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西村優菜、小技で掴んだ米ツアー初V 土台にあるのは“クラブの重み”の活用

  • 2026.10.6
西村優菜(C)Getty Images
SPREAD : 西村優菜(C)Getty Images

9月25日からアーカンソー州のピナクルカントリークラブで開催された「ウォルマート NW アーカンソー選手権」で、米ツアー4年目の西村優菜が初優勝を飾った。
2023年大会で3位タイに入った好相性の大会で、ショットの精度と強みであるパットの安定感を発揮。フェアウェイキープ率は92.31%で6位、パーオン率は87.04%で8位だった。
さらに、パーオンホールの平均パット数は2位タイ、1ホールあたりの平均パット数は6位タイ。「曲がらない」「乗る」「入る」が噛み合い、2位に5打差をつける圧勝となった。

■飛距離ハンデ抱えるも初V

西村の今季のドライビングディスタンスは現時点で156位。2023年から昨季までも153位、160位、154位と推移しており、飛距離が大きな武器となる米ツアーにおいて、この部分ではハンデを抱えている。
しかし、今回の優勝は、その差を飛距離以外の能力で補えることを証明するものとなった。
「ウォルマート NW アーカンソー選手権」でのSG指標を見ると、ティーショットの貢献度を示すSG:オフ・ザ・ティーは60位、グリーンを狙うショットのSG:アプローチは7位、SG:アラウンド・ザ・グリーンは28位、SG:パッティングは6位だった。
大会のドライビングディスタンスが129位でありながら、SG:オフ・ザ・ティーは60位。フェアウェイキープ率6位という数字からも分かるように、飛距離ではなく方向精度でティーショットの価値を高めていた。
そこにグリーンを狙うショットの精度とパッティングの安定感が加わったことが、今回の快挙につながった。

西村優菜のスタッツ(10月5日時点) ※作成:SPREAD編集部

■バンカーからチップインバーディー

ショットとパットをつなぐうえでは、グリーンまわりでのプレーも重要な役割を果たした。
2位に5打差をつけて首位でスタートした最終日だったが、前半で一度は並ばれた。そして迎えた11番ショートホール。ティーショットをバンカーに入れながら、そこからチップインバーディーを奪い、再び一歩抜け出した。
その流れを決定的なものにしたのが15番ロングホールだった。ティーショットでフェアウェイをとらえると、果敢に2オンを狙って約3メートルにつけ、イーグルパットを沈めた。ここから再び後続との差を広げていった。
大会のSG:アラウンド・ザ・グリーンは28位と、アプローチやパッティングほど突出した数字ではない。それでも、11番のバンカーショットのように勝負どころで大きな1打を生み出した。こうしたプレーがあったからこそ、その後のショットやパットにも落ち着いて臨むことができたと考えられる。

■クラブの重み

西村のパットを含めたショートゲームの安定性を支えている技術的なポイントの一つが、クラブの重みを生かしていることである。
11番のバンカーショットは、グリーンエッジからピンまでの距離が短かった。バンカーから出てすぐの地点にキャリーさせる必要がある一方、キャリーが不足してバンカーから出ないミスだけは避けたい状況だった。こうした場面では「しっかり出したい」という意識からインパクトが強くなりやすい。しかし、このときの西村にその様子は見られなかった。
“トンッ”とボール手前の砂へ、クラブの重みを生かすようにヘッドを落とす。必要以上に力を加えることなく、狙った地点へキャリーさせていた。この「クラブの重みを生かす」というポイントはパッティングにも見られる。ダウンストロークからボールを打ち出し方向へ強く押し出そうとするのではなく、クラブに加える力を抑え、ヘッドとボールの衝突によって自然に転がしているように見える。
パッティングでは、一定のリズムでストロークすることが重要である。クラブヘッドの動きを細かくコントロールしようとして力を使いすぎれば、そのリズムは崩れやすい。ヘッド軌道やフェース向きを必要以上に操作せず、ある程度クラブの動きに任せる。そのほうがクラブの重みを生かしやすくなり、結果として距離感や方向性の安定にもつながる。

■総合力で戦えることを証明

飛距離があるほど有利になる場面は多い。しかし西村は、ティーショットの方向精度、グリーンを狙うショット、ショートゲーム、そしてパッティングを高いレベルで組み合わせることで、その差を補った。
今回のスタッツを見ても、一つの突出した武器だけで勝ったわけではない。飛距離では下位に位置しながらも、フェアウェイをとらえ、高い確率でグリーンに乗せ、最後はパットで仕留めている。飛距離では劣っていても、一打一打の精度を高め、それぞれの技術を噛み合わせることでスコアは作れる。
西村の米ツアー初優勝は、世界最高峰の舞台で「総合力」で戦い、勝つことができると証明した一勝だったといえるだろう。

■著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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