきたいですね。資生堂創業家として、私たちは歴史的に女性の社会進出や活躍を後押ししてきました。片山さんのように情熱的なオーガナイザーがいらっしゃるなら、この空間を女性の集いや発信の拠点として活用していただけたら、これほど嬉しいことはありません。

私たちが目指しているのは、単にパフォーマンスを鑑賞して終わる場ではなく、演者の秘めた想いや人柄を引き出し、訪れた方々と双方向で心を通わせる空間です。絵画、音楽、香り、ダンス――五感に響く融合から生まれる唯一無二の感動を、この距離感だからこそ届けていきたい。そして将来的に、「日本を訪れる目的のひとつが、このサロンホールである」と言われるような、国内外の美意識が高い人々が集う文化拠点へと育てていきたいと考えています。

片山:「La Salle F」のような本物の美意識が息づく空間でグローバルなカルチャーが交差できたら、どれほど素晴らしい化学反応が起きるか… 想像するだけで胸が躍ります。ぜひご一緒させてください!

福原:ええ、ぜひやりましょう。最初の一歩を踏み出すアーティストや、新しい時代を切り拓く人々、そしてそれを応援する方々が集い、感動を分かち合う。この場所から、心豊かな新時代のサロン文化を未来へと紡いでまいりたいですね。

問い合わせ先
La Salle F(ラ・サール エフ)
TEL/03-5422-6768(電話受付時間:平日10:00-16:00)
URL/lasalle-f.com

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