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チンパンジーは友達の「パイナップル」を奪いにくいと判明

  • 2026.10.5
チンパンジーは友達の「パイナップル」を奪いにくいと判明
チンパンジーは友達の「パイナップル」を奪いにくいと判明 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

同じちょっかいでも、仲のいい相手とそうでもない相手とでは、受け取り方がまるで変わることがあります。

チンパンジーは仲のよい相手を選んで、毛づくろいをしたり、助けたり、食べ物を分けたりすることが、これまでの研究で知られています。

ところが、友だちへの「意地悪」については、まだあまり調べられていませんでした。

では、チンパンジーは友だちの食べ物を横取りするのを思いとどまれるのでしょうか。

米カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、パイナップルを使った少し変わった実験で、この問いを調べました。

研究内容の詳細は2026年9月1日に『Evolution and Human Behavior』にて発表されました。

目次

  • チンパンジーの「友だち」と「パイナップル泥棒」の実験
  • チンパンジーは友だちのパイナップルを盗んだのか?

チンパンジーの「友だち」と「パイナップル泥棒」の実験

チンパンジーの「友だち」と「パイナップル泥棒」の実験
チンパンジーの「友だち」と「パイナップル泥棒」の実験 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

研究の舞台は、アフリカのウガンダにあるンガンバ島チンパンジー保護区です。

チームはまず、ここで暮らす26頭のチンパンジーを、約20か月分、のべ800時間以上にわたって観察しました。

だれがだれを毛づくろいするか、ふだんどう関わっているか、手の届く距離にどれくらい頻繁に一緒にいるかを記録したのです。

その記録をもとに、強いきずなで結ばれた「友だち」のペアと、そうではない「友だちでない」ペアを決めました。

ただし、チンパンジーの親しい関係を人間の友情と同じように呼ぶことには、慎重な研究者もいます。

続いてチームは、2つの部屋を使った「盗み」の実験を用意しました。

片方の部屋では、「被害者」役のチンパンジーが、パイナップルの切れ端をのせたトレイから食べています。

トレイにはロープがつながれ、その端はもう片方の部屋まで伸びていました。

そちらにいる「泥棒」役は、ロープを放っておくことも、ぐいっと引いてパイナップルを横取りすることもできます。

2頭の部屋の間は、チンパンジーが入れない通路で隔てられていたので、泥棒にとって盗みは損の少ない行いでした。

それぞれの被害者役に、友だちの泥棒役と友だちでない泥棒役を1頭ずつ組み合わせたので、ペアは全部で46組になりました。

どのペアも、試行(実験のくり返しの1回分)を3回行いました。

チンパンジーは友だちのパイナップルを盗んだのか?

チンパンジーは友だちのパイナップルを盗んだのか?
チンパンジーは友だちのパイナップルを盗んだのか? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

結論から言うと、チンパンジーは友だちからは食べ物を盗みにくいことが分かりました。

友だちでない相手とのペアでは試行の70%で盗みが起きたのに対し、友だちとのペアでは61%にとどまったのです。

差は9ポイントなので、小さく見えるかもしれません。

しかし同じチンパンジーが両方の場面を経験しているため、この差は偶然ではなく意味のあるものだと、より自信をもって言えるといいます。

筆頭著者でバークレー校の博士課程の学生、オデッド・リトフ氏は「友だちに対して反社会的な行動(相手に損をさせる行動)を控えられると示したのは、私たちの研究が初めてです」と話しています。

チームは、盗まれた側が足を踏み鳴らしたり、こぶしを打ちつけたり、金切り声を上げたりする様子から、気持ちの動きも測っていました。

すると、盗まれた側は相手が友だちのときのほうが、最初はむしろ強く怒っていました。

ところが試行を重ねるにつれて、友だちでない相手に盗まれたときよりも、その怒りがすばやくおさまっていったのです。

一方で、泥棒の側にも違いが見られました。

友だちでない相手から盗んだとき、泥棒役はマイナスの感情をずっと長く表していたのです。

研究チームは、泥棒が友だちでない相手とのやりとりを、より敵対的なものとして受け止めていたのではないかと見ています。

リトフ氏は「チンパンジーの友情には双方からの期待があるのかもしれず、人間の複雑な友情により近いように思えます」と述べています。

論文の著者の一人で、バークレー校のソーシャル・オリジンズ研究室を率いるヤン・エンゲルマン准教授は、人間の友情は特定の相手に向けた特別な意図だけでなく、より強い期待によっても成り立っていると指摘します。

「私たちは友だちに、より多くを期待するものです」と同氏は語り、今回の結果が友情の進化のルーツへの理解を深めるとしています。

友だちのものには手を出しにくく、友だちにやられても早く怒りをしずめられる心は、人間だけのものではないのかもしれません。

パイナップルをめぐる小さなかけひきの中に、私たちの友情のずっと古い姿がのぞいているようです。

参考文献

Chimps plunder less pineapple from friends—and expect them to do the same (Phys.org)
https://phys.org/news/2026-10-chimps-plunder-pineapple-friends.html

元論文

Chimpanzees steal less from their friends and expect them to do the same
https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2026.106948

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。 好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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