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男性と女性で違う「うまい口説き方」とは

  • 2026.10.5
男性と女性で違う「うまい口説き方」とは
男性と女性で違う「うまい口説き方」とは / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

メッセージをひとつ送るだけなのに、絵文字を付けるか外すかで、送信ボタンの前でしばらく固まってしまう夜があります。

こうした、相手に好意をそれとなく伝えて気を引くふるまいは「フラート」と呼ばれます。

最初の一言やユーモアといった言葉もあれば、服装や笑顔、贈り物のような言葉以外のものもあります。

では同じ口説き方でも、男性が使うのと女性が使うのとでは、効き目が変わるのでしょうか。

米オッターバイン大学の心理学者ノーム・シュパンサー氏が、この疑問に迫った過去の研究を解説記事で紹介しています。

この話題の詳細は2026年10月1日に『Psychology Today』にて公開されました。

目次

  • 人間の口説き方はなぜ「遠回し」なのか
  • 男と女で「効く口説き方」は違っていたのか?
  • 一夜限りか長い付き合いかで、効き目はどう変わったのか

人間の口説き方はなぜ「遠回し」なのか

人間の口説き方はなぜ「遠回し」なのか
人間の口説き方はなぜ「遠回し」なのか / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

動物の世界では、オスが自分の質の高さをそのまま見せつけて、メスの気を引くのがふつうです。

メスは、いちばん強い合図を出すオスを選ぶことで、よい相手を見分けられます。

ところが人間の口説き方は、さりげなく、あいまいで、こっそりしたものになりがちです。

米ペンシルベニア大学の心理学者アンドリュー・ガーシック氏とロバート・カーツバン氏は、その理由を口説くことに伴う社会的なリスクに求めました。

露骨に迫ると、周りから悪く言われたり、断られて恥をかいたり、評判を落としたりするおそれがあるからです。

この考えでは、場の空気に合わせてリスクを抑えながら口説ける人ほど、相手によい印象を持たれます。

そうした口説き方が、柔軟にふるまう力や人づきあいのうまさを持っている証しになり、どちらも相手に求められる長所だからです。

つまり人間の口説き方は、細かな計算の上に成り立つ作戦なのです。

そこで役立つのが「性的戦略理論」という考え方です。

これは、男性か女性か、そして一夜限りの関係か長く続く関係かによって、相手を得るのに効く作戦は変わるはずだとする理論です。

米国の研究者T・ジョエル・ウェイド氏とジェニファー・スレンプ氏は、男女がどう口説くのか、どのやり方が効くと受け止められるのかを4つの調査で調べました。

さらにノルウェーの研究者レイフ・エドワード・オッテセン・ケンネア氏らも、ノルウェーの415人と米国の577人の異性愛者に、40種類の口説き方について尋ねています。

男と女で「効く口説き方」は違っていたのか?

男と女で「効く口説き方」は違っていたのか?
男と女で「効く口説き方」は違っていたのか? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

まずウェイド氏らは、40人と60人を対象にした2つの調査で、男性と女性がそれぞれ相手への好意をどうやって示すかを調べました。

すると、一夜限りの関係を求めるときも長い関係を求めるときも、口説き方そのものに違いはありませんでした。

また、挙がった口説き方は男性が26種類、女性が14種類で、男性のほうが手数の多い結果になりました。

次に、女性の口説き方のうちどれが効くと思うかを男性110人に、男性の口説き方のうちどれが効くと思うかを女性222人に評価してもらいました。

男性が効くと評価したのは、「頬にキスをする」「体をすり寄せる」「近くに寄ってくる」「腕などに触れる」といった、女性からの体の触れ合いでした。

一方で女性が効くと評価したのは、「手をつなぐ」「一緒に時間を過ごす」「デートに誘う」「笑わせてくれる」「キスをする」「自分に関心を示す」「一緒に夕食をとる」といった男性のふるまいでした。

研究者たちは、最も効くと受け止められたのは、女性からなら体の関係を思わせる口説き方、男性からなら自分だけを大切にしてくれると示す口説き方だったとまとめています。

これは、性的戦略理論が予想していたとおりの結果でした。

一夜限りか長い付き合いかで、効き目はどう変わったのか

一夜限りか長い付き合いかで、効き目はどう変わったのか
一夜限りか長い付き合いかで、効き目はどう変わったのか / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

ケンネア氏らの調査では、参加者は4つの場面のうち1つを無作為に割り当てられ、40種類の口説き方がどれだけ効くかを答えました。

その結果、一夜限りの関係を求める場面で女性が使う場合には、体の触れ合いや体を見せること、色っぽい服装といった「誘いに応じてくれそう」という合図が、ハグや頬へのキスのような親しげな触れ合いやユーモアよりも効くと評価されました。

一方で長い関係を求める場面で男性が使う場合には、気前のよさや本気で付き合う気持ちを示す合図、ユーモア、打ち明け話のような深い会話が最も効くと評価されました。

そして相手の冗談に笑うことは、男女どちらが使っても効く口説き方でした。

一夜限りの関係を求める場面では、効くとされた上位10個のうち6個が男女で共通していました。

それでも、女性の場合に最も効くとされたのは体に関わるものばかりでした。男性の場合は、それに加えて笑顔を見せる、会話に関心を示す、ほめる、相手を笑わせるといったふるまいも効くと評価されました。

これに対して長い関係を求める場面では、上位10個のうち9個が男女で共通していました。

長く付き合う相手への口説き方では、効くやり方の顔ぶれが男女でほとんど同じだったのです。

また、外向的かどうか、自分が相手としてどれほど魅力的か、信仰心の強さといった個人の違いから、口説き方がどれだけ効くと評価されるかを意味のある形で予測することはできませんでした。

米国の参加者は、体を見せること、最初に話しかけること、気前のよさをより効くと評価するなど、国による違いも見られました。

しかしそうした違いは、男女の差や関係の目的による差の前では小さなものでした。

シュパンサー氏は、こうした広く見られる傾向は、その奥に進化の中で身についた生まれつきの性質があることをうかがわせると述べています。

ただし、これらはいずれも、参加者が口説き方を「効くと思うかどうか」で評価した結果です。

口説き方がどれだけ効くと受け止められるかは、国による違いよりも、誰がどんな関係を求めて使うかで大きく変わると言えそうです。

そして長く付き合う相手を探す場面では、男も女も、効く口説き方はよく似たものになっていくのです。

考えすぎて一言目が出てこないなら、まずは天気の話から始めても、きっと誰も責めないはずです。

参考文献

Effective Flirting Looks Different for Men and Women (Psychology Today)
https://www.psychologytoday.com/us/blog/insight-therapy/202607/effective-flirting-looks-different-for-men-and-women

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。 好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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